{8079E2F8-B716-4085-A4A3-68280F112744}

*以下引用*


昔からの格言がズバリ言い当てている真実、すなわち「人は食べている物を体現する」ことは、腸内細菌叢について知れば知るほど、ますます明白になっています。腸内細菌叢は、腸内のバクテリア、ウィルス、真菌を含む微生物のコロニーです。


腸は「第二の脳」として機能しており、脳にあらゆる種類のインプットを行っていることはすでに証明されています。そのインプットは気分や全体的な健康状態に影響するばかりではなく、免疫応答や神経系の機能にも影響があります。


腸内細菌叢は、指紋と同じで一人一人全く異なり、両親の反映であり、今までどこに生活してきたか、親密なひとときを誰と過ごしているか、食生活、ライフスタイル、地球と相互作用しているか(ガーデニング等)その他多くのことが影響します。


腸内細菌叢が、ごく一部の例を挙げるだけでも肥満、減食後に減量を維持し続けられない困難、うつ、多発性硬化症(MS)を含む多くの病気や健康障害の発現に役割を演じていることを研究が明らかにしました。


例えば、発酵食品は、若者でも成人でも、社会不安障害(SAD)を抑える効果があることが示されました。また、動物実験で、バクテロイデス・フラジリスという細菌株の導入により、強迫反復行動が和らげられることが分かりました。


最近、ニュージーランドの研究者が、新鮮な野菜と果物の摂取を増やすことで、わずか2週間ほどで精神の安定を改善できる可能性を報告しました。Medical News Todayによれば「14日間にわたり毎日、果物および野菜を多く与えられた若者は、食欲が増し、意欲と生活力の上昇を経験しました。」


アメリカの食事指針では、毎日、果物2カップ分および野菜の2~3カップ分を食べることを推奨します。しかし大多数が、この量すら不足しているのです。


この研究では、一つのグループには2週間毎日、ニンジン、キウイ、リンゴ、およびオレンジを含む新鮮な果物と野菜を2品分だけ多く食べてもらい、反対に、普通の食事を継続したグループと比較しました。


そのなかで、1日当たり平均3.7品と最も多く果物および野菜を食べた人は、とくに「生活力、意欲および気力」において精神状態に最も顕著な改善がありました。研究者によれば「この調査結果は、果物および野菜と健康の間の因果関係の最初の確認となりました。大規模介入研究でも同じ結果を示唆しています。」と説明しています。


(補足・ただし、野菜と果物によっては有害な残留農薬が多いので注意が必要。

{65DF8B93-0769-4007-BC1A-D3BE578C0AE7}
農薬の多い野菜と果実:アメリカの非営利環境問題研究団体EWG(Environmental Working Group)調べ。残留農薬の多い野菜と果実をたくさん食べていると妊娠できない場合がある。

👦🏼最新農薬ランキングだよ。


健康に多くのかたちで影響する腸内細菌


腸内細菌が主役を演じていることには次のようなものがあることも研究者らは発見しました。


1. 行動:Neurogastroenterology & Motility(神経消化器病と運動の専門誌)に掲載された研究では、腸内常在菌が不足するマウスに、正常なマウスと異なる行動、「ハイリスク行動」とも呼ぶべき行動が観察されました。マウスの脳に神経化学上の変化が起こったために行動が変化したとされています。著者によると:


「バクテリアは誕生後に腸内に細菌叢を形成し、脳の成長する重要な期間を通して特定遺伝子の発現に変化を引き起こすことで、行動におそらく影響を及ぼしている。」


2. 遺伝子の発現:腸内細菌叢は極めて強力な後成的変成要因です。すでにご紹介した通り、幼少期の腸内常在菌の有無が生涯の遺伝子発現を決定づけることも研究者らは発見しました。


遺伝子プロファイリングによって、腸内常在菌の欠如により、学習、記憶、運動制御に関係する遺伝子や信号伝達経路に異変が起こっていることが発見されました。腸内菌が、幼少期の脳の発達と将来的な行動に密接に関わっているのです。


このような行動の変化は、幼少期の早い段階で正常な微生物にさらされることで解消することが可能です。しかし、保菌が少ないマウスが成長してしまうと、細菌叢ができても行動に影響することはありませんでした。


同様に、プロバイオティクスは、若い遺伝子の活動に影響し、身体の健康、病気に対抗するような遺伝子発現を促すことが分かっています。


3. 糖尿病:糖尿病患者の腸内細菌叢は、あるデンマークの研究によると、糖尿病ではない人々とは異なるそうです。特に、糖尿病患者は糖尿病ではない人々よりフィルミクテス(Firmicutes)門が少なく、バクテロイデス門(Bacteroidetes)やプロテオバクテリア(紅色細菌)が極めて多いのです。

{02034AD7-CDC7-4092-97A5-9937C98E10A9}
{108B5DC3-2950-41FC-BD63-6F97D0F43060}

その研究はバクテロイデス門に対するフィルミクテス門の正の相関性とグルコース耐性が減少していることも発見しました。


著者によると「この研究の結果は、2型糖尿病が小腸細菌叢の構成に関係していることを示す」そうです。


砂糖は、腸内の病原菌、酵母(イースト)や真菌の栄養素であり、インスリン抵抗性を促進するより多い健康害が実際にあります。健康的食事(砂糖や穀類を少なめに、生鮮食品や発酵食品、醸造食品をより多く)を食べることの主な結果の一つは、善玉腸内細菌が繁栄し、健康を回復する現実的な「魔法」も副次的におこることがあげられます。最適な腸内細菌叢が1型糖尿病を予防する作用を実証した別の研究もあります。


4. 自閉症:誕生後最初の20日間での腸内細菌叢の確立状況は赤ちゃんの免疫系の適正な成熟のために決定的な役割を演じています。腸内細菌叢の異常をきたす赤ちゃんは免疫系が弱化しており、ADHD(注意欠陥多動障害)、学習障害、自閉症等の疾患リスクが特に高く、腸内細菌叢の平衡を復元する以前にワクチンを投与された場合、特にこの点が該当します。


5. 肥満:腸内常在菌の組成は痩せた人と肥満の人では異なる傾向があります。この点が今日までの善玉菌研究分野で最も強力な部分の一つです。結局、減量に取り組んでいる方なら、腸内細菌叢の復元は重要な検討課題です。


プロバイオティクスが以下のようなものを含む多種多様な障害に与える影響についても各種研究で報告されています。


炎症性腸疾患(IBD)

過敏性腸症候群 (IBS)

便秘と下痢

大腸がん

潰瘍につながるピロリ菌(H. pylori)感染の根絶

膣感染症

過剰な免疫反応

湿疹

関節リウマチ

肝硬変

肝性脳症

慢性疲労症候群


パーキンソン病は腸から発病する


研究者らは、特定の腸内細菌とパーキンソン病発病の間に関連性があることを最近発見しました。特定の腸内細菌が生産する特定の化学物質はこの病気に関わっている脳内タンパク質の蓄積を悪化させます。


この関連性は、科学者らをして、最善の処置は薬ではなく、特定のプロバイオティックスを有効的に活用して、脳ではなく腸を標的にすべきと示唆させるほど入り組んでいます。実にますます多くの研究は、パーキンソン病については一貫して誤解があったことを示唆しました。


パーキンソン病の患者は、10年ほども便秘に悩んだあげくの果てに神経系の症状が出始めること、また他の研究は、この病気に関わるタンパク質が腸から脳内へ転移することを発見しました。


αシヌクレインと呼ばれるこのタンパク質群が脳内に定着すると繊維状になり、これが脳神経を破損し、パーキンソン病の患者の独特の震撼や運動障害が出始めることになります。


実際に、αシヌクレインを生産する腸内細菌はパーキンソン病の症状を助長するだけではなく、パーキンソン病の症状が発現する原因でもあると研究者らは考えています。


パーキンソン病に関わるタンパク質の塊は腸に由来する


この研究では、人工的に作ったαシヌクレインを実験用マウスの胃と小腸に注入しました。すると数日後にαシヌクレインの塊が腸内に認められました。21日後にこの塊はピークを迎えるまで成長しました。


そのころまでにαシヌクレインの塊は腸と脳を結んでいる迷走神経内にも観察されました。Science Newsは次のように説明しています:


「注入後60日たったら、αシヌクレインは中脳に蓄積していた。脳のこの部分は化学的神経伝達物質ドーパミンを生産する神経細胞が集中している部位である。この神経細胞の死こそ、パーキンソン病で動作障害を起こす進行性の脳障害につながる。


脳に到達した後、αシヌクレインは星状細胞という脳細胞に部分的には助けを借りて拡散していく、と第二の研究は示唆している。シャーレに入れた細胞で実験したら星状細胞が蓄積してαシヌクレインを細胞の間に拡散することが観察された」


時間の経過に伴い、αシヌクレインの塊は脳へ転移し始め、マウスはパーキンソン病の患者とそっくりの動作障害を呈し始めたのです。


こうした事実は、少なくとも一部の患者においては、パーキンソン病が、実際には腸に起因しており、慢性便秘こそ重要な初期症状であるようです。殺虫剤もパーキンソン病の原因ではないかと見られ、その著者らは化学物質は腸内細菌にインパクトを与えてこうした影響を生んでいると思われると示唆しています。


腸内細菌が遺伝子の変化に影響する


腸内細菌はまことに様々な経路で健康に影響します。腸内細菌叢が多かれ少なかれ、あなたを病気になりやすくするメカニズムがあり、遺伝子変化を制御するものもあり、このメカニズムは、食事による影響が大きいのです。


食物繊維豊富な食事は、病気からあなたを守る特定の遺伝子をスイッチオンすることを、最近の研究が明らかにしました。


腸内細菌は重要なエピジェネティック伝達物質


手短に言うと、最近発見された研究結果では、植物繊維を餌にする細菌が生産する短鎖脂肪酸は、中心的なエピジェネティック伝達物質であることを示唆しています。逆に、ファーストフードなど典型的な西洋的食事、つまり、糖分が多く繊維質が少ない食事は、善玉腸内細菌の栄養素としてはとても貧弱なのです。


そのため、ファーストフードなど典型的な西洋的食事では、DNAと交信する腸内細菌が減り、ますます病気になりやすくなります。腸内細菌は極めて競争的でもあり、腸内細菌のタンパク質はライバルの腸内細菌を殺し、支配権を握ります。


悪玉菌と病原菌があまりにも領土を広げると、病気はますます起きやすくなり、反対に、善玉菌が陣取り合戦で勝つと、病気から守られ易くなります。

{072BB1A8-8789-4B29-855A-CB547E051F24}


(2につづく)