九月三日 | √225さんのブログ

九月三日

もうすぐ八月も終わりかぁ。
そう言っていたのが、もう大分前のことの様に感じる。最近の私と言えば、日々をこなす、そんな時間の送り方だ。
しかし、もう三日か、とも思う。
何か変えようと願いながらも、私は何ひとつ変えようとはしていなかった。

なつきは今日も、ハンカチで汗を拭う。白地に黒い縁取り、ハイヒールの模様が描かれている。なつきにしては、ポップな柄だ。

いつもの電車は少し遅れているようだった。なつきは列を離れ、ペットボトルの緑茶をゴクゴクと飲みながら、列に戻ってきた。この行為は、快活なスポーツウーマン、といった感じだが、彼女の場合は不思議と上品に見えた。むしろ、大丈夫かしら、と心配になるようなはかなささえ感じる。

少し遅れてきた電車は満員で、息苦しい。さながら我慢大会だ。

なつきは珍しく携帯をいじっていた。毎日スーツを着て出勤する彼女は、おそらく営業をしているのだろう。しかし、彼女は時計をしていなかった。時間を確認するように携帯を開く姿は見かけても、こんなにも熱心に携帯を操作する彼女を見るのは初めてだった。

やはり何かあったのだろうか。

だがなつきの表情は、なかなか清々しいものだった。

私はいつもより少し遅い出勤の後のスケジュールを練り出した。このくらいなら始業まで一息つけるだろう。
少し強い足取りでホームへ降りた。

重くのしかかる陽射しの中、歩く人々の色が少し深くなったことに気付く。
少しずつ、少しずつ、秋を意識しだした町並みに、意識が遠退く。足が止まりそうになるのに気付き、遅れまいとまた強くコンクリートを蹴った。