幼少の頃を過ごした島根の山奥。


果てないほどに何処までも続く、灼けたアスファルト。


その乾いた夏の景色と絶望にも似た匂いは、今も脳裏にハッキリと刻まれている。


一度出会った景色を無き事には出来ないけれど、


人が歩みを続けるかぎり、記憶はいつの日か忘却の彼方へ失われゆくだろう。



今日も夜を迎えた。


夏は長くとも、望む世界は確かに近づいている。