京極夏彦の『狂骨の夢』です。









なんだなんだ、急に青春小説みたいな展開!



「お前なんか大っ・・・」


文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)
京極 夏彦
講談社
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内容(「BOOK」データベースより)
夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか?著者会心のシリーズ第三弾。

























京極堂シリーズもこれで3作目です。順調に厚くなってますね。


今作は『魍魎の匣』の評価が良すぎてそれと比べられることが多いせいか、あまり良い評判を聞いてなかったので割と軽い気持ちで読むことにしてたんですが、今までで一番、惹きつけられたような気がします。




内容の説明が難しいですね。なんで難しいかと言うと物語の中では、①佐田一家焼殺事件、②兵役忌避者猟奇殺人事件、③民江行方不明事件、④双子山集団自殺事件、⑤宇田川殺人事件、⑥金色髑髏(どくろ)事件、⑦逗子湾生首事件、の7つの事件が同時に起こってるからですよ!!!(もしかしたら、もっとある??)
読みながら、これはどの事件のことを言ってるんだ??と思うことがしばしばで、正直、読み終わった今でも全容を正しくつかんでいるのかが良く分からないです(笑)。



全体的なテーマとしてはひとつが『宗教』で、もうひとつが『フロイト』だったんでしょうね。とくに途中でフロイトの精神分析学の話がものすごくコアになっていくあたりで、僕の「真面目に全てよんでやる熱」は冷めました(笑)。雰囲気だけ理解した気持ちになって読み流すように読んでいきました。でも理解したいな、と思う内容だったので、いつか再読して研究したいなと思ったり思うだけだったりです。



僕的には爆笑してしまう部分が今までで一番ありまして、というかところどころの会話が前作・前々作よりも現代的な感じになってると思うんですよね~。前までは古典小説を読んでるような気になる喋り方も多々見られたような気もするんですが、今作は少しモダン化されたんじゃないでしょうか??



そして京極堂が『憑物落とし』を行なう展開は読みながらニヤニヤしてしまうほどの青春小説っぷり。色んな人の夢や想いが重なり合って、白球を追いかける高校球児のような爽やかさと、相反するシュールさがブレンドされていて、本当にニヤニヤしてしまいました。

もう事件の真相なんてどうでもよくなってきますね!





ま、リアリティという面では今までで一番なかったかもしれません(さすがにこれが成功する確率はものすごく低そう)。いや、でも今までもそうかな(笑)。ネットで色々と今作の感想読んでみたら、どうやら早くに真相に行き着いた人が多かったようですが・・・、すげぇな。僕には全くの予想外でした。たぶん予想外だったからこんなに楽しめたんでしょうけど。




ラストシーンは僕には少し意味が分からなかったんですが・・・。


急に高校生のような展開。


おっさんたちが海ではしゃいでる(笑)。









お前なんか大っ・・・



名言ですね。





僕としては今作が今のところ最高傑作なんじゃないかと思ってるんですけどどうやら少数派のようです。
次も頑張ります。そのうち『豆腐小僧』とかも読みます。



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