歌野晶午のデビュー作『長い家の殺人』です。


むむむ・・・。


新装版 長い家の殺人 (講談社文庫)
歌野 晶午
講談社
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内容(「BOOK」データベースより)
消失死体がまた元に戻る!?完璧の「密室」と「アリバイ」のもとで発生する、学生バンド“メイプル・リーフ”殺人劇―。「ミステリー史上に残ってしかるべき大胆なアイデア、ミステリーの原点」と島田荘司氏が激賛。この恐るべき謎を、あなたは解けるか?大型新人として注目を浴びた鮮烈なデビュー作。





















島田荘司の推薦を受けてデビューした歌野晶午。


僕は『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム王手飛車取り』以来ですね。


僕の中では歌野晶午は技巧派のイメージが強いのですが、初期作は正統派の本格物という話を聞いていたので、前から興味があったのでこのたび、ついに読んでみました。


というか以前に一度読もうとしたことはあったんですけど、すぐに飽きてしまって放っておいたんですよね~。なんか設定が・・・(笑)って思ってしまったので。










さてさて、ストーリーですが、バンド仲間の5人とそれにくっついてきたカメラマンの計6人が山奥のペンションでバンドの合宿をするとそこで殺人が起き、そして死体とその荷物が一瞬にして消えてしまう、というものでした。












なんて興味をそそられない謎なんだ。


ひどいこと言いますね、僕は(笑)。



う~ん、でもこれは本当にすぐにトリックに思いいたってしまいましたね~。どうしようもないぐらいに一瞬でした。


僕が今作で評価したいのは、トリックをメインにすえた恐ろしいほどに純粋なミステリ小説であったことと、その中でプロローグなどでどうにかして読者のミスリードを誘ってやろうという態度でした。


そういうところはなんだか青臭くていいですね。島田荘司のことをリスペクトしてるらしく、きちんと死体消失なんていう曲芸まで披露して島田荘司の定義する『ミステリ』を体現しようとしていました。



そして終盤で、被害者が残した歌に隠された暗号みたいな話もあるんで、そういうところも、絶対に現実ではありえない(言われずに気付くハズがないし、気付いたところで証拠能力もないし、全体的にナンセンスな)小道具でしたけど、でもそういうのも僕は嫌いではないです。ひっかけようとしてたんだよなぁ。













でも、それだけだった気もします。


トリックありきで、現場の設定もしたために、そもそもペンションの構造があまりに不自然で、トリックの概要がすぐに分かってしまいそうです。そのペンションの部屋の番号などもいちいち不自然。色々と説得力を持たせようとしても不自然さはぬぐえないです。


そしてなぜか事件が2度起きるんですが、2度目の事件は必要性もいまいち感じない上に全く同じ手法をもう一度やる、という意味不明な構成でした。なぜだ!!!余計にばれるだろ!!やるなら1回目の殺人の方法を補うような(ミスリードを誘うような)ものでなくては!





そして探偵役も、僕は事前に誰が探偵役なのかを聞いていなかったので、「えっ、お前が探偵なの!?」って思ってしまいました。そして、そのキャラクターも過激!どうした、これ!破天荒なやつが出てきたぜ!って感じでした。



動機も分かったところで、誰が誰だったのかがいまいち分かりにくかったために、コイツが犯人だと言われても、えっ、そいつ誰?って感じでした(笑)。人物描写がダメだったってことかな??



ま、全体を通して言えることは



「タイトルでトリックがバレてしまうから、タイトル変えたら??」


ってことかもしれません。


う~ん、僕的にはイマイチでした。


















と、言いながらその次の

『白い家の殺人』『動く家の殺人』も読んでしまったんですが!!!




ま、その話は後日。


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