気を付けろ
甘い匂いで誘う罠
本作は「ロンメルーゲームズ」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『デッドラインヒーローズRPG』の二次創作です。
(C)Takashi Osada / Rommel Games
(C)KADOKAWA
嘘と歌劇と甘い罠
概要
「嘘と歌劇と甘い罠」は、プレイヤー3人用のシナリオです。想定されるプレイ時間は、キャラクター作成を除いて3〜4時間程度になります。
本シナリオを遊ぶ場合、GMはデッドラインヒーローズの基本ルールブック(以下、R1と表記)に加えて、サプリメント「デッドラインヒーローズRPG 学園マッドネス」(以下、R2と表記)が必要になります。あらかじめご入手ください。
フェイズ |
イベント |
概要 |
---|---|---|
導入 | ずぶ濡れの再会 | アイーダと再会する |
導入 | 昔馴染み集合 | あれ、みんな知ってるの? |
展開 | アイーダのために | アイーダの恋人を探す |
決戦 | 陰謀の気配 | ミズ・オペラとの決戦 |
余韻 | 一件落着? | 事件は解決したが…… |
番号 |
詳細 |
---|---|
PC1 | キミは雨の降りしきる街で、一人の女に出会った。女の名はアイーダ。キミのかつての恋人だ。アイーダ は、ヒーローであるキミの力を頼り、とある人物の捜索をキミに依頼してくる。
その背景にヴィランの存在を感じたキミは、仲間たちを召集して捜査に乗り出すのだった。 |
PC2 |
キミはPC1の仲間だ。キミは学生時代にアイーダと親交があり、今回は学生時代以来となる、久々の再会でもある。 |
PC3 | キミもPC1の仲間だ。キミはセカンドカラミティでスローターに負わされた傷の影響で生死を彷徨っていた頃、アイーダに救われたことがある。 |
事前公開情報
リトライ :2 □□
クエリー :3 □□□
チャレンジ :2 □□
初期グリット:3 ■■■□□□□□□
PC人数 :3
推奨成長点 :0〜20点
○あらすじ
ヒーロー達の元へ寄せられた、とある依頼。それは全員にとって共通の知人である女性・アイーダからの、人探しの依頼だった。探し人はアイーダの恋人。ところがこの恋人、どうもヴィラン組織とのつながりを持っているらしい。
事件の香りに誘われて、街に繰り出すヒーロー。待ち受ける狡猾な罠を乗り越え、真実へ辿り着けるか?
※※※
導入フェイズ
[イベント1 ずぶ濡れの再会]
登場:PC1
場所:雨の降る街角
▶︎状況1
その夜、街には雨が降っていた。雨のせいか空気は冷たく、道ゆく人々は皆、暖かな我が家への帰りを急いでいる。
そんな街中を何らかの用事で歩いていたPC1は、ふと鼻腔をくすぐる懐かしい香りに気付く。ハッとして振り返ると、そこには一人の女性が雨に濡れるのも構わずに立ち尽くしていた。黒い髪に黒い肌。官能的な艶めかしい唇と、瞬きするごとに瞳を引き立てる長い睫毛。間違いない、彼女はかつて恋人だったこともある女性……アイーダだ。
▶︎解説1
これはミズ・オペラの洗脳による錯覚である。アイーダなどという恋人はいたことがないが、この瞬間からPC1はミズ・オペラのことを昔の恋人・アイーダとして認識してしまう。
▶︎状況2
「……あれ、PC1くん? 久しぶり……」
PC1に気付いたアイーダは微笑むが、その笑顔に昔のような覇気は感じられない。どうしたのか問うと、アイーダは悲しげに目を伏せて言葉を漏らす。
「……実は今、ちょっと大変なのよ。ねぇPC1くん、今はヒーローのお仕事しているのよね? ……よかったら、助けてくれないかしら」
アイーダと二人、恋人として過ごした日々は過去のものである。今彼女と旧交を温めることになったとしても、苦い過去を蘇らせるだけの行為かもしれない。しかしそれは、目の前で悲しんでいる女性を助けない理由にはならない。今のキミは、ヒーローなのだ。
▶︎解説2
これもミズ・オペラの洗脳による錯覚である。もしプレイヤーが彼女に騙されることへ抵抗を感じるようなら、GMはしっかりと合意形成を経てから次の場面に進むこと。
▶︎状況3
アイーダから事情を聞いたところによると、彼女は今付き合っている彼氏がいるのだが、その彼氏(名をラダメスというらしい)が一週間以上もの間、行方不明らしいのだ。しかもアイーダが最後に彼を目撃した時、彼はヴィラン組織「フォーセイクン・ファクトリー」の最大派閥”デラックス・デザイア”の首魁と目される男……デラックスマンと一緒に居たというのだ。
ヒーローとしてのモラルが、あるいは元恋人としての人情が、キミを突き動かし、この事件の調査を決心させた。そしてキミは、そのために仲間たちへ招集をかける。
▶︎解説3
アイーダは涙を目一杯にため、悲痛な面持ちで訴えかけてくる。なおこの会話をいつどこでしているかはプレイヤーの自由に決めてもいい。例えば、PC1の自室の、ベッドの中でこの会話が行われたと設定するのも、洋画っぽくていいかもしれない。ミズ・オペラの洗脳能力の恐ろしさを演出できると同時に、PC1の生活感を演出できるチャンスだ。
▶︎エンドチェック
①アイーダと出会った。
②アイーダから人探しを依頼された
[イベント2 昔馴染み集合]
登場:PC全員
場所:様々
▶︎状況1
アイーダの恋人を探し出すため、PC1は仲間を招集することにした。早速PC2とPC3に連絡をとり、集めよう。
▶︎解説1
プレイヤーの合流シーンである。集合の日時や場所は自由に決めていい。なお、この時点でPC2とPC3は洗脳されていないので、アイーダの名前を聞いても、特に彼女との記憶を思い出すことはない。
▶︎状況2
PC1の招集を受け、PC2とPC3がやって来る。早速これからの仕事の打ち合わせを開始しようとしたところで、二人はアイーダと出会う。そして二人はアイーダの甘い香りに促されて、忘れていた記憶を取り戻す。
PC2にとっては学生時代の友人として、またPC3にとっては、セカンドカラミティ当時の恩人として……それぞれがアイーダと何かしらの関係性を持っていた。
それをこの場で他の者に明らかにしてもいいし、しなくてもいい。いずれにせよアイーダの恋人を見つけ出すという仕事の依頼に変更は無い。
▶︎解説2
もし〈知覚〉〈意思〉〈追憶〉のいずれかに秀でたヒーローがPCの中にいたなら、この時点でうっすらと自分の記憶に対し違和感を持つことができるかもしれない。GMはキャラクターシートをよく確認して、プレイヤーとその点について話し合っていただきたい。
アイーダ=ミズ・オペラであり、ここまででPCが思い出したすべての記憶がパワーによる捏造であるということは、GMからPLにはっきり伝えてしまってもよい。騙されているということを承知の上で、PCが騙されている様子を面白おかしく演出できるPLであるなら、むしろ積極的にシナリオの主旨を伝えておくべきだ。
▶︎エンドチェック
①PCが集合した。
②PCそれぞれがアイーダと知人であることを自覚した。
※※※
展開フェイズ
[イベント3 スクールデイズ]
登場:PC2
場所:とある高校、PC2の思い出
▶︎状況1
行方不明となったアイーダの恋人・ラダメスを探すため、彼が会っていたというデラックスマンの足取りを追いかけるヒーロー達。その中で、デラックスマンがとある高校に現れたという情報を手に入れる。
奴のことだ。ファクトの少年部隊に加える新メンバーを物色でもしていたのだろう。実際にこの学校へ赴いて調べてみたところ、半グレの超人種学生で構成されたグループが居た。
キミ達がいるにも関わらず、彼らはお構いなしに授業をサボって校舎裏でダラダラしていた。彼らが将来ヴィランとして人々を脅かす前に、ヒーローとして、大人として、子ども達を導く必要がある。PC2はさぼり学生達に何と声をかけるのだろうか?
▶︎解説1
クエリー・イベントだ。半グレ学生達はパワーを持ってこそいるが皆小心者で、実際に暴力へ訴えるような子は少ない。きちんと話せばヒーローへの敬意もあって聞き入れてくれる。むしろ彼らは、超人種の学生を持て余し、冷遇する無理解な大人達の被害者だ。
▶︎状況2
半グレ少年の更生を促し終えたところで、PC2はふと自分の学生時代を思い出す。かつてPC2も何らかの理由で授業をサボったことがあった。
その時、サボった自分を探して来てくれたのが、当時同じ学校に在籍していたアイーダだった。当時から既に洗練された美貌の持ち主だったアイーダは、PC2にとっても憧れの女性だった。
その日はアイーダと、家に帰るまでずっと二人きりで遊んだり、話したりして過ごした。ヒーローの学生時代としては考えものだが、PC2にとってはとても幸せな思い出だ。
▶︎解説2
もちろんすべて、ミズ・オペラの洗脳による、捏造された記憶だ。しかしこの時点でのPC2にとっては紛れもない真実である。情感たっぷりに演出しよう。
▶︎エンドチェック
①半グレ集団を更生させた。
②グリットを1点得た。
③アイーダとの青春を思い出した。
[イベント4 ブラックメール]
登場:PC3
場所:ビジネス街の高層ビル
▶︎状況1
行方不明のラダメスが失踪する直前まで勤めていた新聞社へ訪れるPC3。だが社内は異様な雰囲気だ。応接室まで通されたところで、なんと社員達が一斉に襲いかかってきた。サラリーマンに化けたヴィランである。
彼らとバトルを繰り広げるPC3であったが、突如カメラのシャッター音が響き渡る。そちらへ振り向くと、そこにはスマートフォンを構えるデラックスマンがいた。
「ようこそヒーロー。我らデラックス・デザイアの歓迎は気に入ってくれたかな?」
「しかしどうなのかな。日々この国の経済を回すため努力しているサラリーマンを、暴力でうちのめしてしまうというのは」
「この写真を世間に公表されたくなければ今すぐ帰りたまえ。いいね?」
デラックスマンの態度は頑なだ。説得も交渉もできはしない。選べるのは二つに一つ。自分の悪評が世間に出回ることを厭わず戦闘を続行するか、ここで引き下がるかだ。
▶︎解説1
クエリー・イベントである。デラックスマンは、ここでヒーローを倒すことよりも、今自分たちが進めている計画を遂行することを優先している。そのため、もしPC3が引き下がるのであれば、少なくともすぐさま追手が襲ってくることはないだろう。
また、この時点で薄々プレイヤーも感づくだろうが、ラダメスはデラックス・デザイアのメンバーである。GMはほのめかす程度に留めてもいいし、この時点でぶっちゃけてしまってもいい。
▶︎状況2
もしPC3が引き下がることを選択するならば、デラックスマン達は特に追手を差し向けることもなく帰してくれる。
逆に、デラックスマンへ挑むようであれば、その時点でデラックスマンが写真をネットにアップロード。彼のパワー【ブラックメール】が発動し、PC3はスティグマを受けてしまう。
世間の無理解と戦うのもヒーローの宿命。それは、セカンドカラミティ当時、スローターを命懸けで倒したにも関わらず、世間から「スローターによる甚大な被害を抑えられなかった責任」を追及されたあの時も同じだった。
だが、そんなPC3を支えてくれた女性がいた。アイーダである。大怪我で生死を彷徨うPC3を懸命に治療し、世間のバッシングに悩むキミの心を癒してくれた。
明確に恋人同士という関係を持っていたわけではなかったが、それでも親密な間柄だったことは間違いない。それからしばらく疎遠になっていたが……彼女無くして今のキミはあり得なかっただろう。
▶︎解説2
もちろんすべて、ミズ・オペラの洗脳による、捏造された記憶だ。しかしこの時点でのPCにとっては紛れもない真実である。情感たっぷりに演出しよう。
▶︎エンドチェック
①デラックスマンの脅迫に答えた。
②グリットを1点得た。
③アイーダとの過去を思い出した。
[イベント5 スキャンダル]
登場:全員
場所:様々
▶︎状況
アイーダの恋人・ラダメスの行方についての情報を得られぬまま、数日の時が経とうとしていた。そんな中、ヒーロー達はG6から連絡を受ける。
とある有力国会議員の致命的なスキャンダルに関する証拠を脅迫材料に、デラックスマンがその国会議員へ次々と要求を飲ませているらしい。このまま放っておいたら、ヴィランにとって都合の良い法案が成立する恐れがある。G6は隠密裏かつ迅速に、デラックス・デザイアからスキャンダルの証拠を奪取する任務を命じてきた。
デラックス・デザイアを追うことは、ラダメスの行方を追うことにもつながる。ヒーロー達は早速、デラックスマンを追うことにした。
▶︎解説
チャレンジ・イベントだ。
PCは自動的に全員登場する。PCがこのチャレンジを達成するためには、合計3回のチャレンジ判定に成功しなければならない。このチャレンジ判定には、同一のPCが二つ以上のチャレンジ判定を試行してはならない。
▶︎チャレンジ判定
・判定①:作戦、交渉、経済のいずれか
情報の裏を取る。G6が偽情報を掴まされているとも限らない。
・判定②:心理、隠密のいずれか
デラックスマンの居所を掴む。
・判定③:白兵、射撃、経済のいずれか
こちらの動きを察知したデラックスマンの妨害工作を退ける。
成功:ついにヒーロー達は、デラックスマンの喉元まで迫った。次のイベントに進んでもよい。
失敗:PCがこのチャレンジに成功しないまま展開フェイズを終了した場合、決戦フェイズは[浪費4]を負った状態で迎えることになる。
[イベント6 ミズ・オペラ]
登場:全員
場所:デラックス・デザイア秘密基地
▶︎状況1
綿密な捜査の末、ついにデラックスマンの潜伏する基地を特定したヒーロー達は、突入を開始。隠密性を重視する防御が手薄になっていたようで、制圧そのものは簡単にできた。
「おのれ、ヒーローどもめ……!」
マスクの下から、恨めしそうな声を上げるのはデラックスマン。勝敗が決したことを悟り、既に降伏している。
一方、この基地にいたデラックスマンの部下の中に、アイーダの恋人ラダメスと思しき男もいた。どうやらこのラダメス、正体はこのデラックス・デザイアの諜報員だったらしく、議員のスキャンダルの証拠もこの男がかき集めたものだったようだ。……アイーダには気の毒だが、逮捕するしかないだろう。
アイーダの悲しむ顔が脳裏をよぎり、ヒーローとしての使命を忘れそうになる。しかしそれは許されない行為だ。いや、しかし……
そんな葛藤を、いつの間にやらヒーロー達は観客に披露するかのような芝居がかった調子でセリフとして発し、いつしか感情が涙となって溢れ出してしまう。そして感情がピークに達した瞬間、美しい声で心のままに悲しみと葛藤を歌い上げることだろう。
そんなヒーローのドラマチックすぎる場面を目の当たりにして、デラックスマンやラダメスもぽかんとしていた。
▶︎解説1
ミズ・オペラの”香り”が仕掛けた条件付けが作用し、ヒーロー達の精神を侵している。PCは普段よりも遥かにドラマチックなRPをすること。
▶︎状況2
「素晴らしいわ。最高のオペラをありがとう、ヒーロー達」
そう言いながら拍手と共に現れたのは、普段にもましてセクシーな雰囲気のアイーダ。だが彼女の登場と同時に、ヒーロー達は激しい頭痛に苛まれる。まるで脳内を侵食する寄生虫が、暴れ回っているかのように。
「悪く思わないでね。いくら私でも、デラックスマン相手の仕事は流石にリスクが大きすぎたもの。でも、あなた達のおかげで、スキャンダルの証拠が手に入ったわ」
アイーダが言葉を紡ぐたび、頭痛が心身を苛むたび、ヒーロー達の思考が冷静になっていく。”香り”に惑わされ、狂わされていた記憶が正常に戻っていく。そして気付く。アイーダなどという女とは、過去一度も会ってすらいないということに。
「さよなら、可愛いボウヤたち」
ゾッとするほど美しい笑顔を浮かべて、アイーダと名乗る女スパイが立ち去ろうとする。PC1は去りゆく彼女に、なんと声をかけるだろうか?
▶︎解説2
PC1のクエリー・イベントだ。この場面ではヒーロー全員がミズ・オペラのパワー【寄生虫の住処】による激しい攻撃を受けており、その激痛のあまりろくに動くことができない。
▶︎エンドチェック
①ミズ・オペラに証拠を奪われた。
②ミズ・オペラへ言葉をかけた。
③グリットを1点得た。
[イベント7 黒幕は誰だ]
登場:全員
場所:様々
▶︎状況1
アイーダと名乗り、ヒーローたちを操ってまんまと獲物をかっさらった女スパイ。かつて某国情報機関に所属していたこと以外、一切の経歴が不明である彼女は、コードネームを「ミズ・オペラ」というらしい。とある国会議員の致命的スキャンダルの証拠とはいったい何なのか。ミズ・オペラは誰に雇われて、その証拠を持ち去ったのか。日本の政治的均衡を崩壊へ導きかねないこのパンドラの箱を、悪しき者の手に委ねるわけにはいかない。ヒーロー達の反撃が幕を上げる。
▶︎解説1
チャレンジ・イベントだ。
PCは自動的に全員登場する。PCがこのチャレンジを達成するためには、合計3回のチャレンジ判定に成功しなければならない。このイベントでは、同一のPCが複数のチャレンジ判定を試みることはできない。
▶︎チャレンジ判定
・判定①:心理
ミズ・オペラの雇い主を推理する。
・判定②:経済、交渉のいずれか
政財界の要人達から情報を聞き出す。
・判定③:白兵、射撃、経済のいずれか
こちらの動きを察知したミズ・オペラの妨害工作を退ける。
成功:PC達は、総理大臣を差し置き、内閣を官房長官が牛耳っているという事実を知る。非合法な手段も辞さない強引なやり口から、一部からはヴィランよりも恐ろしいとさえ言われているほどだ。彼ならスキャンダルのネタに事欠かないだろう。黒幕は恐らく、官房長官だ。___以上の事実を突き止めた上で、次のイベントに進む。
失敗:PCがこのチャレンジに成功しないまま展開フェイズを終了した場合も、成功したときと同じ情報を得ることができる。ただし決戦フェイズでグリットを使えなくなる。
※※※
決戦フェイズ
[イベント8 陰謀の気配]
登場:全員
場所:官房長官公邸
▶︎状況
「官房長官、依頼されたものです」
「ありがとう、キミに依頼した甲斐があったというものだ。これが世間に公表されたら私は……私は……」
「これに懲りたら火遊びはおやめください」
ヒソヒソと話し合うのは、件の官房長官とアイーダ……もとい、ミズ・オペラ。何かの物々交換を行っているように見える。目を凝らせば、官房長官はミズ・オペラから茶封筒を受け取り、そしてミズ・オペラは何かしらのデータが保存されているであろうメディアを受け取っているのが見えるだろう。
キミ達の読みは当たっていた。この現場を押さえて、官房長官の秘密を暴かねばならない。ひょっとすると、下手なヴィラン組織以上の陰謀を彼が張り巡らせている可能性だってあるのだ。何せ、デラックスマンに脅迫されるほどの秘密である。きっとただ事ではない。
それにあの女スパイには、一発ギャフンと言わせてやらねばならないだろう。とにかく、突入あるのみだ!!
▶︎解説
チャレンジ1に失敗したまま決戦フェイズに突入した場合、PCは全員[浪費4]を負った状態となる。そしてチャレンジ2に失敗したまま決戦フェイズに突入した場合は、この決戦フェイズにおいてグリットを使用できない。
・勝利条件
ミズ・オペラを倒す。
・敗北条件
PC全員が[戦闘不能]もしくはロストする。
・PC初期配置
エリア1、または2
・NPC初期配置
エリア3:セキュリティガード×4
ミズ・オペラ
エリア4:首相(ゼロット)
・NPC
ミズ・オペラ:R2 p.191
セキュリティガード:R1 p.218
官房長官:R1 p.218(ゼロットのデータに、以下のパワーを追加)
・私に逆らったなァ!?
属性:攻撃
判定:ー
タイミング:特殊
射程:3
目標:3
代償:ターン20
効果:いずれかのエナジーが0になった際に発動。目標は<経済>で判定を行う。失敗したキャラクターは[2d6+6]点のスティグマを受ける。
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国家屈指の権力が、ヒーローを襲う!
※※※
余韻フェイズ
[イベント9 一件落着?]
登場:全員
場所:官房長官公邸
ミズ・オペラは状況の不利を悟ると、いち早く公邸を脱出。追いかけてもいいが、今はそれよりも大事なことがある。官房長官の秘密だ。デラックスマンに脅迫の材料にされるほどのスキャンダルとは、一体何なのか……答えは、ミズ・オペラがメディアと引き換えに官房長官に渡した茶封筒の中に収められているはずだ。
PCはこのスキャンダルを暴いてもいいし、暴かなくてもいい。そして本シナリオで決められている事項はここまでである。官房長官のスキャンダルとは何なのか。引き換えにミズ・オペラが受け取ったメディアの中身とは。デラックスマンの運命やいかに。これらはGMの裁量に委ねるものとする。
最後に、シナリオ作者から一例を紹介して筆を置きたいと思う。
例1)茶封筒の中に入っていたのは、スマイルスレイヴと官房長官のズブズブの関係を裏付ける、いくつもの証拠だった。汚いやり口で、長いこと私腹を肥やしてきたのだろう。……さて、問題はこのスキャンダルを"どう利用するか"だ。
例2)ミズ・オペラが持ち帰ったメディアの中身は、"葬送法師"なる人物に関して官房長官の一族が知っている事実をまとめたものだ。戦時中、あるいはそれ以前から日本という国家の政界で暗躍するその人物は、果たして何者なのか。ミズ・オペラは仕事人としての職域を超えて、強い関心を抱いていた……。
「嘘と歌劇と甘い罠」 FIN.