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モラトリアム法案が亀井金融大臣の下で検討されつつありますが、
金融機関側としては元本の返済猶予は承諾できても、利払い猶予
までは承諾したくないでしょう。金利については政府が補填しない
限り銀行は全く商売にならないからです。


最近のニュースでは
返済猶予法案が、融資企業に対する金融機関の返済猶予の
「一律義務化」を外し、政府の債務保証も盛り込まれる見通し
となったことで、銀行業界からは、「現実的な所に落ちつき、
これなら受け入れられる」(メガ銀幹部)と、安堵(あんど)の声
が漏れている。


とありますが、金融機関が安堵する「なにか」が合意された
可能性があります。その「なにか」とはいったい何なんでしょうか?


あくまでも想像の域を出ないのですが、おそらく
金融庁は「金融検査マニュアル」の厳格化を緩和するとの
方針転換で返済猶予に合意した可能性があります。


政府の検査基準が緩和されれば銀行はかなり楽になります。
融資先の評価として「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」
と振り分けられますが、銀行は要注意先であれば融資に対し
2%の引当金を積めばよいものを破綻懸念先になれば70%も
引当金を積み増ししなくてはいけません。


竹中時代に金融庁の立入検査が銀行に頻繁に行われ、
要注意先を容赦なく破綻懸念先に振り分けさせられていました。
しかも貸し渋り貸し剥がしは許さないとの厳しいものでした。
これが自己資本比率を低下させ近年銀行経営を苦しませる
原因のひとつになっていました。


破綻懸念先は元本返済を猶予される代わりに例えば金利さえ
正常に払うことができれば要注意先とみなす、と金融庁が認め
れば銀行は68%もの引当金から開放され、自己資本比率が
高まる結果となります。検査そのもの厳格化から緩和へ竹中
時代から180度転換する方向で進んでいるのかもしれません。


自己資本が充実すれば融資姿勢が変化します。
「猶予実績作りのため安全企業に融資が集中し、本来必要な
企業に資金が回らない危険もある。」との声があるのも確かです。

銀行は破綻懸念先とみなしたところは猶予をすることはあっても
追加融資をすることは当然避けるはずなので、
正常先に大量のお金が流れ込むことが予想できます。


政府は設備投資などを促進し景気回復を狙いたいのでしょうが、
銀行側としてみれば、中小企業には設備投資よりもむしろ
不動産担保融資に積極的になるのではないかと予想しますが、
はたしてどうなるでしょうか?

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