

時を刻む柱時計は、チクタクチクタク。
空を舞う大きな鳥は
天高く羽を広げ大空を舞う。
街を行き交う人は、コートの中に
顔をうずめ足早に通り過ぎる。
イルミネーションはきらきらと
見る人を少し翻弄させるように
またたく。空はまっくら。
今にも雪が降り出しそうな、グレイの
衣をまとったような厚い厚いマントを
翻しているように空を覆っている。

森の公園もすっかり暗く、小鳥たちの声も
聞こえずにひっそりと
ただ静かに時を感じている様子。
生い茂っていた緑の葉っぱは
すっかりなくなり枝枝が衣をまとわず
裸のまま立ち並ぶ。
緑のはっぱの落ち葉がかさかさと
触れ合い風に吹かれる音だけが
静かな音楽を奏でているような。
遠くに聞こえる教会のチェンバロの
音色は森の公園も街も、すべてを
包み込むように優しく鳴り響いていた。
黒いステッキを右手に持ち
真っ黒なスーツに身を包んだ
長足の男。パリッと着こなす
スーツはしわひとつない。
形のいいハットを被り
端正な顔立ちのその人は、
森の公園の入り口の小さなベンチに座り、
優しく目を閉じ、じっとしていた。
街や教会や森の公園の
すべてが奏でる音を吸い込むように。

突然すっと立ち上がり、長足ステッキの男が
被ったハットを左手に持ち
胸の前に帽子をかざしステッキを一振り
タップダンスのように、両足でリズムを刻む。
自然とそこに、タップの軽快な音が
聞こえてくるように。
その瞬間、街には小さな小さな雪が舞い
森の公園の小さな花壇のつぼみをもった
花々は少しずつ開き始める。

時を刻む柱時計は
一層忙しげにチクタクチクタク。
そうやって少しずつ
森の公園にも冬が来る。
チクタクチクタク。
