米澤穂信の『儚い羊たちの祝宴』です。




連作短編集でした。

紹介文にはミステリと書いてありますが、どちらかというとホラーでした。



儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社 (2011-06-26)
売り上げランキング: 3395



内容(「BOOK」データベースより)
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。





















はい、というわけで米澤穂信流のホラー短編集です。もっかい言いますけどホラーでした。なんだか出版社サイドはミステリとして押し出してますが、これはミステリではないです。読者の勘違いや思い違いを誘発してビックリ仰天させるようなトリックがあるわけではなく、「そこまでするか」と思うほどの残酷でグロテスクな要素が多くを占めていました。



ホラーとして読むなら僕は割と良かったと思います。



内容としては、5編の短編で、5人の良家のお嬢様が主人公です。で、実はその5人のお嬢様方はみんな、大学で『バベルの会』という読書サークルに属しています。でも『バベルの会』自体が何か怪しげな会だとかそういうことではなくて、『バベルの会』に属している人たちがたまたま色んな悲劇に巻き込まれる(もしくは悲劇を自ら起こす)んですよね~。まぁ最後のほうでは『バベルの会』自体もなんだかおどろおどろしい感じにはなってくるんですが、まぁそれは最後まで読んでのお楽しみです。



最初の3編はどうも面白い感じがしなくて記憶があいまいなんですが(3編目に至ってはすでに内容も思い出せない、笑)、4編目の『玉野五十鈴の誉れ』は面白かったですね。残酷さもここまでくれば少し胸がジーンとします。僕はこれが一番好きでした、というか多分みんなこれが一番だったと思います。唯一、なんか報われたような気がする話でした。実際に起こったら怖すぎますけど。


5編目の『儚い羊たちの晩餐』も面白かったです。これはでも、もっと面白くできたんじゃないかなぁと思ってしまうんですよね。あんまり書くとネタバレしてしまいそうですけど。今作にミステリ要素があるとしたらコレですね。まぁ料理の内容を類推する、ぐらいのことしかできませんけど。



本の帯には『ラスト一行が必ずあなたを裏切ります』って書いてあったんですが、まったく裏切りません(笑)。ラスト一行で裏切られると思ってると、もう全然ダメです。これを読むならばラスト一行には期待しないで読んでほしいです。するとラスト一行に裏切られるかもしれません。このキャッチコピーを書いた人は何がしたかったんでしょうか。



う~ん、米澤穂信に対する評価は僕の中で揺らぎまくりです(笑)。『インシテミル』はなんか時流に乗っただけのゲーム系ミステリでしかないとか思ってしまいますし、『さよなら妖精』も煮え切らなかったですけど、『折れた竜骨』はミステリとファンタジーを上手く融合させていてとても興奮してしまいましたし・・・。今作も、割と良かったんで、う~ん、結構ホラー系で活きる作家なんじゃないかと思ってはいるんですけどねぇ・・・、あ、偉そうなこと言ってすみません(笑)。





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