綾辻行人の『深泥丘奇談』(みどろがおかきだん)です。





怪談小説ではなく、怪奇小説!らしいです。


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内容紹介
誰も見たことのない「綾辻行人の世界」
京都の奥には、何かが潜んでいる・・・。深泥丘病院の屋上で見た幻鳥、病院の地下へと続く階段、痛む歯、薄れゆく街の記憶・・・作家である「私」がみた日常が一瞬にして怪談に変わるとき、世界は裏の顔を表す!





















本屋で『深泥丘奇談・続』を見つけて、初めてこのシリーズの存在を知りました。あわてて図書館で借りて読んだんですが、これは不思議な小説でしたね。


主人公である「私」がある日、体調が悪くなって診察してもらいに行った『深泥丘病院』で怪しい医師に診察してもらったあたりから徐々に、この街に存在する幾つかの奇妙な出来事に巻き込まれる、という話で、基本的に30~40ページぐらいの短編が9本入った短編集です。




これは怪奇小説なので、怪談小説やホラー小説のように、おそろしい出来事があってのちにその正体が分かるとか、恐ろしいオチが待っているとか、もしくは読者を震え上がらせるのが目的とか、そういう話ではないです。
ただただ何度も、「なんか変だなぁ」(稲川淳二風)という出来事に見舞われて、なんだったんだアレは、っていう終わり方をするだけの小説です。











ミステリ作家なのに、なんの謎も解決してくれない!!!


ほとんどの伏線は回収されません(笑)。

本当に何なんでしょう、この作品は。

途中までは、「これを我慢して読んでればいつか全ての伏線がうまいこと繋がってとんでもないオチが待っているハズだだって綾辻行人だから!」なんて思って読んでたんですが、全くそんなことありませんでした。

なんのオチもない。なんのオチもないところがこの小説の魅力なのです。


僕としては壁本(壁に向かってぶんなげたくなる本)です、と今作を読み終わった直後は思いましたが、続編を読んだあとに少し考えが変わりました。


ミステリ作家としての綾辻行人が好きな人はたぶん全く面白くないと思いますが綾辻行人のホラー趣味(あるいは悪趣味なジョーク・パロディー)が好きな人に取ってはそんなに悪くないと思い始めました。

特に作者本人がこの読み味を気に入っているらしく、今後もこのシリーズを続けていきたいと言っているので、やはりこれが綾辻行人の側面のひとつなのでしょう。


続編のほうが面白かったので、次は続編を紹介しますね。
あ、このシリーズは短編集で、前後の繋がりもほとんどないので続編だけ読んでも大丈夫ですよ。



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