糖尿病で覚えた範囲を自分なりにまとめてみました。
管理栄養士国家試験で糖尿病はよく出る印象です。
これを読んでもちんぷんかんぷんという方は1度こちらを読まれるとスッキリされるかもしれません。
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青色は記憶に残りやすいと聞き、青ペンで勉強していた私。
なので、女子力低いですが青が大切なところです。
糖尿病
インスリンの作用不足から高血糖になる疾患。
2012年国民健康栄養調査報告では、糖尿病が強く疑われる者は950万人、予備軍1100万人と推定。2007年より減少している。
日本人の食事摂取基準の飽和脂肪酸の目標量(上限)の策定根拠となった疾患の1つ。
大量コルチゾール投与の副作用で糖新生促進により糖尿病を発症することがある。
確定診断根拠
・診断基準
随時血糖値200 mg/dl 以上
空腹時血糖値126mg/dl 以上(注:メタボ110mg/dl 以上)
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)において、2時間値が200mg/dl以上
HbA1c国際基準値6.5%以上(JDS値6.1%以上)
空腹時血糖値正常値:110mg/dl未満かつ75gOGTTが140mg/dl未満
・確実な糖尿病合併症の存在
・口渇、多飲、多尿、体重減少などの典型的な症状の存在
HbA1c:血液中のグルコースまたはリン酸化糖とヘモグロビンAが結合した反応生成物。この結合の割合は血液中のグルコース濃度に比例するため、赤血球の寿命120日の約半分の期間(1,2カ月)の血糖を反映。
グリコアルブミン:血清中のたんぱくであるアルブミンとブドウ糖が結合したもので、血中の糖の濃度に依存して結合するため高血糖で増加する。アルブミンの半減期が20日前後であるため、1~2週間前の血糖値の状態が把握できる。
フルクトサミン:1~2週間前の血糖値の状態を示す。フルクトサミンケトアミンの糖鎖がフルクトース構造をとる。糖化たんぱくで、強アルカリ性で強い還元性をもつ。
尿糖は腎臓のブドウ糖排泄閾値や薬剤により影響を受けるため、糖尿病の診断には用いない。確定診断には血糖値が必須。
症状
・1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG):血糖コントロールが悪いと血中濃度が低下する。
・インスリンの絶対的不足により尿ケトン体が陽性になる。
・尿中C-ペプチド排泄量は、膵臓からのインスリンの分泌能の指標。
・インスリン抵抗性の指標の1つには、HOMA-R(早朝空腹時の血糖値と血中インスリン値の積)がある。
1型糖尿病 糖尿病全体の5%
多くが20才未満に発症。
血中のグルコースが低下するグリコーゲンの代謝経路でグルコース-6-ホスファターゼの欠損により、グリコーゲンからグルコースを作ることができないため、多量のグリコーゲンが肝臓、腎臓、筋肉などに蓄積する疾患。
インスリン療法が必須。
代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス<β酸化、ケトン体増加原因>)を2型より示しやすい。
ケトン体:3ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸などの総称
糖尿病ケトアシドーシスは、脂肪からのエネルギー産生によるアセトン発生に起因する脱水とインスリン作用不足による高血糖(アシドーシス)が原因である。
脱水を防ぐための十分な補液(生理食塩水)と高血糖を下げるためのインスリン投与を行う。
抗ランゲルハンス島抗体 陽性
慢性膵炎では糖尿病を発症する。
2型糖尿病 糖尿病全体の95%
Cペプチドとは、インスリン合成前段階の物質(プロインスリン)が、分解される時に発生する物質である。インスリンと同程度の割合で血中に分泌され、循環し、尿中に排泄される。よって尿中Cペプチド値は2型において高い。
・遺伝が濃厚
・細胞内グルコース利用能は低下する
・高血糖性高浸透圧性昏睡は、高度脱水により誘因され脱水により高Na血症となる。2型糖尿病の高齢者に多く、電解質液を投与する。グルコース(ブドウ糖)を投与すると、症状がより悪化する。
妊娠糖尿病
・将来糖尿病を発症するリスクが高い。
・日本糖尿病妊娠学会による妊娠糖尿病診断基準によると、妊娠糖尿病とは妊娠中にはじめて発見または発症にいたっていない糖代謝異常である。
・妊娠糖尿病では、食事療法や胎盤を通過しないインスリン療法により血糖管理を行う。胎盤を通過する経口血糖降下薬の投与は、胎児奇形のリスクを高めるため禁忌である。
糖尿病合併妊娠
・糖尿病合併妊娠では乳児は出生後低血糖になりやすい。
・妊娠中の、糖尿病コントロール不良は、巨大児の原因となる。
・空腹時血糖値70~100mg/dl、食後2h血糖値120mg/dl未満、HbA1c6.2%未満を目標とする。
・血糖コントロール不良の場合には少量頻回食とし、血糖の変動を少なくする。
糖尿病の食生活
脂肪肝合併症時は、タンパク質を制限しない。脂肪肝はタンパク質不足により肝臓に脂肪が蓄積している状態である。タンパク質を制限するのは腎機能低下時である。
食品交換表を基本に、日常食べている食品を6つに分類。1単位80kcalとして計算する。
高血圧合併時食塩を6g/日未満とする。
糖尿病腎症第一期、二期までは7~8g/日未満とするが、高血圧合併時食塩を6g/日未満とする。
第三期、四期は食塩を6g/日未満とする。
第五期の血液透析患者の場合、食塩を6g/日未満とする。腹膜透析の場合、食塩はPD除水量(L)×7.5+尿量(L)×5(g)とする。
・タンパク質量は1.0~1.2g/kg(標準体重)とする。
・エネルギー量は、標準体重kg×身体活動量で求める。身体活動量は軽い労作25~30kcal、重い労作35kcal。
・ショ糖の摂取はインスリン抵抗性を悪化させる。ショ糖摂取が糖尿病の直接的原因ではないが、消化吸収が速いため血糖値が急激に上昇しやすく、血中の中性脂肪を増加させるため過剰摂取はさける。
アルコールのエネルギー量は7kcal/g
アルコールは栄養素をほとんど含まないので過剰摂取は避ける。
炭水化物のエネルギー比率は50~60%。栄養バランスは1型、2型にかかわらず同じ(脂質20~25%、タンパク質15~20%)。ただし、インスリン治療の場合は、インスリン注射と食事のタイミングを考慮する。
糖尿病の運動療法の禁止
・空腹時血糖値250㎎/dl以上や尿ケトン体中等度以上陽性などの代謝コントロールか極端に悪い場合は、運動療法は禁止あるいは制限となる。
・収縮時血圧200mgHgの妊娠高血圧症候群では、運動療法は適応とならない。安静にしている必要がある。
・腎不全の状態にある場合(血清クレアチン:男性2.5㎎/dl以上、女性2.0㎎/dl以上)は、運動療法は禁止あるいは制限となる。
なお腎不全では、血圧、尿たんぱく、腎機能などを慎重にみながら調節すれば、運動療法が可能な症例もある。
3大合併症(腎症、末梢神経障害、網膜症)
合併症リスクを軽減するためには、血糖値と血圧コントロールが大切。
糖尿病神経障害
アキレス腱反射、振動覚検査(音叉を胸やくるぶしに当てて振動の感じ方をみる)
触覚検査(細いフィラメントを足指などにあてる)
および呼吸心拍変動係数(自律神経の働き)等により診断する
高血糖によって末梢神経(①痛みなどを感じる知覚神経)②筋肉を動かす運動神経③内臓の働きを整えたり体温を調節したりする自律神経)のすべての働きが低下する。
脂肪エネルギー比率は決まっていない。栄養素の配分は、糖質50~60%、タンパク質1.0~1.2g/kg/日、残りが脂質となっている。(日本DM学会「科学的根拠に基づくDM診療ガイドライン2013」)40%を超える高脂肪食は代謝障害など招く
糖尿病網膜症は失明の原因となる。
糖尿病腎症は、糸球体に障害が生じ、尿中微量アルブミンの出現で診断される。
初期には糸球体血管壁の透過性亢進によりアルブミンの尿中漏出が生じる。
糖尿病性腎症生活指導基準(糖尿病治療ガイド2014-2015より)
第1期~第5期共通して降圧治療、脂質管理、禁煙をする。
第1期(腎症前期)
・総エネルギー(kcal/kg標準体重/日)25~30
・たんぱく質(g/kg体重/日)1.0~1.2
・食塩摂取量:7~8g/日。高血圧では6g/日未満。
・カリウム(g/日)制限せず
・糖尿病食を基本とし、血糖コントロールに努める。
第2期(早期腎症期)
・総エネルギー(kcal/kg標準体重/日)25~30
・GFR:30以上
・微量アルブミン尿(30~299mg/gクレアチニン)
随時尿にて尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gクレアチニン)の測定を3~6カ月に1回、定期的に行うことと、尿たんぱくの出現前に腎臓の変化が見いだせる。
・たんぱく質(g/kg体重/日)1.0~1.2
一般的な糖尿病の食事基準に従う。
・食塩摂取量:7~8g/日。高血圧では6g/日未満
・カリウム(g/日)制限せず
・糖尿病食を基本とし、血糖コントロールに努める。タンパク質の過剰摂取は好ましくない。
第3期(顕性腎症期)
・顕アルブミン尿(300mg/gクレアチニン以上)
試験紙法で尿たんぱくが持続陽性。
300㎎/gクレアチニンを超えると試験紙法で尿たんぱく持続陽性状態に相当する。
・総エネルギー(kcal/kg標準体重/日)25~30
・GFR:持続性たんぱく尿(0.5以上)
GFR<45では第4期の食事内容への変更も考慮。
・たんぱく質(g/kg体重/日)0.8~1.0
血糖および体重コントロールを目的として25~30kcal/kg標準体重/日までの制限も考慮。
・食塩摂取量:6g/日未満
・カリウム(g/日)制限せず
・糖尿病食を基本とし、適切な血糖コントロールに努める。タンパク質制限食
第4期(腎不全期)
・総エネルギー(kcal/kg標準体重/日)25~35
・GFR<30
・アルブミン尿は問わない
・たんぱく質(g/kg体重/日)0.6~0.8
・食塩摂取量:6g/日未満
・カリウム(g/日):<1.5
・適切な血糖コントロール。低タンパク食。貧血治療。運動制限(散歩、体操OK)
第5期(透析療法期)
適切な血糖コントロール透析療法または腎移植
水分制限(血液透析患者の場合、最大透析間隔日の体重増加を6%未満とする。)
・血液透析(HD):30~35
血糖および体重コントロールを目的として25~30kcal/kg体重/日までの制限も考慮する。
・たんぱく質(g/kg体重/日)0.9~1.2
・食塩摂取量:6g/日未満
・カリウム(g/日):<2.0
・腹膜透析(CARD):30~35
血糖および体重コントロールを目的として25~30kcal/kg体重/日までの制限も考慮する。
・たんぱく質(g/kg体重/日)0.9~1.2
・食塩摂取量:PD除水量(L)×7.5+尿量(L)×5(g)
・カリウム(g/日):原則制限せず
透析
血液透析は、糖尿病腎症第5期に行う。「糖尿病診療ガイド2014-2015」では、糖尿病腎症の病気分類が変更されている。解説についてはかわりない。
血液透析は、透析液、透析器を用いた血液浄化法である。血液と透析液の間で半透膜を介した拡散による物質輸送と限外ろ過圧により水分除去が行われる。透析液、透析器のほか、体外循環時の抗凝固法、ブラッドアクセス(シャント)が必要である。
腹膜を用いた血液浄化法は腹膜透析である。
糖尿病の薬(2型糖尿病に多い)
食後高血糖防ぐ-αグルコシターゼ阻害薬
インスリン促す-スルホニル尿素薬
インスリン抵抗改善-チアゾリジン薬
血糖値に応じてインスリン分泌-DPPIV阻害薬(インクレチン関連薬)
尿に糖流す‐SGLT2阻害薬
・α-グルコシターゼ阻害薬とスルホニル尿素薬を服用していて、通常の1/4の朝食を摂取した。2時間後血糖値40mg/dlを示し、手足のふるえや脱力感をきたした場合
フルクトースは、小腸で拡散輸送により吸収されるため、吸収に時間がかかる。肝臓でトリグリセリドやグリコーゲンに変換されるため改善効果が低い。
α-グルコシターゼ(二糖類分解酵素)阻害薬を飲んでいるため、二糖類であるスクロース(ショ糖)、ラクトースの分解は阻害されるので、効果が低い。
糖尿病透析予防指導管理料
糖尿病透析予防指導管理料は、H24年度診療報酬改定で新設された糖尿病透析予防指導に対する評価であり、糖尿病腎症から透析へ移行を予防することを目的としている。
350点(月1回)
算定要件
① 入院中の患者以外の糖尿病患者のうち、HbA1cがJDS6.1%(NGSP6.5%)以上、または内服薬やインスリン製剤を使用している者であって、糖尿病性腎症第2期以上の患者(現に透析療法を行っている者を除く)に対し、医師が糖尿病予防に関する指導の必要性があると認めた場合に算定する。
② 透析予防診療チームが、①の患者に対し、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」等に基づき、患者の病気分類、食塩制限およびタンパク制限等の食事指導、運動指導、そのほか生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施した場合に算定する。
施設基準
① 当該保健医療期間内に、以下から構成される透析予防診療チームが設置されていること。
ア 糖尿病指導の経験を有する専任医師
イ 糖尿病指導の経験を有する専任看護師または保健師
ウ 糖尿病指導の経験を有する管理栄養士
② 糖尿病教室を定期的に実施すること等により、糖尿病について患者及びその家族に対して説明が行われていること。
③ 1年間に当該指導管理料を算定した患者の人数、状態の変化等について報告を行うこと。
④ 薬剤師、理学療法士が設置されていることが望ましい。