『かおるちゃん、なおの彼氏のこと、気に入ってるみたいで・・・』なおちゃんは呟いた。


かおるちゃん・・・その名前を聞いてアタシは絶句・・・。


かおるはアタシの小学校からの友達で、大阪から転校して言葉の違いやアタシ独自の気性の荒さから

クラスの一部の男子と険悪な関係になった時


その男子に対抗してかばってくれた、クラスの女子のリーダー的な友達だった。


中学校になり、あまり、接さなくなったが、それでも校内で会えば気さくに声を掛け合う存在であった。


かおるは、なおちゃんと同じクラスだったため、アタシと仲の良かったなおちゃんは、かおると

仲の良い子たちのグループに入ることに。


そんな中、なおちゃんの彼氏を含んで遊びに行ったらしく


かおるは、なおちゃんの彼氏をいたく気に入り、猛アタック。


しかし、なおちゃんの彼氏は、かおるに一切なびくことはなく


かおるの恋はアッと言う間に撃沈・・・。


かおるは、アタシには普通の友達だったが、勝気で強引、しかも、顔はゴリライモのような


普通の男なら、小走りに逃げたくなるようなタイプの女子高生だった。


勝気で負けず嫌いの、かおる。


なおちゃんがクラスに居ずらくなるような有りもしない、なおちゃんの彼氏との恋愛話を


クラスの女の子に吹聴し続けた。



なおちゃんの彼氏は、なおちゃん以外にも、かおるにもチョッカイ出しているらしいだの

かおるのほうに気持ちが傾きだしているんだの


なおちゃんからしたら、聞きたくない事実無根のことばかりだった。


そのうち、クラスメートも、あの、ゴリライモ子のかおるに、二股かけるほど

なおちゃんの彼氏は、もの好きではない、


かおるの自作自演の恋話だと、みんなが、かおるのことを、徐々に相手にしなくなっていったが


なおちゃんに、今日はかおるがこんなことを言っていたと、クラスの友達のタレコミ情報で

精神的に疲労するようになってしまったと言った。


どうしたらいいのか・・・。

かおるに『くだらないこと、言ってんじゃねえ!』ってアタシが言おうか??


なおちゃんに言うと

『そんなことしても、多分変わらないし、余計、ひどくなると嫌だから、言わないで』と言われた。


相変わらず、なおちゃんのお父さんは働かず、なおちゃんは高校の学費も滞るようになった。


『高校は、楽しいよ。絶対、卒業したい!!』って呪文のように言っていたのに

学校を休む日が日ごとを追うに増え


ある日、アタシが最も聞きたくなかったなおちゃんの決意を聞かされることになる。


高校2年の夏休み前、なおちゃんは言った。


『○・・・なお、学校・・・もう、辞める・・・。無理みたい・・・。』