ろんです。
土曜日は、資産形成の考え方、つまり「なぜインカムゲインにフォーカスする手法を選ぶようになったのか」を整理しながら投稿しています。
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今日はVol.94の続きです。
前回の投稿の内容を要約すると、以下のようになります。
長期投資を前提にするなら、 株式投資の損失は
通常想定:▲30~40%
危機シナリオ:▲50~60%
最悪級(数十年に一度):▲70%超も理論上あり得る
このように3段階で最大損失を覚悟しておくのが私としては安全策だと考えています。リーマンショックを体感した私としては、"体感しないとその恐怖はわからない"としか言えません。
株式は半値になることを前提に、損失"額"を見込んでその範囲で購入することをお勧めします。個人的な意見ですが、特にリーマンショック後のこの5年は右肩上がりが続いるので、リスクオンの風潮になりすぎだと感じています(が、結果としてみると、リスクを取って報われた時期というのも事実です)
これを読んでいただいた方の人生が少しでも豊かになったら幸いです。
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今回は上記の損失額を見込むための前提として、アセットアロケーションをどうしたらいいのか、について書きます。
アセットアロケーションとは、株式・債券・現金・不動産・コモディティなど、どの資産クラスにどれくらいの割合で投資するかを決めることです。
投資成果の大部分はこの配分で決まると言われるほど重要です。そしてリスク許容度や投資期間に応じて最適な割合が変わるので、一律にこれ、と決まるものでもありません。重要にして難解なものです。
アセットアロケーションの例をいくつか挙げます。
1)GPIFの基本ポートフォリオ
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは以下のようになっています。国民の年金を「100年単位」で安定して支払うことが目的で、短期の利益より、長期で大きく損をしないことが重要。 必要なリターンを“最低限のリスク”で確保することを目標としている。高リスク・高リターンではなく、低リスク・中リターンを狙う設計。
資産クラス 基本構成割合
国内株式 25%
外国株式 25%
国内債券 25%
外国債券 25%
〇長所
・分散が徹底されていて安定性が高い → 株式・債券、国内・海外を均等に配分。
・長期の年金運用に適した低リスク設計 → 大きく増えないが、大きく減りにくい。
・透明性が高く、運用ルールが明確 → 基本ポートフォリオと乖離幅が公開されている。
〇短所
・リターンが伸びにくい → 株式比率が50%と控えめ。
・国内債券のリターンが低い → 日本の低金利ではほぼ増えない。
・為替リスクを常に抱える → 外国資産が50%。
・個人投資家には目的が合わない場合がある → 「資産最大化」より「年金の安定」が目的。
2)レイジーポートフォリオ(Lazy Portfolio)
ウィリアム・バンスタインらが提唱した、少ない手間で、広く分散された長期投資を実現するための、超シンプルなポートフォリオ。Lazy(=怠け者)でもできるというポートフォリオです。
資産クラス 割合
米国株式 34%
米国外株式 33%
債券 33%
〇長所
・シンプルで再現しやすい → 2〜3本のインデックスで完結。
・世界に広く分散できる → 株式・債券・地域を自然に分散。
・手間がほぼゼロ → リバランスも年1回で十分。
・長期投資と相性が良い → 放置しても成果が出やすい構造。
〇短所
・市場平均以上は狙えない → インデックスなので“勝ちに行く”戦略ではない。
・下落局面では普通に下がる → 株式比率が高い構成が多い。
・自分のリスク許容度に合わない場合もある → 一律の比率なので調整が必要なことも。
・債券部分のリターンが低くなることがある → 低金利環境では特に。
3)世界株100%(シンプル長期型)
ジョン・ボーグル(Vanguard創業者)は「市場全体を買う」インデックス投資の父と言われる人です。彼自身は米国株中心でしたが、 “世界全体を買う”という発想の源流を作った方です。
資産クラス 割合
全世界株式 100%
〇長所
・長期リターンが最も高くなりやすい → 株式は成長資産なので、時間が味方になる。
・世界中に自動で分散される → 国・地域・業種を広くカバー。
・シンプルで迷わない → 1本で完結、リバランスも不要に近い。
・インフレに強い → 企業利益が物価とともに伸びやすい。
〇短所
・値動きが大きい → 暴落時は30〜50%下落も普通にあり得る。
・短期では不安定 → 数年単位でマイナスになる期間もある。
・債券のクッションがない → 下落局面で守ってくれる資産がゼロ。
・精神的に耐えられない人には不向き → 下落時に売ってしまうと成果が出ない。
4)ターゲットデート型(年齢連動型)
年齢に応じて株式比率を下げていく方式。3)の世界株100%型を年齢に応じて比率を変えていこう、というものです。人の年齢に着目してリスクを調整するという視点に人間味を感じます。
資産クラス 割合
若年層:株式 90% / 債券 10%
中年:株式 70% / 債券 30%
退職前:株式 40% / 債券 60%
〇長所
・年齢に合わせて自動でリスク調整される → 若い時は株式多め、退職に近づくと債券多め。
・完全放置でOK → リバランスも資産配分変更も自動。
・世界分散が簡単に実現できる → 1本で株式・債券・地域を広くカバー。
・行動ミス(売り買いの失敗)を防ぎやすい → 自動化で感情に左右されにくい。
〇短所
・自分のリスク許容度とズレる可能性がある → 年齢基準が万人に最適とは限らない。
・株式比率が下がりすぎることがある → 長期で高リターンを狙う人には物足りない。
・中身を細かく調整できない → 国別比率や債券の種類を自分で選べない。
・市場環境によっては債券比率が重く感じる → 低金利時代は特に。
5)エンダウメントモデル(大学基金型)
イェール大学のデイヴィッド・スウェンセンが有名。どの局面でも強い資産を組み合わせて、全体として安定させるのが特徴です。最近はレイ・ダリオが提唱するものも見かけます。
資産クラス 割合(例)
株式(国内外) 20%
債券 10%
不動産 20%
PE(未公開株) 20%
ヘッジファンド 20%
コモディティ 10%
〇長所
・長期で高いリターンを狙える → 株式・不動産・PE・ヘッジファンドなど成長資産が多い。
・分散効果が非常に高い → 伝統資産+オルタナティブを広く組み合わせる。
・市場の非効率を取りに行く設計 → アクティブ運用や長期保有で優位性を狙う。
・インフレ耐性が強い → 実物資産(不動産・コモディティ)を多く含む。
〇短所
・個人投資家には再現が難しい → PE・ヘッジファンド・不動産などは最低投資額が高い。
・流動性が低い資産が多い → 売りたい時に売れないことがある。
・手数料が高くなりがち → アクティブ運用やオルタナティブはコストが重い。
・短期的な値動きは大きくなりやすい → 成長資産が多いためボラティリティが高い。
6)パーマネントポートフォリオ(ハリー・ブラウン)
アメリカの投資家であるハリー・ブラウンが提唱した、どんな経済環境でも資産を守り、安定したリターンを得ることを目的にした超保守的なポートフォリオ。
資産クラス 割合
株式 25%
長期国債 25%
金 25%
現金 25%
〇長所
・どんな経済環境でも安定しやすい → 株式・金・長期国債・現金が互いに補完。
・暴落に強い → 下落幅が小さく、精神的に耐えやすい。
・リバランスが簡単 → 年1回25%に戻すだけ。
・将来予測が不要 → 景気・金利・インフレを読まなくていい。
〇短所
・リターンは控えめ → 株式25%なので成長局面で伸びにくい。
・金と長期国債の比率が高い → 金利上昇局面や低金利国では扱いにくい。
・現金25%は機会損失になりやすい → 特に日本のような低金利環境では顕著。
・個人の目的に合わないこともある → 資産最大化より「守り」が中心の設計。
安定性を求めたうえである程度のリターンを求めるもの、メンテナンス性を優先したもの、積極的にリスクを取ってリターンを追求するもの、対象を分散させてどんな状況でも安定的な収益を目指すもの、とにかく守りを固めるもの。考え方は色々あるのだと感じます。
では自分はどうしたらいいのでしょうか?
以前も触れましたが、私は1)のGPIF型のポートフォリオをベースに、自分の状況を考えてアレンジしたものとしています。次回以降、考え方と共に説明します。
〇今回のまとめ
・投資成果の大部分はアセットアロケーションで決まると言われるほど重要。そしてそれは一律にこれ、と決まるものではない。
・先人たちが多くのアセットアロケーションを提案している。それには一長一短がある。
・自分の置かれた状況に応じて、アセットアロケーションを決定する。
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下のリンクは土曜日の投稿である「なぜ5%以上のインカムゲインを目指して資産形成するようになったのか」のまとめページになります。一気読みしたい方はこちらをご覧下さい。


