折原一の『沈黙の教室』です。




さてさて、叙述モノの名手の日本推理作家協会賞の受賞作は・・・


沈黙の教室 (ハヤカワ文庫JA)
折原 一
早川書房
売り上げランキング: 281313


内容(「BOOK」データベースより)
青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。






















折原一の『沈黙の教室』です。

僕は今のところ『倒錯のロンド』『倒錯の死角』を読んだことがあるのでこれが3作目ですね。


折原一は叙述ものが巧みなのでやはりそれに期待してしまいますね。今作は680ページぐらあったので前に読んだことのある2作よりも随分長い印象があります。



内容は、ある中学教師が転任した先は、何者かが『恐怖新聞』という学級新聞を発行し、ルールをやぶったクラスメートにひそかに『粛清』という名の危害を加えていく、いかれた教室だった。


というのが導入部です。今作、結構長いので3部構成で、最初に『過去編』として、この担任教師からの視点で、この教室のあやしげな雰囲気と粛清の顛末が語られていき、そのあと20年後に同窓会が行なわれるんですが、そこでまた事件が起こるんですね。


とにかく長いんですがそれがすべて伏線になってるハズだ・・・と思って頑張って読みました。

前半部分は割りと面白いんですよ。


とにかく『粛清』という言葉と、姿を見せない首謀者の正体が気になる一方なので細部まで読み込んで絶対に粛清の実行犯を見つけてやろうと思ってたんですが、まぁ終わってみればムダでした。


あんまり丁寧に読まなくてもペラペラ読んでしまってよかったと思います。終わった今となれば、ですけど。




後半の同窓会の話あたりからなんとなくgdgdしてきます。


『復讐者』と名乗る、過去のクラスを恨んでいる人間の復讐劇が始まるんですが、その復讐者の正体も今作の焦点のひとつになってるハズなんですが、まったく意外性がありませんでした。えっ、そのまんまじゃん!って感じでしたね~。もっと色々ひっかけてくると思ったんですけど。


なんか全体的に話に説得力がなくてミスリードを誘うための仕掛けも、頑張ってはいるんですがなんか一周してしまっていて、たいして驚きもないんですよね。


20年後に『粛清』という言葉を聞いて、クラスメートたちが当時の『粛清』というな名の制裁を思い出して恐怖するシーンもありますが、そんなに恐怖を与えるような内容でもなかったんですよね~。


















ってか『粛清』って結局下ネタじゃね~か!


っていうツッコミも僕から入ってしまいそうでした。



もっと言えば誰が『復讐者』であったのか、誰が『粛清』の実行犯であったのか、を推理する道具もなかったと思います。

そしてミスリードに使われた『彼』は結局なんだったの??


まぁ『倒錯の死角』に出てきた恐怖新聞の本物がここで見れた、っていう感じですかね。


ミステリとして読むよりも学園物サスペンスとして読んだほうがよいかも。



本当に読者を騙したかったんでしょうね、と少し冷めた目でみてしまうんですが、それでもそこそこは面白かったですよ。ただ一番評価の高そうな今作がこの程度の感想になってしまうと他の作品にはなかなか手が出ないですね・・・。お薦めあるかた、教えてください!!!





沈黙の教室 (ハヤカワ文庫JA)
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