1回目の抗がん剤から3週目頃から食道がんの腫瘍部位だけでなく、口全体に炎症が広がり始め、食べ物は流動物も含めてアウト。ゼリーや水も入れられなくなってきました。抗がん剤投与が終わってからは8日ほどで退院し、通院で放射線投与を受けていましたから炎症が進行したのは在宅でした。

 

 間もなく2回目の抗がん剤投与に入院する予定でしたが、水分も摂れなくなり始めたため医師に相談し、3日ほど入院を早めてもらいました。

  食道がんの部位周辺の痛みと口内炎は4週から8週の間、どんどん暴れまわりました。口の中はリオのサンバカーニバル状態。

 

 抗がん剤や放射線で副作用が出ることは、治療前に医師からの説明でちゃんと内容を聞いていましたし、患者向けの治療用パンフレットなどもいただいていました。

 甘く考えていました。自分の場合はいつもそうですが、深く考えずに始めてしまってから後ろを振り返って「オレはなんてアホなんだ!」と後悔することばかり。進歩しない頭の中を見透かしたように、サンバカーニバルのお姉さんたちは派手な飾りをつけた腰を振り回しながら我が口腔内を踊りまわっていました。

 

 唇もすぐ渇いてしまい、アズノール軟膏を塗っても剥がれたところから乾燥しました。一度、「inゼリー」を飲もうと丸い吸い口を咥えようとノズルをあてると、ツーっと血が垂れてきました。下唇の真ん中が渇いてひび割れて切れていました。

 キツい副作用でした。

 

 病室は4人部屋で奥の2台のベッドは窓側なのですが、自分のベッドは入り口側でカーテンを引くと照明以外に灯りと景色なし。殺風景でしたが、景色なんかそっちのけ。口内炎とサンバのお姉さんとの格闘が続きます。

 ただそんな折でも頭に広がったのは、いつも散歩する近所の公園の風景。我が口腔内のサンバのお姉さんたちも晴れ渡った空の彼方に消えてくれました。

 今朝、歩いてきましたが、ちょうどサルビアの花が咲き誇っていました。