行きの新幹線は九州新幹線1本だったけど、オバが早割で取ってくれた帰りは博多で乗り換える新幹線だった。

アタシは乗り換えは九州新幹線と繋がっている山陽新幹線での乗り換えしか経験がなくて、その場合ホームは一緒。降りたホームの反対側に停車している新幹線にそのまま乗り換えることしか知らなかったのだが新大阪から博多に行くのは山陽新幹線だけではない。東京から博多までの東海道新幹線も新大阪に停まるのだ。

今回の新幹線はまさにソレでその場合、九州新幹線とホームは共有されない。 
別ホームに向かい乗り換えるのだが降車し別ホームから乗り換える、この行程を6分間で行わなきゃならんかった。 

仮にアタシがチケットを取ったならこの賭けのようなギリギリ乗り換えのチケットは絶対取らないが、身のこなしの軽いオバに取っては6分もあれば全然セーフ


博多に着く前にタラタラ降車していたら間に合わないと2人で早めに降車口に並び乗り換えるホームのアナウンスがないか車内アナウンスに耳を傾けていた。
しかし何故か乗り換えのアナウンスはなく、この新幹線は折り返し運行ではなく車庫に向かうだの、忘れ物が増えているので荷物を確認してだの、あまり関係ないものばかり

乗り換えるホームが何番線かネットで調べ、オバはアタシの大量の荷物を。アタシはオバのほんの少しお土産が入った紙袋を持って渦巻く人の波の中、降車し九州新幹線ホームを目指す。

近くにエスカレーターもエレベーターもない場所の降車だったため、オバは大きく息を吸って『○ちゃん、行くよ!』と二人分以上の荷物を握り階段をダダダダっと一気に降りた。
アタシはオバを見失わないように必死に背中を追ってヨタヨタしながら付いていく。


一番端のホームに2人で人の波をかき分けると、またエレベーターもエスカレーターもないのにオバは『は?ない…?!』と目を見開くが『ふんっっ!』と荷物をまた持ち上げ階段を一気にかけ上がった。


紙袋一つしか持っていないくせに『ヒィーッ』と情けなく一声あげアタシも力を振り絞り階段をかけ上がる。

階段を上りきると、目指す新幹線が扉を開けているのが見えた。

『どこの号車でもいいから中に乗る!』オバの声が幾分遠くで聞こえる。
息も絶え絶えオバを追いかけ乗車
自分達の席に付き 後、1分という結果に胸を撫で下ろした。

『オバ、ありがとう😆✨ ホント、ありがとう』
登山で鍛えた身体とはいえ、アタシの荷物を抱えて階段を一気に昇降するのは大変なことだ。やはり人間、諦めたらいかん。


そんなことを思いながら肩で息をしているオバを見つめアタシは違和感を感じた。
オバ、何かえらい身軽じゃないけ ???

アタシは胸をザワつかせながら確認した。
『  オバ… リュック… は?』


『はっ!!リュック!!』オバが驚いて立ち上がる。

そうなのだ。オバは自分の荷物を荷物棚にあげたのを失認していた。新大阪でアタシの荷物を棚に上げるか確認されたが、荷物の上げ下げが大変だからと足元に置いた。オバは小さめのリュックが一つだけだったので棚に上げてアタシの荷物は脚がつかえるからと自分の足元に置いてくれていた。そして、降りる時はアタシの荷物に気を取られ自分のリュックは棚にそのまま忘れてきたのだ。

『オバ、車掌さんに言って荷物を送ってもらわにゃいかんよ』とりあえずの対応を言うとオバは『だよね。。。』

そう言うとタタタタとかけだした。

ん?もうすぐ発車だから、発車してからじゃなきゃ車掌さん、話を聞けないはずだけど。 そう思っているアタシが目にしたのは予想だにしない光景

後、30秒程で発車する新幹線から降りて窓の外を走るオバの姿だった。

まさにこんな感じ。小走りなのにスローモーションに見える。




『は?オバ、何してるん…』アタシは誰に問いかけるでもなく呟いた。

え?アタシも降りてオバの後を追う?
いや、それは意味ないじゃろうし、何より もう、ドアが閉まる。
下手すればアタシはドアに挟まってしまう。で、出発が遅れて超迷惑ババア一丁あがりだ。

しかし、オバ、何しに外に出たんだ。まさか車庫に向かう新幹線を追いかける?
いや、そんなの無理だ。
とりあえず、今どこにおるのか、いや、外に出たのは知っているんだが。
パニックで整理できない頭で考えていると発車のベルが鳴った。


プシュー。。。ドアが閉まり『…フォン』車笛が鳴った後、滑るように新幹線はホームを後にする。間もなくして車内に流れたのは【いい日旅立ち】


一点を見つめ『何がいい日旅立ちかよ。。。』暫く思考停止だ。動きを止めオバにラインを送る。


【オバ、外に出たの?】何の確認か。出てたじゃないか。脳裏に焼き付いた小走りのオバの姿。
勿論、既読にはならず
次の駅で降りて博多に 引き返すか、それとも鹿児島で待機するか

呆然としつつ、試行錯誤していたアタシの席に向かうオバが見えた。
『オバ!!乗ってたんか!』

オバは発車直前、安全確認をしていた車掌さんにリュックを忘れたことを説明しようとしたが発車時間だったため、車掌さんから『乗るんですか?乗らないんですか?』と迫られ『乗ります』と答えると『じゃ、乗って!!』と秒で乗車させられいた。まさに超ギリギリセーフだった。

その後新幹線の発車業務が落ち着いた車掌さんが席でゆっくりと話を聴くと対処してくれたのだった。

その中でオバの荷物確認の際に『お客様、お名前、○○様でしょうか?』と言われたオバ
オバの名前なので当然『そうです』と答えたオバだったが、何で自分の名前がわかったのか疑問だった。2人で考えた結果、ネットでチケット取った時の名前と指定席で照合したんだろうっていう結論に至った。

忘れ物センターへ問い合わせた時、そうなんですか?と確認すると


『いえ、リュックの中を簡単に確認したらメガネケースに【○○ ○子とご記名がありました】』とまさかのアナログなモノだった。オバァー💦

車掌さん、丁寧な対処、本当にありがとうございました。

リュックに車と家の鍵を入れていたのでホーチミンの車でオバの家まで送り何とか旅は終了。(自宅には旦那さんが仕事から帰ってきており中に入れた)


後で聞いたら、オバ、旅行でリュックを荷物棚に置いていつも旦那さんから下車する前に『棚のリュック、降ろして準備せんか。忘れるぞ』と言われるらしい。

いやはや、最後でこんなオチがあるとは。。。

でも荷物忘れ、他人事じゃないのよ。だってアタシなんか、あの巨大な大量のお土産袋を置き忘れた実績があるんだから。


皆さんも旅行の際はお手回り品のお忘れには十分、ご注意を!!