婆さんの通夜の帰り道

アタシの弟、道に迷い30分で帰れる所を二時間かけてたどり着いた。

翌日、葬儀場にいくのに、前夜の二の舞は避けようと弟よりは道に詳しいと言うホーチミンに葬儀場まで先導させようとなった。

しかもうちの車にはナビが付いている。

弟の車にはナビはない。

葬儀場は婆さんや伯父さんの家が近いのでホーチミンは幾度となく通っているはず。

アタシも安心してホーチミンに任せた。

弟に『さすが義兄さん!抜け道まで知ってるなんて!』と誉められたかったか

鼻高々で細い路地に入っていく。

もちろんナビなどセットしていない。

ボサーっとアタシが助手席で座ってると

『こっちの道だよね、ね!』と同意を求めだした。

『はぁ!?何で同意を求めんのよむかっ運転しないアタシが道がわかるわけないでしょ!しかも、こんな細か道、知らんがっ!』

ホーチミンの顔がひきつる。

『おぃは、あっちに行きたかと…』と遥か彼方に小さく見えるコンビニを指差す。

『だから、アタシにそげん言うても、わからんがっむかっ何で知らん道に入るとね!?ドライブしにきとるんやなかのよ!しかも、人を先導しとるときに何で不確かな道に誘導するか意味が知れんがむかっむかっむかっ

細い道は更に細くなり
やがて畦道に…。

絶対、目指すコンビニの道に繋がっていないのは
誰が見ても明らか。

怪訝そうに付いてくる弟。
畦道は知らない家の前で途絶えた。

つまり、行き止まりシラー完全な私道は誰かの家の庭でちょん切れた・・・。


後ろにはぴったり付いてきた弟の車・・・。

Uターンもままならず・・・。


ヘラヘラ笑いながら、弟にUターンするようホーチミンは説明しに車の外へ・・・。


結局、先導されるはずの弟に先導され、国道に・・・。


さすが、ホーチミン・・・。


いや、アホーチミン!!


一回りほど年の離れた義弟から、苦笑いをされ、アタシからは大きくため息をつかれ・・・。


ある意味、期待を裏切らない永遠の迷い人、アホーチミンの『迷い道  by 渡辺真知子 』でした・・・がっくり