日本の周天功がどうもおかしいと気が付いたのは、もう20年以上前のことになります。それから、10年、日本の気功の状況を眺めた後で、気功の指導をはじめました。

どういう経路で誤った周天功が日本に広がったのか、それが不可解でしたが、日本に持ち込また慧命経は偽経だろうということは、推測していました。正統道蔵に含まれていません。

日本の周天功が20世紀初頭に作られた偽経に基づいて広げらたと結論づけられます。

下の煉丹修養法は昭和2年に日本で刊行されたもので、おそらく、日本における最初の周天功の模倣だったと考えられます。当時、中国本土では、周天功を模倣した新興宗教が話題となっていて、その布教のパンフレットに、周天功の道教経典が使われていました。

以後100年以上経った今も、日本では、周天功の模倣がオカルト趣味の方々の間に広まっています。これは不思議な社会現象ですが、これも一つの日本におけるカルト現象と考えられます。

これを日本の密教の歴史と比較してみると、どれほど稚拙なものかがよくわかります。日本の密教を大成したのは、言うまでもなく空海ですが、空海も中国に渡る前に、役行者に由来する雑密(ぞうみつ)を修行していました。

空海の雑密は、日本のオカルト趣味とは異なりますから、まさに真剣なもので、中国に渡ったときには、密教の全体系を身に着けて帰ってくることになります。

空海の即身成仏義にも、空海自身が密教を瑜伽行中観であることを自覚していたことが述べられています。

日本の周天功を、周天功が本来もっている瑜伽行中観から見ますと、あまりに子供じみたものに見えるのは仕方ありません。また、オカルト趣味による模倣ですから、その弊害を省みることはないようです。

周天派は、後期密教にも認められた瑜伽行中観派です。

日本の周天功が改善されることは、今後、数百年ないと考えられます。

日本における周天功の模倣の歴史。