しっくりこない漢字の話
常用漢字が29年ぶりに改定されました。
常用漢字が話題に上るときに必ずあがる
「この漢字は入ってないの?!」
という声。
人名や地名などでよく目にする漢字が
入っていないコトはしょっちゅう。
なんでそんな事になっているかを乱暴にいうと。
太平洋戦争後、GHQの政策により
日本の表記を簡素化するという方針が採られ
その一環で漢字の使用を制限した経緯があるからだそうです。
(国内でも、漢字廃止論という考えがありました)
で、将来的には漢字は廃止するという前提
(今にしてみるとスゴイ前提…)
のもとに
「当用漢字」(廃止まで当面使用する漢字ということ)
が定められました。
でも、人名でこれまでよく使われているのに
これに含まれていないものがゴロゴロあったので
早々に
「人名用漢字」
というものが追加されました。
その後も、使いたい漢字を使えるよう求める裁判が
次々におこされ
次第に「人名用漢字」は増えていきました。
つまり、この時点では
いずれ漢字がなくなるまでの間に使える「当用漢字」
と
それには入ってないけど、便宜上オッケーにした「人名用漢字」
があったわけです。
その後、漢字を廃止するという方針は撤回され
漢字と仮名を使っていこう、ということになりました。
このときに「当用漢字」は「常用漢字」に改名されました。
ここで「常用漢字」と「人名用漢字」をまとめればよかったのに!
でも、バラバラなまま残ったので
ややこしいことになっているわけです。
根底には
限りなくある漢字を自由に使っていると
印刷の便宜のうえでも、国際化のうえでもよくないので
セレクトしたもののなかから使いましょう
という考えがあるようですが
その考え自体と漢字セレクトの
センスと精度が悪かったんですね~
なお
「常用漢字」には何の法的拘束力もないので
これに入っていない漢字を文章などで使っても
問題ありません。
現に、バンバン使われています。
人名に関しては
常用漢字と人名用漢字に
挙げられていない漢字は使えません。
戸籍法50条に「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」
とあり、「常用平易な文字」は法務省令で定める、とあります。
これをうけて、戸籍法施行規則60条に
常用漢字、人名用漢字が挙げられているので。
中途半端な事をするから
かえってややこしくなる
という、典型的な例かもしれませんね~
しかし、常用漢字は何のためにあるんでしょう?
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