たんと 22 | 尾川永次のブログ

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小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

              スコットタント 22


一歩また一歩と歩く度に根が切れる音が地中から悲鳴の様に聞こえて来る。


するとメイルが泣きながらガジュマルの木の枝に立ち両手を広げた。
「だめ!だめ!やっぱりだめ!そんなことで助かってもタントは喜ばないよ」


「森の妖精、メイルよ」


「はい」


「私も同じなのだよ」


「え?」


「旅の途中にも関わらずお前達は森を生き返らせると言ってくれた。そのお前達の

 命と引き換えに生き永らえたいとは思わない。そして私が君達の仲間なら、

 喜びも悲しみも、この命も分かち合いたいのだ。それが今と言う短い時間で

 あったとしてもだ」


メイルは頭を大きく振った。
「タントを命がけで助けようとしてくれるんだから、もう友達だよ。ううん、ずっと、

 ずっと友達だよ」
そしてメイルは涙で濡れた頬を大きなガジュマルの木にそっと当てて呟いた。
「ありがとう」


「メイル」


「うん」


「その言葉は助けてからだ。行くぞ」


大きなガジュマル木が再び歩き始めやがてスコットタントが倒れている穴の側に立つと

一番長い枝を穴の奥に入れスコットタントの身体を掴んだ。
だが地面に食い込んだドリルの手が抜けずスコットタントの身体は持ち上がらなかった。


「駄目だ、岩に食い込んでいるのか腕が抜けない」


「頑張ってガジュマルさん!」


「分かった。思いっきり引っ張るぞ!」


「うおお」大きな掛け声と共にガジュマルの木が懇親の力で引っ張っると、埋まっていた

ドリルが抜けた。
「よし!抜けたぞ!」


「やったー!」


タキは喜び一杯の顔で万歳をしながら飛び跳ねたが、チキとメイルは複雑な表情を

浮かべていた。

このまま水が出なければ大きなガジュマルの木が枯れてしまうのだ。