島田荘司の『最後の一球』です。



うん、島田荘司らしい・・・らしいですねぇ(笑)。


最後の一球 (文春文庫)
島田 荘司
文藝春秋 (2010-07-09)
売り上げランキング: 109594



内容(「BOOK」データベースより)
母親の自殺未遂の理由が知りたい―青年の相談に、御手洗潔はそれが悪徳金融業者からの巨額の借金であることを突き止める。裁判に訴えても敗訴は必至。さすがの御手洗も頭を抱えたが、後日、奇跡のような成り行きで借金は消滅。それは一人の天才打者と、生涯二流で終わった投手との熱い絆の賜物だった。

















島田荘司の御手洗潔シリーズの『最後の一球』です。
あぁ、もう島田荘司だなぁとしか言えないですよ、コレは。あまりにも島田荘司のらしさが出ていてニヤニヤしながら一気読みしてしまいました。う~ん、これは・・・スゴイなぁ。


御手洗潔シリーズの中で言えば今作は『数字錠』『Pの密室』『傘を折る女』あたりに近くて、トリックの良し悪しよりも、犯人側の事情などの描写でウルウルきてしまうタイプの話です。最初の3分の1ぐらいしか御手洗さんと石岡君は出てこなくて、2人が不可能犯罪と出会って、それについてアレコレと推理を始めます。その不可能犯罪があまりにも不可能すぎて、不自然。


そんなことをしてたら急に、ある人物の出生の話に変わります。そしてその人物の生涯がツラツラと長~く語られていきます。そしてその人物が色々とある中で、どのような経緯で罪を犯し、そしてその不可能犯罪の不自然すぎる現場が出来上がってしまったのか、ということが明らかになっていく話です。


もうこれ以上書くことないですよ。まぁでも強いて言うなら島田荘司のこの手の話はあまりにも犯人が純粋な人物のように書きすぎているような気がして思わず「昭和かっ!」と突っ込んでしまいたくなりますね(笑)。絶対犯人はみんなボウズだろうな、と思います。純朴すぎます!いえいえ、でも僕はこの手の話が大好きなので別にいいんですよ。強いて言えばです。強いて言えば。必死な思いで過ごした歳月で色んなことが無駄になってしまったけれど、その努力がほんの少しだけ報われて、暗闇の中でほんのりと意志が光る、そんな素敵な作品でした。


島田荘司が大好きです。『龍臥亭幻想』買いましたのでこれから読みます。



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