日本の介護施設には、良い面もあれば、もちろん良くない面もある。
以下は、認知症の父親を「特養」(特別養護老人ホーム)に預けた男性の語りです。自分の親を施設に入れること。経験した者しか知り得ない現実を話してもらいました。
* * *
「施設に入れるとね、命を縮めることになるんだよ」
これは私のおばさんの言葉です。いつも、繰り返し言ってました。おばさんは田舎によくいる世話焼きの専業主婦で、介護の経験も豊富。義理の親から親戚の面倒まで全部、自分で見るような人でした。
そんな人が「命を縮める」なんて言い方をするものだから、最初はドキッ!としましたが、頭から信じていたわけではありません。介護施設というのは、昔は特に当たり外れがあっただろうし、当事者との相性もあり、すべての入所者がうまくいくわけじゃない。
それでも最近は、充実した介護施設が以前より増え、働く人たちの意識も高くなった。昔のような姥捨て山のイメージで見てはいけないと思っています。
私は、施設信頼派で、介護はプロに任せたほうが安心だという立場でしたから、認知症の父は迷わず特養にお願いしました。それ以外の選択肢はなかったと思います。
ただ、結果的にそれが良かったかどうか、父にとって安らかだったかと聞かれたら、YESとは言えません。
怒りっぽい人は薬で“調節”される
「施設の人が一番困るのは、入所者同士がケンカしたり、暴れたりすることだからね。とくに認知症は怒りっぽい人が多いから、少しでもそのケがあると、厳しく管理される。」
これも父を「特養」に入れると決まったときの、おばさんの言葉です。確かにそうであろうことは、想像してみればわかります。たくさんのお年寄りが集まって集団生活をしているのだから、怒りっぽい人や暴力的な人は厄介者でしょう。
「そういう人はね、薬で“調節”することになるんだよ。ちょっと強めの薬を飲まされて、おとなしくさせられて、だんだん強い薬になって、もぬけの殻みたいになってしまう。元気だった認知症の人が、施設に入ったらあっというまに元気がなくなって、魂を抜かれたみたいに変わったなんて話は、いくらでもあるんだから」
「いやいやいや、おばさん、それは言い過ぎでしょう」と、私は反論しました。
薬を飲ませるといっても、どんな薬を処方するかは医師が決めることで、介護士さんは指示通りに薬を服用させるだけです。薬の調節は施設がやっているわけではない。
そもそも、施設と一口に言っても、「老健」(介護老人保健施設)と「特養」(特別養護老人ホーム)はだいぶ違う。「老健」はリハビリ目的なので、医師がいて医療行為も行われるけど、「特養」は終の棲家という位置づけなので、常駐の医師がいない場合もある。その辺は一緒にして語ってはいけないだろうという違いもあるわけです。
ただ、私も父と接してみて、認知症の患者の“元気度”をコントロールするのは大変だろうなというのは想像がつきました。元気な日と、まるで元気のない日が、不規則にあらわれる。
暴力沙汰を起こして精神科の病院に入院
一般的な認知症の薬は、脳の働きを活性化させる薬ですから、ほどよく元気が出るとちょうどいいんですが、元気が出すぎると怒りっぽさや暴力につながる。集団生活の中で優先されるのは、元気が出すぎないこと、おとなしく過ごすことだから、そっち方面へ調節されてしまうのは仕方のないことかも知れません。
「おとなしいけど、失禁してしまう人」と「トイレは自分でできるけど、たまに乱暴になる人」では、どちらが施設にとって迷惑かという話です。
この例は、私の父のことなんです。
父は認知症でしたが、足腰は元気で、トイレも自分一人でできました。ところが、特養に入って1年後くらいに、ちょっとした騒ぎを起こしてと言いますか、介護士さんの手を振り払ったら父の手が相手の顔に当たってしまい、殴ったような形になったらしくて……。
私は現場を見ていないので、それが暴力だったのか、たまたま手が当たっただけなのかはわかりません。
そしたら、施設の人に「うちの系列の精神科の病院があるので、一度そちらに入院していただき、落ち着いたら戻ってくるような形にしたい」と言われてしまった。
暴力沙汰を起こして精神科の病院に入院……って、いったい何が待っているのか、あえて考えないようにしました。
「お父さん、あんたが悪いんだ、せっかく特養に入れてもらったのにバカなことをして、自業自得だよ」 そう言い聞かせるしかなかった。
精神科の病院に入院するのは、手続きが大変なんです。たくさんの書類に1枚1枚サインさせられて、もし何かあったら手足を拘束する場合もあるとか、そういう覚え書きに家族として同意しないといけない。
それで2週間くらい入院して、父は「特養」に戻ってきたんですが、その姿はまるっきり別人でした。目から生気が抜けて、焦点が定まっていない。トイレは自分できる元気な人だったのに、失禁してしまうおとなしい人に変わっていた。
父の脳に何があったのか。今、思い出しても、申し訳なくていたたまれない。しかし、これが介護をプロに任せるということであり、集団生活を送るために必要なことなのだろうと、心を押し殺して従いました。
父はそれから半年後くらいに脳出血を発症して、口もきけない状態となり、数ヶ月後に旅立ちました。
「施設に入れるとね、命を縮めることになるんだよ」
おばさんの言葉が、胸に突き刺さりました。
認知症になると怒りっぽくなるのは、なぜ?
Q 認知症の人は怒りっぽくなると言われますが、その理由として考えられるものは?
A 感情をコントロールする脳の機能が低下するため
B 寿命が延び、高齢でも体力的に元気な認知症の人が増えているため
C もともと怒りっぽい人が認知症になる傾向が強いため
最近「キレる老人が増えている」というニュースをよく耳にします。ちょっとしたことで激怒する、大声を上げて相手を威嚇する、過大な要求をする……。
昔は「歳をとると人間が丸くなる」などと言われたものですが、それは人生五十年時代の話のようです。
現代では、50歳はもちろん60代でも70代でも元気、エネルギーいっぱいで仕事をつづける人も増えていますし、経済的な理由で働きつづけなければならない高齢者も増えています。
昔なら「隠居」していた年齢に、それなりにストレスのかかる仕事をしている。そんな時代にあって「歳をとると人間が丸くなる」どころか、余裕を失いむしろ怒りっぽくなる人も増えているのかもしれません。
質問の認知症の怒りっぽさの理由ですが、これは脳の機能低下が影響しています。感情をコントロールする脳の機能が低下していることから、自分の感情を抑えられなくなるのです。答えはAです。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では猜疑心が強くなり、人が信じられなくなる傾向も見られます。
ちょっと自分の思い通りになっていないと「ダマされた」と感じ、たとえば、よくあるのが、財布が見当たらないと、「盗まれた」と思い、家族やヘルパーなど身近な人を疑ったりします。また、家族や仲間が集まって話をして盛り上がっていると、「自分だけ仲間はずれにされた」と思い込んで怒るというケースもよくあります。
逆に、こうした怒りっぽさはMCI(軽度認知障害)のバロメーターととらえることができます。最近、怒りっぽくなった、イライラすることが増えたとしたらMCIの兆候、かもしれません。
MCIの段階で適切な対応をとれば、認知症への進行を防ぐことができます。自分のふだんの「怒りっぽさ」を振り返ってみるのも認知症予防につながりますよ。
認知機能の低下が見られるものの病的ではないグレーゾーンの状態であるMCI。認知症は防げないといわれてきましたが、MCIの段階で正しく対処すれば、認知症へ進行するのを防げる可能性があります。
(元記事リンク)
http://best-times.jp/articles/-/9532
(画像は投稿された画像)
👷🏻病院内に警察がある病院があるぐらいだからな…介護施設も大変だろうな…。
https://www.news-postseven.com/archives/20180730_729634.html
👨🏻🎤病院や介護施設の身体拘束もいろいろあるみたいですね…。
👴🏻先ごろ、フランスが認知症薬の処方をストップしたが、日本の医師たちは、認知症薬の処方に際して必要な検査をしていないほど、ずさんなようだ。困ったもんだな。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASL836WNPL83ULZU012.html
🙇🏻♀️ドキッ!としますね〜…。
👴🏻認知症薬はあぶないようだな。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180827-OYTET50033/
👩🏻🎨認知症薬は、かなり問題が多いみたいですね。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180827-OYTET50033/
👵🏻甲状腺検査は絶対にいるもんみたいね…。
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no541/
👨🏻🎤日本の介護施設は虐待もヒドイらしいですよ…。
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no556/
👨🏻🔬認知症薬は結局治らないようだ。
https://www.news-postseven.com/archives/20190308_881245.html
👴🏻薬の多剤処方はこんなに怖いらしいぞ。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59243