重症妊娠悪阻、再び | 働きながら不妊治療!

働きながら不妊治療!

フルタイムで働きながら不妊治療経験し二児の母に。35歳。山王病院からKLCへ転院経験あり。
2013年に体外受精4回目で妊娠、出産。2015年に2人目用に採卵、凍結。2016年に2人目妊娠、出産。現在、胚盤胞1つを凍結保存中。

(※この記事では、妊娠中の症状に関して書いています。今回の妊娠でも、1人目と同様に「重症妊娠悪阻」と診断され入院。前回の妊娠時に書いた重症妊娠悪阻の記事は、当ブログの閲覧数トップ5くらいに入るので、今回も記録のため記しておこうと思います。一部「嘔吐」などの表現があること、ご承知おきください。また実際の悪阻&入院は数カ月前だったため、当記事は過去を振り返って書かせて頂いています。)

前回の記事はこちら→



妊娠が順調に継続される中、私が恐れていたのがつわり。

1人目の時は、重症妊娠悪阻という、多く見積もっても妊婦の1%しか該当しないという症状に見舞われ、24時間点滴治療のため1ヶ月の入院。ほぼ2ヶ月間、何もできない日が続いた。

つわりの症状は1人目と2人目で異なることも多いと言われる中、はたして軽くなるのか、重くなるのか、はたまた同じなのか・・・。

漠然とした不安と淡い期待が入り交じる中、今か今かとつわりを待ちわびるが、症状はなかなか現れない。

おぉ、これはいけるかも!?

米や生ものはさすがに食べられなくなってきたけれど、それ以外は、食べつわりと思いたくなるような食欲。

ステーキ、ピザ、パスタ、ラーメン。全然いける。



2人目の方が軽い、とよく聞くし、もしかしたら、今回は・・・今回は・・・ぽけ~



と思っていたら・・・・・・・・・・・・・・・・うっ・・・


きました。

それは突然きました。



いつも通り、仕事をしていた木曜日。昼にチャンポンを完食するものの(海鮮類のみ残す)、なんだか胃が落ち着かない。

ムカムカ、ムカムカ。

レストランからデスクに戻る間、もどしてしまうのではという若干の不安を抱えながらも、なんとか午後の仕事をスタート。



が・・・。

4時頃になり、冷や汗をかくような強い吐き気が度々押し寄せるようになり、5時には、もう、限界。

一応定時を過ぎていた&急を要する仕事残っていなかったことから、チームメイトに「体調悪いのでお先に失礼します!」とだけ伝え、即行トイレへ。

リバースはないものの、身体はぐったり。冷や汗もすごい。

なんとか帰路へつくが、満員電車の中、立っているのだけでも辛い。幸い、殆ど開かない側のドア際を確保し、ドアへ寄りかかることで、なんとか直立姿勢を維持。

とはいえ、意識は朦朧、呼吸も荒くなり、冷や汗ではない本当の汗が出てきた。

すぐ隣の、ドア横のスペースにいた同世代の女性が、声をかけてくれる。

女性 「大丈夫ですか? 大丈夫ですか??」

  「はい、大丈夫です、あと少しなので、大丈夫です。」となんとか声を絞り出す。

女性 「私、次の駅で降りますから、ここ、使ってください。」と、彼女がいたドア横の角地のスペースを指さす。

  「ありがとうございます。」と小さくうなずくと、次の駅に停車。

女性 「ささ、ここ、どうぞ。」と、電車から降りようとする人達を食い止めるように、彼女が私が移動するスペースを作ってくれて、なんとかドア横の隙間を確保。

  「すみません、ありがとうございます。」と言うのがやっとで、降りていく女性の顔をみてお礼をすることもできなかった。



やばい、このままだと、最寄駅から自宅まで歩くこともできない。でも今日は雨。流しのタクシーはきっとつかまらない。

やむを得ず、タクシー乗り場がある1つ後の大型駅まで行って降りることにした。

が、そこでも問題発生。最寄駅のドア側に立っていたが、1つ後の大型駅のドアは反対側。降りる時に、満員の車両を突っ切ることになってしまった。

「すみません、すみません、降ります、降ります」

周りのオジサン達が、うざそうにこっちを見てるのが分かる。

声を出すのもやっとで、人を押しのけて歩く力も残っておらず、危うく降り過ごすところだったが、なんとか発車ベルぎりぎりで降車成功。

タクシー乗り場へヘロヘロになりながらもたどり着き、なんとか自宅へ着いたものの、そのままベッドに倒れ込む。

娘のお迎えへ行ってくれた母が、帰宅した主人に状況を説明。病院に連れて行った方がいいかどうか、2人が話す声が遠くで聞こえる・・・・・・(爆睡)






翌朝も症状は改善されず、仕事は病欠。少し休めば楽になるかと思いきや、時が経てば経つほど症状は悪化。



そしてついに・・・・・・・。

夕方リバース・・・ガクリ




前回のつわりの時もそうだったが、この時点で胃には物は残っていないようで、「もどす」と言っても、出てくるのは黄色い透明なサラサラした胃液。



きた・・・・・・。



それからは、体中の水分が全部出てしまうのではないかと思うくらい、胃液が次々と・・・。

こうなると、もう何もできない。ただただ、ベッドでぐったりするだけ。

いちいちトイレに行かなくて良いように、主人が大きい風呂桶に新聞紙を敷いて持ってきてくれるが、その風呂桶がすぐにいっぱいになった。




もうダメ・・・・・・・・・。

なにもできない・・・・・・。




この時点で病院に行こうか迷ったが、症状がひどくなってから、まだ1日程度。

つわりは、みんな、吐くもの。

前回の妊娠の際は、2週間くらい自宅でぐったりしている期間があった後の強制入院だったので、たった1日で病院へ駆け込むのは、早すぎるかな?大げさかな?と思い、とにかくもう少し様子を見ようと、ベッドで耐えていた。

今から思えば、数日後に緊急入院するくらいなら、この日のうちに行っておけばよかったのかもしれないけれど。




翌朝の土曜日も、その次の日も、ぐったり。

木曜日の昼から、何も口にしていない。

思い返せば、食べ物は数日摂取しなくても大丈夫かもしれないが、ほぼ丸3日間、水分を摂取していない上、大量の水分を嘔吐してしまっていたことで、早々に脱水症状になっていたのかもしれない。




あまりのぐったりさに、さすがに自分も危機を感じ、主人に日曜診察をやっている病院へ連れていってもらうことにした。

前回の妊娠時の経験から、口から摂取できない場合、点滴を少し打ってもらうだけでも症状が改善されるかもしれないという期待があった。

でも主人が色々と調べてくれたが、日曜日に空いている点滴ができそうな施設の整った産婦人科が全くない。

やばい、このまま月曜日までなんて、待てそうにない・・・。

結果、申し訳ないと思いながらも、やむを得ず、主人は最後の手段を強行。

前回、同じ症状で入院し、出産でもお世話になった大学病院に電話をかけ、事情を説明。「すぐに来て下さい」と言われ、なんとか診断してもらえることになった。






病院に着くと、私のフラフラ度を見て、玄関にいた警備員の男性が何も聞かずにすぐに車いすを持って駆け寄ってきてくれた。

木曜日の電車の女性といい、この警備員の方と言い、必死で病院に掛け合ってくれる主人と言い、周りの人たちの優しさが、身にしみる。



つわりなんて、妊婦の殆どの人が経験することなのに、私だけ大げさなんじゃないか、とか、気持ちの問題なんじゃないか、とか、どこかで自分を責める気持ちも本当はあるのだけれど、体が言うことを聞いてくれない。

そんな状況を一切責めることなく、ただただ優しく世話をしてくれる人たちが、ありがたかった。




ありがたく車いすに乗るけれど、正直、この時点ではすでに座っているのも辛いくらい、体力がなくなっていた。

ロビーらしき所(目も開けないほどぐったりしていた上、病院は前回の妊娠後に改装されていたので、車いすが止まった場所がどこかよく分からなかった)のソファーに乗せてもらうが、もうダメ、座ってもいられない。行儀が悪いと分かりながらも、床へなだれこみ、かろうじでソファーにもたれかかる。



主人は車を駐車場へ動かすため、一瞬離れなければいけないらしく、私の手に保険証と診察券を握らせて、足早に去って行った。



すると、近くにいた女性が心配そうに声をかけてくれる。

「大丈夫ですか?」

はい、大丈夫です、なんて、こんなぐったりした人に言われても説得力はないけれど、「意識はあります」アピールをして、なんとかその場をしのぐ。

すると受付の人が駆け寄ってきて、「すみません、お名前とか、教えてもらえますか?」と聞いてくるが、名前を言う気力なんて、もはやない。厳密に言うと、聞かれている質問さえ、理解するのに数秒かかるほど、頭がボーっとしてた。

口では答えられない代わりに、そうだ、保険証とか、見せれば分かるはず、と思って、握っている手を見せようとしたのだが、受付の人はそれに気付かず、「どうしよう、どうしよう」と言いながら離れて行ってしまう。

「待ってーーー! ここに名前書いてあるからー!」(心の声)と叫ぶが、届かず・・・

と思ったら、隣にいた女性が、

「すみません! 保険証、持ってるみたいです!! ここに、あります!」と受付の人を呼びとめてくれる。

(あぁ、ありがとうございます、感激・・・・・ううっ・・・




そうこうしている間に主人が娘と戻ってきて、受付の人に、事情を説明。

さっき電話した○○です、以前も同じ症状で入院したことあります、ここで産みました、等々。




隣の女性が、それを聞いていたからか、戻ってきた主人に声をかける。

女性 「もしかして、つわりですか・・・?」

主人 「はい、そうなんです。この子(娘)の時もそうだったんですが、数日前から何も食べられなくて・・・」

女性 「そうなんですか、実は私もこの子(一緒にいた息子さん)の時、同じような感じで、4カ月も入院しちゃったんです・・・。それがトラウマで、2人目どうしようか、未だに気持ちが決まらなくて。」

主人 「そうだったんですか・・・。妻も結構、それは気にしてて、でもなるようにしかならないって決めて、今回妊娠したんですけど、やっぱり実際になってみると、本当に辛そうです・・・」

女性 「そうなんですね、奥さんはがんばることにされたんですね・・・!」


(この間、私はぐったりしながらも、耳だけはダンボ!)


重症妊娠悪阻を経験した人は今まで会ったことがなかったので、「なぜ他の人は、軽いんだー!」と自分のレアさに嘆くこともあったけれど、この女性は、私より更に長い4ヶ月も入院していたなんて、お仲間を見つけたことが、なんだかちょっとだけ気持ちを楽にしてくれました。

顔を見ることもできず、直接話すこともできなかったのが、ちょっと残念でした。





その後10分ほど待った後、産科へ移動し、すぐに先生が診てくれた。

出産から2年半ぶり。数いる先生の中から、今日の当直は誰かなと思ったら・・・

なんという偶然!! 1人目の時の入院&健診でずっとお世話になっていた先生でした!



そして尿検査の結果、やはり今回もケトン体の反応があるので、即日入院。後から聞いたところ、前回の入院時はケトン体「3+」の反応でかなり重かったようですが、今回はそれを更に上回る「4+」だったそう。やはり、脱水症状と飢餓でかなり厳しい状態だったみたいです。


入院という(予測はしていたものの)やや残念な流れになってしまいましたが、主人や母(この時点で、近くに住む母も病院へ駆けつけてくれていました)は、やっと少し安心できた様子でした。

病院での治療経過等は、また次回書きたいと思います。




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