アタシが出勤するバスは始発だから乗っている人は七時前、早い人だと六時半に乗車してる。
若い人なんか温かいバスの中ではうつらうつらではなく、ガッツリ熟睡しちゃう人だっている。


田舎へ向かうバスの運転手さんは大体3~4人くらいのローテーションで何年か続けるようで、運転手さんは乗客がどこで乗り、どこで降りるか、席はどの辺りに座るかまで把握していることが多い。


いつもなら必ず降りるバス停で乗ったままの女性。ガッツリ熟睡している。
乗ったはずのお嬢さんが降りないのは寝過ごしと気付いた運転手さんは一番前にいつも座るおばさんに起こしてくださいとお願いし、おばさんはお嬢さんを起こしに。

『あんた、降りるんやないね?』声をかけらるたお嬢さんは飛び起きた。慌ててバスを降りる前におばさんと運転手に会釈をする。
二人の見事な連携プレーで彼女はバスを乗り過ごすことなく遅刻を免れた。
出勤したら同僚に『危なかったぁー』と話すのだろう。


アタシも先日乗ったバスで運転手さんから『このお客さんを起こしてくれませんか』とマイクで依頼され起こしに行ったことがある。
一番前に乗っていたおばさんだったが、バスに乗る前に運転手さんに駅前に停まるか確認して乗ったので、運転手さんがそれを覚えていたのだ。


運転席から声をかけても起きないおばさん、男の運転手さんは余程の事例じゃなければ女性の体に触れてはいけない規約があるそうで肩を揺さぶって起こすことは出来ないらしい。
だからバスに残っている女のアタシに起こすように依頼したことを説明して礼を述べた運転手さんにアタシも頭を下げた。


都会なら今はなかなか見られない、田舎ならではの親切が見れたヒトコマに心が温かくなった、そんな出来事じゃったよ