『母ちゃんがあんたにって。魚、渡したよ』夕食を持っていったホーチミンが台所のアタシに小袋を手渡す


何だ、魚って。置かれた小袋の魚を確認しアタシは大きくため息をついた。

小袋には頭と内臓を外した胴体だけの3センチ程の小アジがワンサカ
唐揚げにするには骨が残りそうなサイズで、南蛮漬けにするにも骨に火が通るように開きにしなければならないサイズ。いずれにしても面倒な工程がある大きさなわけ


義母よ、貰ったなら自分で料理せぇよ💢何でアタシに横流しする!


イラッとしながら直ぐに取りかかる体力、気力がないので魚が傷まないようにサッと洗って無造作に入れてある氷を流しに捨てた。
多分、小アジ釣りに行って大量に採れたモノのお裾分けだろうが貰ったものは自分で処理なり料理なりしてくれんかね。
両手が痺れているから、細かい作業はなるべくしたくないのだ。


程なく携帯に義母より着信
鬱陶しーっと再度溜息( ´Д`)=3 をつき電話に出ると


おばあちゃん『魚、渡したでしょ、 トシローが。』

真顔『貰たよ、さっき。ありがとね』

おばあちゃん『母ちゃんも貰ったのよ、綺麗な海で釣ったんだって。頭と腹わたが取ってあったでしょう(ちょっと得意げ)』 

真顔『うん、頭と腹わたは取っちょったが開きにせんな南蛮漬けで骨まで酢が届かん(得意げ殲滅)』


おばあちゃん『あら…。唐揚げなら良いんじゃない?』

真顔『骨が残るて。骨ごと食べるなら二枚におろさんなならんのよ』

おばあちゃん『はら……。それなら砂糖醤油で甘辛く煮てみたら?』

真顔『そんな料理知らんし、小鯵を煮て食べるて一口もなかがね(3センチサイズの煮つけて知らんわ)』

おばあちゃん『はら…。かえって手がかかるモノをやってしまったね』

真顔『(いや、材料を渡すのはいずれも手がかかるのだよ、婆さん)よかよ。開いて南蛮漬けにすればヨカのだから』

おばあちゃん『あんた、手を切りなさんなね』

真顔『(婆さん、アンタよりはケガはしない。ってか、アンタが横流ししなきゃ、そんなリスクはないのだよ)義母さんよりはケガせんから💢』

おばあちゃん『危なくないようにしないとよ!』

真顔『(しつこいんだよ、婆さん。そもそも、中途半端な小魚を渡したのはアンタだろうが!)大丈夫だから!危なければ、しないから!』


何なんか。自分で渡してて、手を切るなとか危なくないようにしろだとか。
そんな言うなら小魚を貰うな。
貰っても10匹くらいにしてくれ!
数えたら29匹あったし。


眼科受診から帰宅して、小休憩後、3センチの小鰺を開き片栗粉をまぶし揚げて甘酢に漬けて玉ねぎ、ピーマン、プチトマトと和える

有り難いかって?


はっきり言おう。


120% 迷惑っ!

3センチの小鰺を29匹、開いてみな。
それに片栗粉まぶして揚げてみな。
その工程は決して簡単に出来るもんじゃない。


そしてアタシはそれほど、鯵の南蛮漬けを欲してはいないのだよ。
29匹も!!


だが、命を無駄にする訳にはいかないので作ったよ、アタシャ!



疲れたよ!