現職に転職し7月が来れば10年目に入る。
看護師としては同じとは言え、前職は急性期病院の透析室で20年
現職は施設を終の住処として暮らす入居者が可能な限り安定した状態を維持出来るよう介護士さんと力を合わせて生活を見守るもの。類いが違うものだ。
他の施設と比べると医療が病院と変わらないくらい提供できるというのがウチの強みで通常であれば施設は受け取りが難しい対象者の受け入れも行っている。
アタシが入職した頃は入居者は総数、100名余りだったのが施設は現在市内、市外に3ヵ所、入居者は総計500名を越える。
働くスタッフも300名を越え前職とならぶ大世帯となった。
職務内容はザックリ言えば施設の入居者の健康管理、施設の医療と言うより老人病院というほうが合っている。しかも病院ほど看護師の数が居ないので重症化した入居者がいれば居るほど激務となりがちに。
しかも3月に医療事故と言われる事例があってから確認作業が今までの倍以上、時間や負荷がかかり更に忙しさに拍車が。
他の棟の3~4倍、点滴や高カロリ-輸液の人を抱えているウチは手が回らない事が多々となり疲弊仕切ったスタッフを見たアタシは勤務の組み方を検討してくれと主任に頼んだ。
主任は困っていたがフリーが居るときはウチに回すと言ったが、アタシは平日よりスタッフ数が少ない週末や祝日をどうにかするようにと要求
ほとんどの土日、休むスタッフの代わりにオバがその棟との兼務になり、呼ばれたり点滴などがあれば不在となる。本来二人で手分けして行う業務を1人ないし、別業務となる入居者の検温や看護記録の入力、医師の指示とりをする看護師が代わりにバタバタとこなさなければ回せない事態になっている。
別に楽をしたいわけではない。
ずっと動き回り、ずっと緊張を解かずに確認作業を繰り返すのは労働環境としては相応しくないのだ。
しかも棟によったり、立場によって業務量に偏りが大きすぎるのはおかしいと思わないのかと。
問題が明らかなのに他人事のように傍観したり、忙しいのは一時的だから凌いでよと、大事にならないと腰を上げないようなのがアタシには我慢ならんのだ。
アリの法則ではないがガムシャラに働くのは全体の2割、普通に働くのが6割、働かないのが2割。能力も似たような比率なのかと思っている。
ワンランク仕事が早くこなせる人が2割、普通のスピード6割、普通より遅くなかなか事が済まない2割
その2割の仕事のスピードが遅いスタッフを非難したり、スピードを上げるように指導するようなことを匂わせた時に、アタシの細く短い堪忍袋の緒が木っ端微塵に。
そりゃ、仕事の質としてある程度の早さや能力は保持しなきゃならんのは、百も承知だ。だが、人間なのだ。ロボットではない。皆が自分と同じ早さや能力を持っているわけではないし、そんなことを強いる権限があるのかよ、というのがアタシの持論だ。
相田みつをではないが、『みんな違って、みんな良い』じゃないか。
仕事が遅くても別の良さがある。速さだけが仕事の能力じゃない。
そんなどうにもならんことを言うのではなく、理論的に現実的な改善策を考えるのが今は必要だろうが。そう喰ってかかると
『でも、同じように業務が多かった時にも別な棟は業務をこなしてたけど』嫌味にも似た事を言ったのを聞き、アタシは片眉を上げて冷ややかに言った。
『その時と、今じゃ業務の確認作業が違うじゃないか。1人で確認して点滴や注入を行うのに部屋に入って良かった以前の方法なら、こんなに煩雑化せんのだよ。今のやり方だから人が要るって話をしとるのだ。
ええか、以前のやり方なら業務は回せるんだよ、アタシらだって💢!』
すると苦し紛れではないが『じゃ、忙しい時にインカムで応援を呼ぶって言うのは?』と提案する。
『あのさ、他の棟の業務の動きがアタシらには見えん。どの棟とてその中の忙しさがあるやろ、そんな中、インカムで手伝ってて簡単には言えんのよ。
それよりこの時間帯は一番業務量が少なかったり人数が多い棟がフォローに入るってのを決めて可視化してくれんか。それなら幾ら忙しくても2人で確認する作業はその時間に合わせて業務を回すから。』
噛みついた後、逃げ道を塞ぎ、叩き潰す。
『おまえの相手を詰めるやり方は本当に癖が悪い』アタシを何度、実父が諭しても直らない悪癖ではあるが、そこに至るまではアタシなりに言って良いか吟味はしているつもりだ。
遂に相手は白旗を振る。
『次のシフトからなるべくフォローがしやすいように、土日も含めて1人多めに出勤するよう勤務を組む。』
土日のほとんどを休みを希望しているスタッフにも一定数、勤務して貰うよう話をすることも依頼した。
今週からフォロー体制が始まり、たった1人のフォローで業務が雲泥の差となり若干の余裕さえ生まれている。
疲弊仕切っていたスタッフの表情も少し落ち着いた。
仕事も人生のように波がある
今、忙しくても、きっと穏やかな日が来たり、自分達がフォローに回る日も来るはずだ。
そこを目指して今は無理し過ぎない程度に頑張り続けるしかない。
