島田荘司の『リベルタスの寓話』です。



まぁ・・・いつものパターンですね(笑)。


リベルタスの寓話
リベルタスの寓話
posted with amazlet at 11.09.05
島田 荘司
講談社
売り上げランキング: 233556



内容(「BOOK」データベースより)
中世クロアチアの自治都市、ドゥブロブニク。ここには、自由の象徴として尊ばれ、救世主となった「リベルタス」と呼ばれる小さなブリキ人間がいた―。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの一都市モスタルで、心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられるという、酸鼻をきわめる殺人事件が起きた。殺されたのはセルビア人の民族主義グループの男たちだが、なぜか対立するモスリム人の男の遺体も一緒に残されていた。民族紛争による深い爪痕と、国境を越えて侵食するオンライン・ゲームによる仮想通貨のリアル・マネー・トレード。二つの闇が交錯するとき、複雑に絡み合う悲劇が起こる。同じく民族紛争を題材とした中編「クロアチア人の手」も同時収録した、大迫力の最新刊。






















もうここ最近の御手洗シリーズのコアになっている紛争・宗教・民族などの社会要因と、もうひとつのコアになってる生物学・医学系のネタが合わさっている作品でした。今作は中編が2編で表題作『リベルタスの寓話』と、もう一個『クロアチア人の手』です。



『リベルタスの寓話』はまず最初に、リベルタスというブリキの化け物が民族を救ってくれた、という伝説が紹介されます。このパターン、本当に好きですね~。で現代で、いかにもそのリベルタスが現代によみがえったかのような事件が起きます。心臓以外の臓器がすべて持ち去られていて、代わりに死体の中に臓器に見立てられた小道具が置かれているというあまりにも猟奇的な事件を御手洗さんがバッサリと斬ってくれました。あぁいつものことながらどうもありがとうございます。まさか臓器が持ち去られていたことにそんな理由があるとは・・・。



いや、さすがにムリがあるような気もするんですけどね・・・。


あ、いえいえ、御手洗さんのやることに文句など一切ございません。御手洗さんのやることはいつでも正しいのです。とまぁ、骨格の部分だけを抽出するといつものパターンの劣化版のようにも見えますが、いつもよりも捻ってあるのは、その動機の部分ですかね~。話の途中途中で、意味の分からないエピソードが入ってくるんですが、それがうまいこと、動機に絡んでくるのでそういうところとか、あと、被害者の性器が切り取られているという、一見、事件とは関係ない要素も絡めて出しているのはリアリティの追求ですかね。なくても良かった部分ですけど、民族紛争の根深い部分を表現したかったんでしょう。最近、御手洗シリーズは本編よりもサイドストーリーのほうが好きかもしれません(笑)。まぁ物語にRMTとか絡めてきて複雑な話にはしてましたが、結局の要点は血液型の問題だった、という点には少し不満ですかね。さすがに気付け、警察。いや、気付けっていうよりかは勉強しろ、警察!



ボスニア・ヘルツェゴヴィナでの話だったので、語りは石岡君ではなくて、御手洗さんの友人の人でした。誰だっけ、この人(笑)。









『クロアチア人の手』は、日本に招かれた2人のクロアチア人が、一人は密室で水槽に顔をつけたまま死んでいて、もう一人はタクシーに轢かれて爆発して死んでいた、という事件でした。こっちは日本の話だったので石岡君の語りでした。僕はこっちのほうが好きでしたね。なんか久々に密室ものを読んだ気がします。まぁでもこの手口がアリなら、もうこれから小説に登場する人物のことはそう簡単に信用できなくなりますよね~。う~ん、まぁ今回はアリなんですけど、この手法はこれっきりにしてほしいです。まぁでも見せ方も巧かったですね。エピソードの入り方とか、話の締め方とかは、さすがにベテランです。




Amazonを見たらレビューでの評価でボロクソ言われているのが爆笑ですね。う~ん、まぁ僕もいくつか不満点はあるにはあるんですけど、それを引いても、まぁ巧かったんじゃないかなぁと思うので、そんなに評価は低くないんですけどね~。




リベルタスの寓話
リベルタスの寓話
posted with amazlet at 11.09.05
島田 荘司
講談社
売り上げランキング: 233556








読んだ方・読みたいと思った方はクリックお願いします!!
人気ブログランキングへ