伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』です。




これ、すごいじゃないっスか!!


デビュー作が最高傑作ですよ!!!




オーデュボンの祈り (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 2193



内容(「BOOK」データベースより)
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。

























いやー、文庫化されている伊坂作品はこれでほぼ全部コンプリートしたわけですよ。

あとは『チルドレン』だけですね~。

もうここまできたらデビュー作とか読まなくていいんじゃね?とか思ってたんですけど、これは読んで良かったです!!!

もう後半なんか1ページ読むごとに胸が苦しくなる、とても素敵な展開でした!






ストーリーはなんか説明しづらいですね。


コンビニ強盗に失敗してパトカーで連行される途中で事故にあって気がつけば知らない島にいて、仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島でそこには未来のことを予言するカカシや、嘘つきの画家、体重300キロのウサギ、島の規律として殺人を繰り返す桜なんかがいる不思議な島だった・・・。


って話ですね。


僕は今まで伊坂幸太郎の作品はミステリとしては読んでいなかった面も大きかったんですが、今作はしっかりとミステリ要素が充分に出ててその点が僕にとってはとても高評価でした。



カカシがしゃべってたり、島が外部との連絡を一切断っていたり、なんだか全体的に不思議な世界観で一見するとファンタジー作品のようなんですが、『設定がぶっとんでいるミステリ』として読むことができて、途中でカカシが殺されてしまうんですが、『未来を予言できたカカシがなぜ殺されたのか』なんていう謎も割と理詰めで解かれていくのでその過程も充分にミステリでした!



そして「この島には欠けているものがひとつだけある」とかそんなフレーズもなんだか童話のようでいて、その実、リアリティをしっかりと持たせていた(島に欠けているものを読者が推理することができる)ので良かったです。


終盤、そろそろ物語が終わりそうなところで城山が島にやってきたシーンなんかはどうやってオチつけるんだろうと思ってたんですが、そうきたか!!


この話には本当に、役目のない人が出ていなかったなぁと思います。





今まで読んだ伊坂作品には「前半で伏線張りまくって、後半でそれを全部回収して、はい、上手いこと言ったでしょ?」って感じが、今作に限っては、すべてが物語を成立させる上で必要な要素だったんだなぁなんて思ってしまって、今回は完全に屈服しました。


最後、僕が物語に登場して丘の上にいたら、泣いてしまったんじゃないかと思います。とても素敵な名場面でした!それか!それが欠けていたのか!
(まぁ実は、作品の中で何度か欠けているものの影が見えていたので僕には予想はついてましたけどね(^_^メ))




名探偵というものの存在価値にまで言及している点(名探偵がいるから事件が起こるんじゃないか?という話)は東野圭吾の『名探偵の呪縛』を思い出しました。なんだかあそこらへんが僕は一番切なかったです。



色んな要素が複合しながらファンタジーとミステリを上手に融合させてこんなにも読み終わったときに幸福感に包まれる小説もなかなかないでしょう!僕は伊坂作品の中で人に勧めるとしたら、今作か『アヒルと鴨~』にしようと思います。



オーデュボンの祈り (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 2193








読んだ方・読みたいと思った方はクリックお願いします!!
人気ブログランキングへ