此の刃渡り7㎝の小振りな、スリップジョイント式ポケットナイフは残念ながら全く製造者に繋がる刻印等の手がかりが無い。
しかし無名ながら刀の其に似て、なまじな銘が無い物に良い出来が多いと言うのに似た出来と成って居る。
名前で無くて実力で売ると言う気構えを感ずる。
確りした、ロックの板バネが装備されて居て刃鋼も良い物で錆が少ない。
巾きの金属は白銅や真鍮では無くて鋼で節約して有る。
ハンドル材はクルミの板にアトランダムな鹿角のパターンを堀込滑り止めとして居る。
代わりにグリツプエンドには孔も、滑り止め用のU字型の所謂猿手は無くて一手間省いて居る。
刃には、引き起こし用の半月形爪掛けが有る。
かなり紳士用のポケットナイフを意識して居る感じが有るが製作者の意気込みに素材が追い付かない感じがする。
もし巾が白銅で、ハンドル材が鹿角成らば、かなりなグレードのナイフに成るはずだが、時代が其をを許さなかかったとすれば、戦後の昭和30年代の製品と思われる。
ビクトリア朝のイギリスでは、紳士は上着のポケットに小型のポケットナイフを入れて出歩くのが仕来たりだったそうで、今でも極仕立ての良い紳士服には、上着のポケットの内側にナイフ入れの小型スペースが有るが、現在では小銭入れか切符入れと誤解去れて居る。
又、街歩きにこんな小型ポケットナイフを持ち歩ける安全な時代が来て欲しいものだ。
2018年4月25日
ー終わり-
ルームカフェ美和
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