娘を看ている高齢者がいるようで、入れ替わり立ち替わり誰かが面会時間ギリギリまで付いている。

それは元気な時の娘さんが物凄く大切な存在でそうすることを強く望んでいるのか、自己満足のためにそうしているのかわからない。が理解力が著しく乏しい認知症手前な婆さんであるのは推察できた。


朝も結構な時間、主治医か理学療法士かわからないが勝手にリハビリをキャンセルしないように説明されていたが、のらりくらり、自分の意見を押し通そうとする。患者にはリハビリは可哀想だと、リハビリをするくらいなら自分たちが付いてやってやればいいと堂々巡りだ。

リハビリは歩くだけがゴールではなく、その人に合ったゴールがある。
特に高齢者のリハビリは関節の拘縮防止や全身の血流改善、腸の動きの改善、嚥下機能の維持と様々で命に直結するものもある。
だから疾患に対する治療と併せてリハビリは行われるのが常だ。アタシのように説明すれば自分で出来るが、自分で出来ない患者はリハビリのプロの理学療法士が入って行うのだが、指導を聞いているとアアダコウダとしない方向に話をするのだろう。めちゃくちゃ叱られているが、叱られるだけあって全くめげない。


前頭葉の退化なのか。


小一時間ほどの説教をタンと聞かされた隣部屋のアタシの方が恐縮する。


叱った方は色々鬱積していたようでアレコレと注意するが結局暖簾に腕押し状態であり、認知症紛いの高齢者に様々な注意をしても十分理解させるのは無理なんだから

1、リハビリの実施は家族の希望でなく医療者側が可否の判断のもとに実施する

2、感染対応の遵守のために室内外に問わずマスクを着用する

3、以上が守れなければ付き添いは停止、もしくは治療が行えないとして退院してもらう

の3点に絞って念書を取り、決まり事が守らなければ3の強制執行すればよいだけなのだが。。


優しく言ってすんなり聞くほど、老人は生易しい人種ではない。
職場や義母との関わりでアタシも経験済みだ。
そしてどの口がそんな自分勝手な要求ができるんだと言うことをイケシャーシャーと宣う。
だからこそ、要点を絞ってピシャリと言わなきゃならないときもある。 


アタシが入院している病院は完全看護で付き添いは不要、面会も1週間以上経過して尚且つキーパーソンの家族2名以下と定められているし、平日限定だ。
その全てをひっくり返し病室で面会させているのに療養の妨げになるような付き添いは意味がない。
アタシなら粛々と3を強制執行するだけだが、まだまだ優しいんだなと振り回される職員が気の毒である。


患者の目の前で『もう、ダメなんだろうねぇ』と二人して言っていたのを『患者さんは聞こえているんです。そんなこと、言わないでください』と厳しく注意されて言ったのが


『あらあら、私は声が大きいから』と話題のすり替え


義母を思わせる言い訳に

『ババア、荷物まとめてサッサと散れ!』と思わずにいられないアタシであった。