糖尿病の症例問題は本当に良く出ると思います。

前回アップした内容が頭に入ってくると症例問題も解きやすくなりました。

基準値がある程度わかっていると、うっかり1つ2つ忘れてしまったときも正しい選択肢を選べるようになってくると思います。

 

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問題A

入院中の65才男性。

165cm、73kg、

160/90mmHg、

スルホニル尿素薬を服用している。

血清アルブミン値3.5g/dL、

HbA1c(NGSP値)7.3%。

早朝空腹時血糖値160mg/dl、

血清クレアチニン値2.0mg/dl、

血清カリウム値4.5mEq/L、

推算糸球体ろ過量(eGFR)40mL/分/1.73m2、

尿アルブミン/Cr比270mg/gCr。

 

 

問題を読みつつ私はこんなことを思っています。

 

入院中の65才男性。

165cm、73kg、←すこし太め

160/90mmHg、←血圧高いな。塩控えよう。

スルホニル尿素薬を服用している。←ということは、2型糖尿病。スルホニル尿素薬は確か血糖コントロールだったな

血清アルブミン値3.5g/dL、←低い。4.1~4.9が正常

HbA1c(NGSP値)7.3%。←薬飲んでても高いな

早朝空腹時血糖値160mg/dl、←薬飲んでても高いな

血清クレアチニン値2.0mg/dl、←高いな。腎臓悪そうだな(男性基準値0.6~1.1)

血清カリウム値4.5mEq/L、←問題なし(基準値:3.5~5.0mEq/L)

推算糸球体ろ過量(eGFR)40mL/分/1.73m2、←30より高いので腎症4期よりはいい2期か3期かな

尿アルブミン/Cr比270mg/gCr。←お。アルブミン尿(30~299)に収まっているので2期だな

 

Q1、糖尿病腎症第何期か?

   

尿アルブミン値or尿タンパク値と、GFR(eGFR)で区分。スルホニル尿素薬で血糖コントロールを行っているが、早朝空腹時が高値。微量アルブミン尿(30~299mg/gCr)より、糖尿病腎症第2期(早期腎症期)。

 

Q2、適正エネルギー摂取量は?

・エネルギー摂取量は第2期では25~30kcal/kg標準体重/日とする。

165cmで適正なBMI22の体重は

1.65×1.65×22=59.895kg

四捨五入して60kg×25~30kcal/kg標準体重/日=1500~1800kcal/日

 

59.895kgのまま計算を進めるのはタイムロスなので、60kgと考えていいと思います。

選択肢もそこまで細かく設定していないものが多いと思います。

 

Q3、適正タンパク質摂取量は?

・第2期ではタンパク質摂取量は1.0~1.2g/kg標準体重/日とするため、60~72g/日となる。

 

Q4、適正食塩摂取量は?

・高血圧なので、食塩摂取量は6g/日未満とする。

 

Q5、適正カリウム摂取量は?

・症例の血清カリウム値は基準範囲内(3.5~5.0mEq/L)であり、生活指導基準についても「制限なし」とされている。

 

Q6、水分制限は必要か?

・症例には浮腫や尿量についての情報がなく、水分を制限する必要はないと考えられる。

 

糖尿病腎症第4期(腎不全期)では、腎機能低下によりKの排泄が障害されるため、1500mg/日未満に制限する。

 

 

問題B

70才男性。

5年前に糖尿病を指摘され、スルホニル尿素薬を服用している。

下肢に難治潰瘍あり。

痛みの自覚はない。

153cm、56kg、

150/100mmHg、

尿たんぱく(3+)、

血清総たんぱく値7.5g/dL、

血清アルブミン値4.3g/dL、

空腹時尿糖195mg/dl、

HbA1c(NGSP値)6.8%、

血清クレアチニン値1.55mg/dL、

血清LDLコレステロール値160 mg/dL、

血清トリグリセライド値170 mg/dL、

血清カリウム値4.0m/Eq/L、

推算糸球体ろ過量(eGFR)39.6mL/分/1.73m2。

 

 

問題を読みつつ私はこんなことを思っています。

問題B

72才男性。

5年前に糖尿病を指摘され、スルホニル尿素薬を服用している。

下肢に難治潰瘍あり。←痛みの自覚がなければ自律神経も障害されているな。

痛みの自覚はない。

153cm、56kg、←太め

150/100mmHg、←高め

尿たんぱく(3+)、←ということは持続性たんぱく尿

血清総たんぱく値7.5g/dL、←基準値わからんな。(正確には6.5~8.0が基準値でした)

血清アルブミン値4.3g/dL、←正常(基準4.1~4.9)

空腹時尿糖195mg/dl、←高い

HbA1c(NGSP値)6.8%、←高い

血清クレアチニン値1.55mg/dL、←高いな。腎臓悪そうだな(男性基準値0.6~1.1)

血清LDLコレステロール値160 mg/dL、←高い

血清トリグリセライド値170mg/dL、←高い

血清カリウム値4.0m/Eq/L、、(基準値:3.5~5.0mEq/L)

推算糸球体ろ過量(eGFR)39.6mL/分/1.73m2)。←お。30~45に収まっているので3期だな
 

 

Q1、糖尿病腎症第何期か?

 

推算糸球体ろ過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2以上で持続性たんぱく尿を認めるため、「糖尿病治療ガイド2014-2015」(日本糖尿病学会)より、糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)と分類できる。

 

Q2、適正タンパク質摂取量は?

適正体重は1.53×1.53×22≒51.5kg

51.5×糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)のたんぱく質制限(0.8~1.0g/kg体重/日)=41.2~51.5g

 

Q3、適正食塩摂取量は

高血圧を合併しているため、食塩摂取量は6g/日未満とする。

 

Q5、適正カリウム摂取量は?

第3期では高カリウム血症の場合はカリウム制限も検討するが、本症例は、血清カリウム値は基準内(3.6~5mEq)であるため、カリウム制限は必要ない。

 

Q6、低たんぱく血症か?

・血清アルブミンの基準値は4.1~4.9g/dLであり、持続性たんぱく尿を認めるが、血液検査から低たんぱく血症の所見はない。

 

Q7、糖尿病性神経障害はあるか?

・下肢潰瘍があるものの、痛みの自覚がないことから、糖尿病性神経障害が出現していると考えられる。

・下肢潰瘍は糖尿病に合併した閉塞性動脈硬化症による症状と考えられる。

 

 

Q8、脂質摂取量制限はあるか?

・脂質異常症があることから、冠動脈疾患を予防するためにも脂質摂取量を制限する必要がある。

 

Q9、BUNも基準値を超えて上昇していると推測されるか?

・血清尿素窒素値(BUN)や血清クレアチニン値は、腎機能障害があると上昇する。血清クレアチニン値が高値であることから、BUNも基準値を超えて上昇していると推測される。

 

糖尿病治療ガイド2014-2015(日本糖尿病学会)では、糖尿病腎症の病気分類ならびに生活指導基準が見直された。これは、「CKD診療ガイド2012」(日本腎臓学会)との整合性を考慮した見直しである。

 

 

問題C

 70才男性、

 20年前に高血糖を指摘され入院。

 スルホニル尿素薬を開始した。

 退院後も通院治療を続けていたが、ヘモグロビンA1c値(JDS値)は、7.0%前後であった。

 1年前から視力低下、起立性低血圧、便秘。

 

 170cm69kg 

血圧160/100mmHg 

尿たんぱく質(3+)、

ケトン体(-)、

血清アルブミン値3.8g/dl、

血清総コレステロール300mg/dl、

HDL55mg/d、

早朝空腹時トリグリセリド80mg/d、

早朝空腹時血糖値150mg/dl、

血清クレアチニン値2.0mg/dl、

血清K値5.6mEq/L、

推算糸球体ろ過量(eGFR)21.5ml/分/1.73m2

 

問題を読みつつ私はこんなことを思っています。問題Cについては思っている内容だけ記入します。

問題C

 70才男性、

 20年前に高血糖を指摘され入院。

 スルホニル尿素薬を開始した。←ということは、2型糖尿病。スルホニル尿素薬は確か血糖コントロールだったな

 退院後も通院治療を続けていたが、ヘモグロビンA1c値(JDS値)は、7.0%前後であった。。←2型糖尿病。

 1年前から視力低下、起立性低血圧、便秘。←網膜症の合併。他はわからないな。(正確には、起立性低血圧は自律神経障害、便秘も交感神経、副交感神経の自律神経障害です)

 

 170cm69kg ←やせてはなさそう

血圧160/100mmHg ←高血圧なので、1日食塩摂取量は6g以下

尿たんぱく質(3+)、 ←アルブミン尿は陽性。

ケトン体(-)、←正常

血清アルブミン値3.8g/dl、←低い

血清総コレステロール300mg/dl、←高い

HDL55mg/d、←正常

早朝空腹時トリグリセリド80mg/d、←正常

早朝空腹時血糖値150mg/dl、、←高い

血清クレアチニン値2.0mg/dl、、←高いな。腎臓悪そうだな(男性基準値0.6~1.1)

血清K値5.6mEq/L基準値:3.5~5.0mEq/Lより高い。

重症の腎症状態においてでは、Kの摂取量は制限される。

1日K摂取量4gは過剰である。1日K摂取量は1500m未満とする。

 

推算糸球体ろ過量(eGFR)21.5ml/分/1.73m2←30よりひくいので腎症4期

 

尿中アルブミン量(mg)/尿中クレアチニン量(g)で示された値を尿中アルブミン指数と呼んでいる。尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動、日差変動が大きいので、同時に尿中クレアチニン値を測定して補正を行った値がアルブミン指数である。

糖尿病性腎症の場合、アルブミン指数は30mg/gクレアチニン以上の値を示す。