伊坂幸太郎の『ゴ-ルデンスランバー』です。



先が気になる、という点に関して言えば伊坂幸幸太郎の最高傑作なんだろうとは思うけど・・・。




ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 1367



内容(「BOOK」データベースより)
衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

























本作品の舞台は、『セキュリティポッド』と呼ばれる住民管理システムが街中に完備された仙台市で、パレード中だった首相が爆弾で殺されてる、という事件から物語が始まります。


どこかの大きな組織の陰謀で、首相爆殺の罪をなすりつけられた男が、その巨大な組織の追ってから逃れ、どうにか無実を証明しようと奔走します。


たぶん多くの作品でこのようなドタバタ劇は描かれてきたのだと思いますが、そこは伊坂幸太郎の才能の見せ所というやつで、他の追随を許さないほどの構成力と冤罪やマスコミ報道、監視社会に対する問題提起などを組み合わせ、そしてビートルズの『ゴールデンスランバー』の歌詞から想起される主人公の大学時代の友人たちとの友情などを織り交ぜ、極上のエンターテイメント作品に仕上げてあります。


先が気になる、先が気になる、と思って一気に読んでしまいました。


















ん・・・まぁでも・・・ねぇ。

とても評価されている作品なようなのであんまり不満など言いにくいですが、敢えて言いましょう。

























そんなに良かったか?


と。







いや、面白かったです。これは是非読むべきだとは思いますよ。冤罪やメディアスクラムについての理解を深めるために、場合によっては学校の教科書代わりに読ませてもよいと思います。それぐらいメッセージ性もありましたし。これからはテレビ見るときも気をつけようと思いました。




でも・・・なんて言うんだろう。

読者が通る道にだけ物語が設定されている感じというか、伏線の張り方もキレイにまとめようとしすぎているような気もして、なんだか少し食傷気味です。



そんなに伏線を回収する必要あるか!?

「大変よくできました」が最も顕著な例ですが。










僕はもっとそれまでとは違った形のオチを期待していたので、そんなに偶然に左右されるようなムリヤリ作られた結末に感動したりなんかできないです。




良かったところとしては「俺は犯人じゃない」と書かれたメモのあたりが感動的でした。それか青柳の父親の対応とか『痴漢は死ね』とか。そこらへんが僕にとってはハイライトでしたねー。




青柳が樋口と別れた理由も、物語の途中で実は驚愕の真相があるんじゃないかと思ってたんですが、結局何もなかったのか・・・。残念だなぁ。



でもそれぞれのエピソードを、登場人物の心情などを考えながら読むと、ものっすごく感動的な青春小説のようにも読めるんでしょうね。でもやるならもっと徹底して感動させてくれたら良かったのに(笑)。






670ページぐらいあったんですが550ページぐらいまでは本当に面白くて、それ以降は「そっちにいくなよ、そっちにいくなよ」と思いながら読んでいて、やはりそっちへ行ってしまったか、と思ってしまいました。もっと別の結末を期待してましたね。Amazonのレビューを見ても、ハマった人と、あんまりハマれなかった人で二分されているような気がします。ホームランか三振か、って感じですね。



まぁでも面白いは面白いんですよ。壮大でコミカルで、社会性やメッセージ性もあって、作者の思想なんかも見え隠れしてます。是非読んでみてください。


でもこれよりかは僕は『魔王』か『アヒルと鴨のコインロッカー』のほうが好きですね。


単行本になってて、まだ読んでないのは『オーデュポンの祈り』『重力ピエロ』『チルドレン』『死神の精度』『陽気なギャングの日常と襲撃』かな。まぁボチボチ頑張ります。




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