脳を健康に導くその他のビタミン
ビタミンB群の他にも、脳の健康のためには、ビタミンCやDも重要です。ビタミンCは、セロトニンなどの抗鬱作用のある神経伝達物質の産生に重要な役割を果たします。
ビタミンCは、IQや記憶力を改善し、年齢による脳の変性と脳卒中を防ぐ作用があります。
ある研究では、ビタミンCとE(相乗効果を持つ)の組合せが痴呆症のリスクを60%低減させるという結果が出ています。ビタミンCには解毒効果があり、血液脳関門を通過することができるため、重金属を脳から除去する作用があります。
皮膚が太陽光にさらされると産生されるステロイドホルモンであるビタミンDも脳に大きな影響を与えます。 妊娠中のビタミンD不足 は、欠乏が胎児の脳の適切な発達の他、多数の問題に発展することがあるので、妊婦は、特にこのことを認識している必要があります。
誕生後も、子供の脳のさらなる発達にビタミンDが必要です。
成人では、ビタミンDの適度な濃度を維持することで、認知機能の低下を防止することが明らかにされています。
このような貴重な栄養素はどこで手に入るのか
認知機能の低下は「自然」の出来事ではありません。多くの場合、原因は生活習慣です。栄養価が低く、糖分、野菜以外の炭水化物、トランス脂肪酸のような健康に良くない脂肪分、数々の毒素(殺虫剤や化学調味料、合成添加物など)が多い食事のせいです。
有毒な殺虫剤を避けるためには、理想的にはオーガニックで、地元産のリアルフードから栄養の出来るだけ多くを摂るようにお勧めします。
状況や体調によっては、さらに多くのサプリメントが必要かもしれません。
まず、この記事でお話した、脳に良い栄養素を含む食品のリストをおさらいしましょう。動物性のオメガ3脂肪酸、ビタミンB6、B9、B12、C、D、これらの栄養素が豊富な食品を食べていないと思う方は高品質の、理想的には食品由来のサプリメントを検討してください。サプリメントを選ぶときには次の項目に注意しましょう。
大事な栄養素と含有する食品およびサプリメント
動物性のオメガ3脂肪酸
水銀の体内蓄積が少ない、天然アラスカ鮭、イワシ、カタクチイワシなどの脂肪分の多い魚やオーガニックの 牧草飼育牛の 牛肉
イワシは特に多くのオメガ3脂肪酸を含んでおり、1回の服用量で一日の50%の充足率です。
南極のクリルオイルは持続可能な選択肢です。天然のアスタキサンチンが含まれ、酸化防止作用もあります。次に良い選択肢は天然のアラスカサーモンオイルです。
ビタミンB6
七面鳥、牛肉、鶏肉、天然サーモン、サツマイモ、じゃがいも、ヒマワリの種、ピスタチオ、アボカド、ホウレンソウ、バナナなど。
乾燥酵母はビタミンB群が豊富で、中でもB6を多く含んでいます。1回の摂取量(小さじ2杯分)で、10 mg のビタミンB6を含んでいます。
ビール酵母や他の活性酵母と混同しないようにしてください。乾燥酵母は、糖蜜を培地にして育った有機体から作られたもので、収穫されたあと乾燥させ、酵母の活動を止めたものです。
香りの良いチーズを思わせる風味で様々な量に加えることができます。
葉酸塩(B9)
新鮮で生のオーガニックの葉野菜、特にブロッコリー、アスパラガス、ホウレンソウ、白カブの葉、様々な種類の豆類(とくにレンズ豆、ヒヨコ豆、白インゲン豆、黒豆、インゲン豆)など。
葉酸は、合成型のビタミンBでサプリメントに良く使われています。自然界には葉酸塩として食品に含まれます。葉酸のサプリメントは避けましょう。葉酸塩の合成物質です。
葉酸塩は、葉(食用の葉野菜)から出た言葉です。
葉酸が体内で使われるためには、生物学上の活性型であるL-5-MTHFに変換されなければなりません。
血液脳関門を通過できる型で、脳にとって良い作用をもたらします。
酵素の活性が遺伝子レベルで縮小しているため、葉酸を生物活性の型に変換するのに人口のほぼ半分が苦労しています。
このため、ビタミンBサプリメントを摂る場合は、合成の葉酸ではなく、天然の葉酸塩を摂るようにしましょう。乾燥酵母に多く含まれています。
ビタミンB12
ビタミンB12は、牛肉、牛レバー、子羊、フエダイ、シカ肉、鮭、小エビ、ホタテガイ、家禽肉、卵、および乳製品のような食物をはじめ、そのほとんどが動物の組織中にあります。
ビタミンB12を含む数少ない植物も存在はしますが、本物のB12の吸収を遮断するビタミンB12アナログです。
糖分の多い食品を制限して発酵食品を食べましょう。
ビタミンB群は、腸内フローラが健康であれば腸内で生成されます。
理想的にはオーガニックのリアルフードを発酵食品と合わせて食べると、マイクロバイオームに食物繊維や善玉菌が届けられ、体内でのビタミンBの産生を助けることができます。
乾燥酵母にはビタミンB12も豊富に含まれており、ベジタリアンやビーガン食の方にもお勧めです。
1回の摂取量(小さじ2杯分)で、8 mcg弱の天然のビタミンB12が摂取できます。
舌下に噴霧するミストや、ビタミンB12の大きな分子を直接血流に届けることができるため注射も効果があります。
ビタミンC
ピーマン、チリペッパー、芽キャベツ、ブロッコリー、アーティチョーク、サツマイモ、トマト、カリフラワー、ケール、パパイヤ、イチゴ、オレンジ、キウィ、グレープフルーツ、メロン、レモンなど。
果物や野菜の摂取を増やすには、 ジュースがお勧めです。または、 自家製発酵野菜もお勧めします。
ザワークラウト(発酵キャベツ)に含まれるビタミンCは、発酵していないキャベツの6倍 多く 、ビタミンCの摂取を増やすのに最適です。
経口のビタミンCで最も優れているのはリポソーム製剤です。 これは、伝統的なビタミンCやアスコルビン酸による副作用(胃腸障害などの)がなく、細胞内の濃度を最適化することができます。
一日に30-100 mgの量で、血漿中のビタミンCの濃度が大幅にアップします。
ビタミンCは、一日一回たくさん摂るより、数回にわけて服用した方が効果的です。
ビタミンD
ビタミンDは、肌が日光にさらされると自然に生成されます。
ビタミンDは、牧草飼育家畜の肉や他の自然食品、強化食品からも摂取することができますが、太陽光を浴びることが理想的な方法です。
ビタミンDのサプリメントを使う場合は、食物やサプリメントで ビタミンK2 と マグネシウムの摂取量も増やすようにしてください。
ミネラルのマグネシウムも重要
マグネシウム不足は気がつかないことが多いため「目に見えない欠乏物質」と言われています。
一部の推計によると、80%近くのアメリカ人がマグネシウムを十分に摂取しておらず、不足状態にあるとされています。また、アメリカの成人のうち、一日に推奨される量のマグネシウム(男性で400-420 mg、女性で310-320 mg)を摂取できている人は、わずか25%という統計が出ています。
マグネシウムを十分に摂取すると、インスリンによる糖の代謝不全のリスクを低減し、中高年者における糖尿病前症 から2型糖尿病への進行を遅らせる効果があります。研究者のグループは「2型糖尿病のリスクが高い人には、マグネシウムを十分に摂取することで進行を遅らせることができる可能性が高い。」と述べています。
マグネシウムは、心臓や骨のためのミネラルとしてみなされることが多いですが、それは必ずしも正しくありません。これまでに研究者たちは、ヒトのタンパク質についてマグネシウム結合部位を3,751か所も見つけています。
体内に存在する300種類以上の酵素の中にもマグネシウムは見つかっており、環境化学物質や重金属、その他の毒素によるダメージを防ぎ、身体の解毒作用に重要な役割を果たしています。さらにマグネシウムは次のような役割を持っています。
筋肉や神経を活性化させる。
アデノシン三リン酸(ATP)を活性化することで身体のエネルギーを放出する。
タンパク質、炭水化物、脂肪の消化を助ける。
RNAおよびDNA合成の基本構造単位としての働き。
セロトニンなどの神経伝達物質のための前駆体として作用。
さらに、認知症や記憶力低下に対して素晴らしい予防、治療効果をもたらします。ある研究では、脳内の マグネシウム不足を解消することで アルツハイマー病の症状が大幅に改善したことを示す結果が出ました。しかし、残念なことに、マグネシウムサプリメントのほとんどが血液脳関門を通過できません。しかし、トレオン酸マグネシウムなら、他のマグネシウム化合物より治療効果があるのではと期待されています。
マグネシウムを摂る場合は、同時にカルシウム、ビタミンD3、ビタミンK2も摂れているか考慮に入れる必要があります。これらの成分は相互作用しているのです。カルシウムを過剰に摂りすぎて、マグネシウムが欠乏してバランスが摂れていない場合、心臓発作や突然死を招くこともあります。
その他のアルツハイマー病予防対策
次にも注意してください。
糖分、精製果糖(フルクトース)を控える
理想的には糖分の量は最低限に抑え、フルクトースは全部で25 g以下にしましょう。インスリン/レプチン抵抗性やその他の持病がある場合は1日15 gにしましょう。
トランス脂肪酸をさける
2014年のアメリカ心臓学協会の科学研究会で発表された予備研究の発見事実も、トランス脂肪が記憶力障害と高リスクで結びつきがあることを暴露しました。認知症と心臓病の結びつきを考えればこの事実は驚くことではありません。
人類の祖先は、飽和脂肪酸が極めて高く、ほぼ糖質がありませんでした。しかし、今日では、私たちの多くは、大量の炭水化物を食べるだけではなく、これらの炭水化物は精製され、高度に処理されています。
脳は脂肪なしでは正常に機能できないので、現在の誤解に基づく脂肪忌避が、認知障害その他の神経系異常の劇的増大に重要な役割を疑いなく演じています。実際に、大部分の人はインスリン抵抗性を解消することを目指す限り、毎日摂るカロリーのうち50~85%までは良質な脂肪から取れば、最適な健康のメリットを受けられます。
グルテン、カゼインを控える(麦、低温殺菌乳製品を避ける。バターなどの乳性脂肪は摂っても良い )
グルテンは血液脳関門に悪い影響を与えるとする研究結果があります。グルテンは腸の透過性を増加させ、タンパク質が本来あるべきではない血中へと流れてしまいます。その結果、免疫系が敏感になり、炎症や自己免疫を活性化させ、これもアルツハイマー病の発症を促します。
腸内細菌を整える
定期的に発酵食品を食べ、あるいは効果が高く良質なプロバイオティクスサプリメントを摂りましょう。腸内細菌でビタミンが豊富になるからです。
運動する
運動は、海馬の成長や記憶力の向上を促し、アミロイド前駆体タンパク質の代謝を変化させ、アルツハイマー病の発症や進行を遅らせる効果があると言われています。
運動は、PGC-1αタンパク質の濃度を上げる効果もあります。研究により、アルツハイマー病の患者は、脳内や細胞内(アミロイド前駆体タンパク質は少なくて良い)にPGC-1αタンパク質の量が少ないことがわかりました。
歩くことには、年齢に関係なく、老化予防効果があります。
歩くということが健康に良い理由の一つとして、歩く間は座っていないという点があります。1日8時間以上座ったままでいると、2型糖尿病のリスクが90%増加します。また、心臓病やガンなど死を招くあらゆる病気のリスクが上がるのです。
平均的なアメリカ人は、1日9〜10時間も座って過ごします。また通信産業などの特定の職種では、座っている時間が平均12時間にも達します。
日光を浴びる
日光を浴びて、ビタミンD濃度を増やすことは重要です。アルツハイマー病の患者は、体内ビタミンD量が低く、認知力の検査成績が悪いことがわかりました。研究者のグループは、ビタミンDの体内濃度を増やすことで、脳内の他の化学物質の量が増加して、傷ついたニューロンを回復させるグリア細胞の働きが強化されることで脳を保護すると考えています。
また、ビタミンDの持つ抗炎症、免疫活性作用もアルツハイマー病に良い効果をもたらすとされています。免疫系がアルツハイマー病などの炎症に対抗できるためには、ビタミンD量が十分にあること(50 -70 ng/ml)が欠かせないのです。
水銀を避け、体外に排出させる
歯科で使用される詰め物のアマルガムの成分は、重量の50%が水銀です。水銀は人体を汚染する重金属として知られています。詰め物を除去する前に、まず健康である必要があります。私が提唱している栄養摂取プログラムでの食事になれたら、 水銀デトックスプラン に従い、生物学的治療をおこなう歯科医にアマルガムを取り除いてもらいましょう。
アルミニウムを避け、体外に排出させる
アルミニウムを含む物質は、制汗剤、焦げ付き防止処理のキッチン用品、 ワクチン補助剤などがあります。
インフルエンザワクチンをやめる
ほとんどのワクチンに、神経毒性、免疫毒性物質として知られている水銀とアルミニウムが含まれています。
抗コリン薬、スタチン製剤をやめる
抗コリン薬は神経伝達物質であるアセチルコリンを阻害する薬剤で、認知症のリスクを増加させることで知られています。夜間に使う鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、睡眠導入剤、抗うつ剤、失禁の治療薬、麻薬性鎮痛薬なども該当します。
スタチン製剤はとくに問題です。コレステロールの合成を抑え、脳内のコエンザイムQ10や神経伝達物質の前駆物質が減少します。この結果、低密度リポタンパク質(LDL)の産生が阻害され、必須脂肪酸や脂溶性抗酸化物質が脳に届かなくなります。
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