僕は生まれた時に逆子で、仮死状態だったそうです。
今でもおでこの左上と、右耳後ろに鉗子の後が骨のくぼみとしてしっかり残っています。
母の実家は横浜で、亡くなった祖母が一度話してくれました。出産の時、足から出てきた僕は正常な分娩でなく、頭を出さないと窒息するということで鉗子で引っ張りだしたようです。
お産婆さんが僕の両足をもって逆さに振り、顔を叩いてやっと鳴き声を上げたようですが、泣き顔が引きつって半分しか表情がなかったそうです。
祖母は「ああ、この子はダメだな」と思った、と言っていました。自分でも野球チームが組める人数の子供を産み、数多くの出産の場に立ち会った祖母の見立てに反して、僕は何とか66年間生きてきたというところです。
その後も生育は何かと遅れ気味で、確か中学の教師だったかに「まぁ、お前は大器晩成型だな」と言われた記憶があります。
ところが晩成するはずの大器にはなれず、食道がんになってしまいました。
まぁ、生まれた時にすでに終わっていたかもしれない人生が66年間も続けれらたことが幸運だったとするってことでしょうか。
今日は30年以上住んでいるマンションの部屋の模様替えのため、家財メーカーのショールームへ行ってきました。主役は配偶者ですが、一緒に流し台やふろ場の展示を見て歩きながら、どうせ僕がこの新しい部屋の装備品たちと過ごす時間は長くないや、と思いながらも、配偶者の嬉々とした顔を伺いながらニコニコ設備を選ぶのは随分疲れました。
明日は天気も良さそうなので、ゆっくりと朝の散歩にでかけよう、っと。