有栖川有栖の新シリーズ『闇の喇叭(らっぱ)』です。



闇の喇叭
闇の喇叭
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有栖川 有栖
講談社
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闇の喇叭/有栖川 有栖

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内容(「BOOK」データベースより)
大東亜戦争後、日本は南北に分断され、北海道は“日ノ本共和国”として独立。日本国内では北のスパイが暗躍し、政府は警戒を強めていた。―そして平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立し、探偵狩りが行われている現代。少女・空閑純は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた…。母の出身地である奥多岐野に父とともに移住し、帰りを待っていた純だったが、そこで発見された身元不明の他殺死体が、父子の日常を破壊する!存在意義を否定された探偵に謎が牙を剥くとき、新たな物語が動き出す。






















有栖川有栖の新シリーズですよ!

今シリーズは、太平洋戦争が終わるのが現実よりも1ヶ月遅く、北海道がソ連に占領されたところで戦争が終了した世界を舞台に描かれています。




ちなみに僕は戦争・政治・歴史の話が好きなので少し解説しておきますと

世界の歴史を俯瞰してみたときに、同一民族が思想の違いにより分断され2つの国が成立したとき、等分された両国は、それぞれに秘密警察を持つ傾向にあるらしいです。

東西ドイツ然り、韓国・北朝鮮然り、中国・台湾然り。

これはお互いの国が同一民族であるがゆえに同一言語を使用し同一宗教を信仰しているがゆえに起こる現象で、お互いがお互いの考え方を理解できてしまうがゆえに反体制組織ができやすいため、相互監視のシステムを用いて恐怖政治を行なう必要があるからです。同一民族ではない国が分断されたときには秘密警察は成立しない傾向が見られます(することもあります)。





今回の『闇の喇叭』もそういう世界です。何やら怪しいことを考えてそうな北海道の国があって、日本は北からのスパイを恐れるあまり、現在の日本と違って相互監視社会になっています。現実の日本よりも警察の力が強く、それゆえにこの世界では民間による探偵行為が認められていません。


この国において探偵は禁じられた職業なのです。

探偵が禁止されたこの世界で、探偵の両親を持つ主人公・ソラは事件を解決できるのか。



っていう話です。



僕、この設定がとっても好きです。

今までの有栖川有栖のシリーズものと違って今シリーズは全体的に暗いタッチで描かれています。全体的に暗くて悲しい、鬱屈したというか閉塞感のある社会で、主人公のソラがどうにかして論理的に事件を解決しようとするんですが、その探偵行為が法律で禁止されているために、警察の力も借りられず、というか、警察にバレないようにこっそりと情報を集めてこっそりと事件を解決に導きます。


なんだか胸が苦しくなるような話ですね。


まぁ今作『闇の喇叭』に関して言えば僕はあまり面白かったとは思わないんです。事件自体も大した事件ではないというか、まぁあっさりとしてるんで。

でもこの設定は燃えますよね(萌えではないですよ、笑)。


これは当分、追わなくてはいけない作品です。

というわけで熟するまで待ちましょう。絶対、面白くなる・・・!



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