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*以下引用*
寝不足でキレる! その「脳内変化」が分かってきた
いつ頃からだろうか、キレやすい人が増えているという記事をよく見かけるようになった。最初は癇癪(かんしゃく)を起こしやすい子供が多くなった、ゲームばかりしているためではないか、などという話題から始まったような記憶がある。
どんどん寝不足になった日本人
その後も誰かが何処かでキレたという話題は途切れることがなく、最近では、キレた高齢者が福祉サービスの人間にキリつけただの、キレた子供を叱った担任の先生にキレた母親が学校に怒鳴り込んでキーっとなっただの、ややこしい事件を聞いてもさほど驚かなくなった。隣国韓国でも、とある財閥の母娘がそろってキレたという話題もあった。いずれにしても、老若男女にかかわらず幅広い年齢層や社会階層で「キレる」という現象が見られるらしい。
世間一般に言う「キレやすい」という現象の正確な定義は知らない。そもそもそのような定義があるか分からないのだが、私なりに解釈すると、キレやすい人物の特徴とは、
1)遭遇した出来事に対して怒りが湧きやすい
2)その怒りの度合いが大きい
3)怒りが持続する
4)怒りが暴言や暴力などで表面化する
といったあたりだろうか。
このような情動や行動を自分で制御できなくなる性格的特徴を生まれながらに持つ人は少数ながら一定数いる。そのために人間関係の破綻や暴力行為などの問題を生じる場合には「秩序破壊的・衝動制御・素行症群」と診断される。耳慣れない病名だと思うが、このような「キレやすい」性格も極端な場合には「病気」の一種とするのが現代の精神医学の考え方なのである。ただ、最近になってこの病気の患者が増加しているという話は聞かない。
高齢になってキレやすくなる人も
一方で、もともとキレやすい性格ではないのに、何らかの原因で後天的にそうなることがある。高齢者がその代表である。孔子によれば「六十にして耳順(なら)う(六十才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになる)」そうだが、なかなか理想通りにはいかない。実直に勤め上げた人が、退職後徐々に怒りっぽくなり、時事問題にブツブツ文句を言っていた間はよかったが、しまいには家族、友人、隣人に対しても些細なことで激怒するようになった、などという相談を受けることがある。
孤独や役割の喪失、貧困など高齢者がキレる事情はさまざまあるが、前頭葉の機能低下が下地として隠れていることがある。前頭葉は大脳の前部(額の後ろ側)にあり、物事に対する意欲や注意、記憶などを司る。大脳の奥深くにあり情動のコントロールを司る大脳辺縁系とも前頭葉は密接に結びついており、心を揺るがす出来事に遭遇した際に喜怒哀楽が暴走しないよう適度にブレーキを踏んで情動(感情)を調整する役割も担っている。
歳とともに怒りっぽくなるご老人を見かけることがあるが、前頭葉機能が低下して感情の大きな振れを抑えきれないためだというわけだ。時にはそのような性格の変化が認知症の初期症状になる場合もある。特に前頭葉が主に障害される前頭側頭型認知症(ピック病)では、物忘れではなく些細なことでキレやすくなったなどの性格変化で最初に気づかれることも少なくない。
さて、ようやく本題に入る。睡眠不足の時にいらいらしてキレやすくなるという経験は誰しも持っていると思うが、その脳内メカニズムが最近の研究から分かってきた。
脳のブレーキが効きにくくなる
20代の健康な若者に実験に参加してもらい、5日間にわたって8時間たっぷり眠った後と、同じく5日間にわたって4時間しか寝かせなかった後で比べてみると、睡眠不足時には不快な感情刺激(他人の怒りの表情を見るナド)によって気分が悪化しやすく、不安になることが確かめられている。
その時、脳内の神経活動にどのような変化が生じているか機能的MRI(fMRI)で調べてみると、睡眠不足時には先の喜怒哀楽が暴走しないようにするブレーキ(前帯状皮質と扁桃体の間の機能的なつながり)が効きにくくなっていることが明らかになったのである。
普段は気にならないような上司や同僚のちょっとした仕草や表情に悪意を感じ、そしてそれに対する腹立ちがなかなか収まらず、帰宅途中に立ち寄った酒場で悪酔いするようなことがあれば、それは睡眠不足による過剰反応かもしれない。
より最近の研究では、このような脳内の神経活動の変化はわずか2日間程度の睡眠不足でも生じることも明らかになっている。厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄養調査によれば、日々の睡眠時間が6時間未満の人が成人の40%、5時間未満の人でも8%に及ぶ。キレ準備状態にある日本人は相当数に上るだろう。すでに世間を賑わせた「キレた人々」の中にもグッスリ眠っていれば怒りをこらえることができたケースがあったのではなかろうか。
(元記事リンク)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180521-00010002-nknatiogeo-sctch
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO03622080V10C16A6000000
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