島田荘司の吉敷シリーズ『奇想、天を動かす』です。






タイトルがいいですよね(;´∀`)




奇想、天を動かす (光文社文庫)
島田 荘司
光文社
売り上げランキング: 38164



内容(「BOOK」データベースより)
浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた。―壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作。





















島田荘司の吉敷シリーズ作品です。発売順に読んでいくつもりだったんですが、我慢できなくなってこれを先に読んでしまいました。間を何作か飛ばしました。


『奇想、天を動かす』は、過去に、北海道で、列車の中でピエロが踊りながらトイレに入っていって、トイレの中で死体になってて、死んでるハズなのに銃を発砲してきて、一度ドアを占めてもう一度あけたら完全に消えてる、という不思議極まりない事件がもとになっています。


そして現代(消費税導入時)、消費税を払わずにお店を出た老人が、消費税を払うように声をかけた店員をナイフで刺すという事件が起こって、12円の消費税を払うのがイヤで人を殺した「消費税殺人事件」というのが起こったんですが、現行犯で捕まえたこの犯人の素性を探ってみると過去の迷宮入りした事件につながってしまったという作品です。





これが、吉敷シリーズの中でも特に、社会派と言われる作品らしくて、日本の社会問題を上手く話の中に組み込んでとっても面白かったです。

特に評価できるのがやはり北海道の列車の中での事件が謎すぎる点で、まぁこういう超々々々々難事件こそが島田荘司の持ち味だとは思うんですが、これは本当にもう「どうすんすか、先生!」って感じの難事件ですよね!

まったくもって意味不明の事件ですが、やはり解決編ではいつもどおり、島田先生による力技の解決が与えられます。そんで犯人の心情などが上手く描かれていて泣けるんですよねぇ。これは良かったです。


まぁ社会派にする必要がなかったような、というか、90年代の思想って、そういやこんなんだったけ、と思いました。今の感覚で言うと古い思想だと思いますが(戦前の日本は本当にひどい国だった、という思想がゴリ押しされてます)、内容としては本当に面白かったし、無駄のない話でした。



たぶん御手洗シリーズのファンはこういうの好きでしょうね!

あと北海道に住んでる人も!

北海道に住んでないと地名が読めなさすぎて戸惑うかもしれません(笑)。



新十津川とか神居古潭、追分、豊富とか出てきますヽ(*´∀`)ノ


奇想、天を動かす (光文社文庫)
島田 荘司
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