道尾秀介の『龍神の雨』です。


う~ん、惜しかった!もう途中まではすごい名作だと思ったんですけどね~。


龍神の雨
龍神の雨
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道尾 秀介
新潮社
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内容(「BOOK」データベースより)
人は、やむにやまれぬ犯罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。そして今、未曾有の台風が二組の家族を襲う。最注目の新鋭が描く、慟哭と贖罪の最新長編。


















道尾秀介の長編『龍神の雨』です。雨の日には龍が現れます。


ある雨が降った日に、血のつながらない義父と暮らす兄妹と、血のつながらない義母と暮らす兄弟の、犯罪が交差して、嘘から勘違いがおこり、過去の記憶や疑念が殺意を呼び、取り返しのつかない過ちを犯してしまう悲しい話です。


あぁもう切なすぎます。登場人物の気持ちが痛いほどに伝わってきます。僕はこれに高い評価を与えたいです。でもこれは・・・これはダメなんだ!!ミステリという手法を用いて小説を書いた以上、どうしてもこの小説にはもっと衝撃の結末が用意されていなくてはダメだったと思うんです。今作の真相は、どうしてもミステリとしては陳腐でありきたり、予想されて当たり前の結末で、その結末に向かって少しずつご都合主義な勘違いが起こっていくその流れがどうしても気になりました。これはさすがに強引すぎるでしょう!設定は良かったんですよ。



義父と分かりあえないことから逆に絆を深めていく兄と妹の関係もたまらなく切なかったですし、それと同じような境遇を生きる兄弟との邂逅も、なんだかドラマチックで、これは道尾秀介の得意分野だと思い、僕は早い段階でこの小説の成功を確信していたんですけどね。ミステリという手法を使うならばやはりこのオチで満足はできないですよ。内容は本当に良かっただけに、なんだか勿体なかったです。


それでもやはり、この2つの家族の交わりは面白かったです。でももっと交わって良かったかなぁ。「家族はどんなことがあっても信じあわなくてはダメだ」というフレーズがとても良かったです。家族の絆がテーマだったのかどうかは分かりませんが(家族の絆がテーマだと言ってしまうにはあまりにも救いがないし、かと言って他のところにテーマを見いだせないのが苦しいところです)。



さぁ、道尾秀介はほとんど読み終わってしまったなぁ。未だに読んでいない初期作、『骸の爪』とか読んでみようかな。



龍神の雨
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