*以下引用*


医者はロキソニンは飲まない


「私は血圧が高いのですが、薬は一切飲みません。


血圧は低いほうがいいと言う医者は少なくありませんが、歳をとると血管が固くなるので、身体に異常がなくても血圧は上がります。これは自然なことです。高齢者にあえて血圧を下げる降圧剤(アダラート、ブロプレス、アムロジンなど)を使わなくてもいい。


むしろ血圧を下げすぎたために、脳に血液が回らなくなり、失神することもある。最悪の場合、肝臓や腎臓に障害が出ることもある」


『大往生したけりゃ医療とかかわるな』などの著者で、前高雄病院理事長の中村仁一氏(77歳)はこう語る。


医者は患者には勧めるが、もし自分が患者なら飲まない薬がある――。


中村氏が続ける。


「私は風邪を引いても、風邪薬(PL配合顆粒など)はもちろん解熱剤も飲みません。そもそも風邪を引いて熱が出るのは、身体が早く治そうとしている証拠です。ですから、わざわざ解熱剤を飲んで下げることはないのです」


風邪に特効薬はない。これは医者にとっては常識だ。だが何も薬を出さないと儲からないので、意味のない薬を患者に処方しているのだ。


「風邪の患者が来ると、抗生剤(クラリス、ジスロマックなど)を出す医者がいますが、私は飲みません。


抗生剤は細菌感染を防ぐためであって、風邪には効果がありません。むしろ飲みすぎると耐性菌ができて、いざという時、薬が効かなくなる」(はるひ呼吸器病院病理部長の堤寛氏・66歳)


高齢になれば多くの人が、何らかの生活習慣病の薬を飲んでいる。だが、「高コレステロール血症などに処方されるスタチン剤(クレストールやリピトールなど)は飲まない」と答えた医師は複数いた。


元東海大学医学部教授の大櫛陽一氏(70歳)もその一人だ。


「コレステロールは身体に必須の物質です。それを薬で無理に下げると、がんや肺炎、うつ病のリスクが高まることが報告されている。


'15年に厚生労働省は、食事摂取基準でコレステロールの摂取制限を撤廃しています。米国ではもっと前から、コレステロール低下施策を中止している。


つまりコレステロールは高くても問題ないと国がお墨付きを与えているのに、無駄な薬を出し続ける医者がまだまだいる」



自分が飲みたくない薬として糖尿病薬を挙げた医者も多かった。


「薬に頼らなくとも食事や生活習慣を見直せば、血糖値は下げられるので、私は飲みません」(東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏・78歳)


「血糖値の下がりすぎが怖いので、SU剤(グリベンクラミドやアマリールなど)は飲みたくない。実際、私は過去に3度、低血糖で倒れました。あのまま飲み続けていたら死んでいたかもしれない」(医師で医療ジャーナリストの富家孝氏・70歳)


実際、低血糖によりふらつきや眩暈を起こし、転倒し骨折すると寝たきりになる高齢者も増えている。だから医者たちは飲まない。


鎮痛剤として広く処方されているロキソニンやアスピリン。誰しも一度は飲んだことがあるだろうが、実は医者自身はあまり飲んでいない。


「腰の痛みを感じ、ロキソニンを服用したらなんと血尿が出た。副作用の可能性が高いと判断し、中止したところ正常になりました。


痛い時に我慢する必要はないが、消化管出血や腎不全リスクがあるので、飲むとしても短期に留めている」(健康増進クリニック院長の水上治氏・69歳)


バカ売れトラムセットは危険


クリニック徳院長の高橋徳氏(74歳)が「百害あって一利なし」とまで言い切るのが、鎮痛剤のリリカだ。


「リリカは知覚神経に存在するカルシウム受容体を阻害し、痛覚の伝導を遮断するとされています。しかし、カルシウム受容体は知覚神経のみならず意識や思考に関する神経にも存在しています。


リリカはこれらの神経活性をすべて抑制するので、多彩な副作用が発生する。しかも痛みを抑える神経の活性も抑え込んでしまうので、やがて鎮痛効果もなくなる」


整形外科医で望クリニック院長の住田憲是氏(71歳)も続ける。


「いま医療関係者の中で一番流行っているのが鎮痛剤のトラムセットです。痛みが取れるからと整形外科医の間でも一番売れている薬ですが、私は飲みたくない。


この薬は一種の麻薬みたいなものです。飲むと頭がぼーっとし、吐き気や便秘、痙攣など副作用も非常に多い」



痛みを抑えることもできず、副作用だけが残る。にもかかわらず、「とりあえず」といって処方する医者は後を絶たない。


アトピーやリウマチなどの治療にも使われ「魔法の薬」とも言われるステロイド。しかし、患者には処方するが、自分では使いたくないというのが医者たちの「本音」だ。


「ステロイドは対症療法に過ぎず、根本的な治癒にはなりません。リウマチによく使われる副腎ステロイドは、免疫抑制効果があるので感染症のリスクが上がるし、腎臓にも負担がかかる」(高橋氏)


「短期間の服用ならいいのですが、ムーンフェイス(顔が腫れ丸くなる症状)や下痢、精神不安などステロイドは様々な副作用が出るので長期間の服用はしない」(南越谷健身会クリニック院長の周東寛氏・65歳)


高齢者によく出される骨粗鬆症薬のビスフォスフォネートも自分では飲まない薬に挙がった。


「この薬は、骨密度をUPさせるとして安易に処方され整形外科のドル箱になっています。


この薬は骨代謝を抑制し、老化した骨細胞を温存する代わりに、骨の柔軟性は失われていく。そのため顎骨壊死や骨幹部骨折など重篤な副作用が起きることがある。非常にリスクの高い薬なんです」(ポーラのクリニック院長の山中修氏・63歳)


昨年、日本老年医学会が、高齢者は薬の服用数が増えれば増えるほど健康を損なうと警告を発した。特に高齢者は、腎臓や肝臓の機能が衰えてくるので、薬を体内で消化できない。つまり「薬が病気を作っている」と言っても過言ではない。


中でも代表的なのが「うつ病」だ。抗うつ剤の市場は右肩上がりで、'22年には1500億円を超えると見られている。


「セロクエルなど依存性が強い向精神病薬は服用したくない」(前出の周東氏)


「抗うつ病薬は、製薬会社が儲けるために作られたものなので、私は飲みたくありません。実際、以前勤務していた病院で、うつ病だと診断されていた患者さんのほとんどは低血糖、低血圧が原因でした」(千代田国際クリニック院長の永田勝太郎氏・69歳)



現在、認知症を完全に治癒する薬は存在しない。だが実際には認知症薬と称した薬が、多くの患者に処方されている。中でもアリセプトは、暴力的になるなどの副作用も多数報告されている。


「認知症薬の効能については、進行を遅らせるという言い方をしていて、治すとは言っていない。そんなエビデンスがしっかりしていない薬を飲み続ける必要があるのかは疑問です」(大阪大学人間科学研究科教授で循環器内科の石蔵文信氏・62歳)


医者の間でも様々な意見がある。複数の意見を参考に、どんな薬を飲むべきかをもう一度考えてみることも必要なのかもしれない。



(元記事リンク)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52832



👨🏻‍🔬フランスいわく、認知症薬は効かないそうだ。

認知症の予防薬、治療薬はいくつもありますが、フランス政府保健省がその認知症薬の効果に疑問を呈し、保険適用を取りやめることを決めて、患者や医療関係者に衝撃を与えています。今後高齢化の進展に伴って認知症患者は増えると予想されていますが、投薬による予防や症状改善はもう望めないのでしょうか。認知症ケア・コミュケーションの専門家で、「理由を探る認知症ケア」の著者であるペホスさんが解説します。


いま、日本で健康保険が適用されているアルツハイマー型認知症の治療薬は次の4種類です。


ドネペジル(日本の商品名アリセプト、以下同じ)▽ガランタミン(レミニール)▽リバスチグミン(イクセロン/リバスタッチ)▽メマンチン(メマリー)。


ところが先日、治療薬に関して衝撃のニュースが流れました。


◇フランス保健省「認知症薬に十分なエビデンスなし」


フランス保健省は、上記4種類の治療薬について、さまざまな副作用が懸念される一方で、期待するような効果を示すエビデンス(医学上の根拠)が十分に得られなかったとして、「医療保険でカバーするのは適切ではない」という判断を下し、今年の8月から医療保険を適用しないことを決めたのです。


こうした動きは、フランス保健省だけにとどまりません。今年に入ってから、ファイザー、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの大手製薬会社が、治療薬開発からの撤退を表明しています。治療薬開発にまい進するベンチャー企業もありますが、やはり、これまで開発に巨額の資金を投入してきた製薬会社が撤退するという決定には大きなインパクトがありました。


アメリカのミネソタ大学公衆衛生学部の研究者も昨年12月、「認知機能の低下やアルツハイマー型認知症の予防に役立つことが証明された薬剤やサプリメント、脳トレーニング法は今のところ存在しない」とする論文を発表しています。過去の多くの臨床試験データを分析したものの、強いエビデンスに裏付けられた薬剤や予防法はなかったと結論づけたのです。


認知症を改善する薬、予防する薬の開発は多くの人の希望でしょう。それだけに、公的機関の効果なしの判断や、製薬会社の開発撤退のニュースは、認知症のご本人や家族にとても複雑な感情を抱かせたかもしれません。


薬には病気を治したり、悪化を防いだりする効果がありますが、認知症について言えば、症状の表れ方は人によってさまざまで、また周囲の人の関わり方や環境にも大きく左右されるため、薬の効果だけを純粋に判定することが難しいという事情があります。


◇さまざまな要素が薬の効果を打ち消すことがある


最初に書いたドネペジル(アリセプト)という薬は、活力を引き出す効果があるとされています。そのため、朝食後に服用することで、日中は活力が上がり、夕方から夜にかけて徐々に活力が低下して、夜はぐっすり眠れるようになることを期待して処方されます。


ところが、周りの人の関わり方や環境によっては、その効果を打ち消してしまうことがあるのです。夫が亡くなったことをきっかけに、住み慣れた家から息子夫婦の家に引っ越し、同居を始めた女性のケースはそのことを教えてくれます。


女性はそれまで、どんなに疲れていても自分で家事をしていました。同居後は息子の妻が家事をしてくれるようになり、することがなくなりました。気晴らしをしようと思っても、おしゃべりをして時間をつぶす友人は近所にいません。買い物をする必要もなく、徐々に外出しなくなりました。


1人で楽しめる趣味もなかったため、テレビを見るぐらいしかありませんが、老眼が進んで目が見えにくくなり、耳も聞こえにくいので、テレビを見るのも疲れるようになりました。


することがなければ、どんなに活力があってもソファでウトウトうたた寝。その影響で夜眠りが浅くなり、昼間は眠気からぼんやりとした表情や動きになってしまいました。外からは、ますます認知機能が衰えているように見え、医師に相談すると薬の量が増えるけれども状況は改善しない--という悪循環に陥ったのです。


◇患者がいきいきと過ごせる環境づくりが必要


家事という役割があること、気軽におしゃべりできる友人がいること、出かけようと思える場所があること、趣味を楽しめるように視力や聴力を補助する機器を使うこと--といった諸条件と、飲んでいる薬の効果がぴったり合えば、認知症であってもいきいきと過ごす時間を増やせます。認知症はそれほど、他者との関係性や周辺状況に強く影響を受けるのです。


「ダイエットに効く」という触れ込みのサプリメントをただ飲んでいれば、ダイエットできるでしょうか? 運動もせず、食べたいだけ食べ、飲みたいだけ飲んで、そのような効果が得られるとは思えません。


認知症薬の開発をすべての製薬会社が放棄したわけではありませんが、十分なエビデンスを得るまでには相当の時間が必要となるでしょう。薬の完成を待つだけでなく、その人がその人らしくいられるように、周囲との関わり方や環境を整えることに目を向けてみてはいかがでしょうか。


(毎日新聞医療プレミア)