体の全細胞はブドウ糖を燃やしてエネルギー源にできますが、脂肪を主な燃料源にすると、肝臓はもっと「クリーンな」燃料源であるケトンを生産します。ケトンがクリーンなわけは、砂糖より活性酸素種(ROS)や二次的フリーラジカルの生成が少ない点にあります。
古い考えかたによると、体のエネルギー需要を満たすには砂糖かブドウ糖が必要であるとしていますが、実際に必要な砂糖は微量です。砂糖は熱量の代表格であって、過剰に摂れば健康に悪影響があります。
どれだけの砂糖を摂っているか、砂糖が健康にどれほどよくないかにあまり注意したことがない方は、この文章を機会にして今すぐ改めてください。砂糖の取り過ぎはうつ、学習障害、記憶力障害、食べ過ぎといったような、脳に関連する健康上の問題にますます直結しています。
脳の生物学・砂糖依存症(嗜癖)のような悪習慣が根をはる原因
CNN Healthに掲載された記事によると、側坐核と前頭前野皮質の間がつながると、例えば、「もう一口チョコレートケーキを食べようか」といったことを決める欲望を増進するとして注意を喚起しています。
前頭前野皮質は「ケーキは本当においしい。今後のために覚えておこう」というような考えを生み出させるドーパミン等のホルモンを活性化します。ルスティッグ(Lustig)博士は、砂糖や、その他の人を依存症にさせるような物質を摂取すると発生する生物学的プロセスについて説明しています:
「脳の快楽の中枢である側坐核は、人類の生存に欠かせません。快楽をオフにしたら、生きる意志もスイッチオフにすることにつながります。しかし、快楽の中枢を長期的に刺激すると依存症を進行させます。
砂糖を摂ると、側坐核はドーパミン信号を受信し、このために快楽を体験します。そこでもっと消費するようになります。問題は、この暴露が長引くほどこの信号が減衰することです。
同じ効果を得るのに、もっと砂糖を消費するようになります (こうして耐性が形成されます)。逆に、こういった物質を摂らないようにすると、離脱状態になります。依存症(嗜癖)には耐性と離脱が組み合わさっています。従ってミスを犯さないでください。砂糖は依存症にさせます。」
脳画像処理から依存症が実物的であることが判明
American Journal of Clinical Nutrition(臨床栄養学専門誌)に掲載されたある研究は、fMRIという核磁気共鳴を利用して、血糖インデックス(GI)の高い食物が脳活性に及ぼす影響を分析しました。体重が多すぎるか肥満の18~35歳の12人の男性に高GIと低GIの食事をしてもらいました。
テスト用の食後4時間してから画像処理を行い、安静時脳活性の尺度として脳内血流を評価しました。高GIの食事後に、研究者らは、脳活性が渇望、食べる行為、報酬の中枢で高くなるだろうと予測していました。
研究者によると
「低GIの食事に比べ、高GIの食事を食べた後で、後半の期間においては血漿ブドウ糖を減少し、空腹感を増やし、脳のうち報酬や渇望に関連する部分を選択的に刺激していました。高GIの食事は右側坐核に集中して脳活性を活発化していました。」
この研究は、高GIの食事をすると依存症を増進する可能性があることを実証したものです。正味炭水化物を急激に消化した後では、血糖値が最初は急増しますが、その後は急減します(血糖値スパイクともいう)。
砂糖を取り過ぎるとアルツハイマー病に寄与するでしょうか?
インスリンは通常、血糖値を健康な範囲に保つ役割を果たしますが、同時に脳への信号伝達の役割を果たします。
ある動物研究において、脳内インスリンの適切な信号伝達を破壊したとき、アルツハイマー病(錯乱、失見当、学習と記憶障害)でよく観察される特徴的な脳内変化の多くを誘導することができたのです。
インスリンとレプチン抵抗性、2型糖尿病につながるのと同じ病理学的プロセスが、人間の脳にも当てはまることがわかってきています。砂糖や穀類を食べ過ぎると、脳は高濃度のインスリンで常に圧倒されるようになります。
場合によっては、インスリン、レプチン、信号伝達が根底から妨害され、記憶力や思考力に悪い影響を与えるようになります。
従って、「糖尿病ケア」に公表された新しい研究が、2型糖尿病が、男女を問わず認知症のリスクの60%の増加と関連していることを明らかにしました。New England Journal of Medicineに特集されたある記事は、105とか110程度までの血糖値の穏やかな上昇も認知症のリスク増に関連していることを指摘していました。
「脳メーカー」(Brain Maker)と「「いつものパン」があなたを殺す」(原題:Grain Brain)の著者デービッド・パールマター博士は、アルツハイマー病が、砂糖の消費量の多いライフスタイルの人にとくに特徴的であると見ています。インスリン抵抗性を促進するものはなんでも、最終的には、アルツハイマー病になるリスクも高くすると同氏は指摘しています。
ブドウ糖と果糖・脳にどう影響するのでしょうか?
精製果糖の消費増加、とくに高果糖コーンシロップ(HFCS)を摂ると、肥満度の急増と相関性があるようで、その程度は、高果糖を多く含む食事をするとインスリン抵抗と体重増加を促進すると考えられます。
Journal of the American Medical Association(全米医師会の専門誌)は、成人ボランティア参加者20人をエール大学でMRI画像処理にかけ、果糖とブドウ糖の消費に関連した神経生理学的要因を特定しました。
この研究は、果糖(一般的にトウモロコシから抽出される砂糖でソーダなどの甘味製品)が、食欲を増す脳の伝達経路を活性化する一方、ブドウ糖は脳の満足感信号を発して「もうじゅうぶん食べた」と効果的に語りかけることを示しています。
その参加者が、ブドウ糖を摂取後に食べ物の写真を見せたら、脳の満足感や満腹感増加が記録されました。
研究者たちは以下のように述べています。
「ブドウ糖の摂取は視床下部、島皮質、脳線条体の活性を減少させました。脳のこれらの部分は、食欲、動機、報酬の処理を調節しており、ブドウ糖の摂取で視床下部と脳線条体の結びつきが強まり、満足感を増やします。
対称的に、果糖を摂取した参加者に食べ物の写真を見せたら、眼窩前頭皮質の活性が増加していました。ここは薬物や食べ物などを求める動機を増やすことに関連した部分です。」
Proceedings of the National Academy of Sciences USAに掲載されたその後の研究は、食べ物を欲しがる行動への砂糖の影響をもう一歩深めました。果糖かブドウ糖を摂取した24人のボランティア参加者はfMRI撮影を受けながら、高カロリーの食品や、食品以外の物をブロック形式の写真を見続けました。
ブロックが過ぎるたびに、参加者は空腹感や食物への渇望度を格付けし、決定作業を行いました。この決定作業はすぐに食事がもらえるか、後にすれば現金のボーナスがもらえるかのいずれかを選択させるものです。ホルモンレベルをベースラインで砂糖の消費後に30~60分してから測定しました。その研究の著者は次のように説明しています:
「神経画像処理でわかった事実として、果糖はブドウ糖より空腹感を大きくし、食物への渇望を増やし、後からもらえる現金報酬を進んであきらめ、目先の高カロリー食品を入手したい気持ちを強めました。
果糖はブドウ糖に比べ、注意力や報酬処理を司る脳野の活性を高めること、さらに食事をしたいという欲望を増進することを意味します。」
以上の研究は、摂取する砂糖の種類に注意することが重要なことを強調しています。明らかに、果糖は充足感をいつ感じるかを司るようにできている脳の信号伝達メカニズムに障害を与えます。
果糖はインスリンを刺激することができず、このためグレリン(空腹ホルモン)を抑制せず、このためレプチン(満足感のホルモン)を刺激できません。このため果糖を摂るともっと食べるようになり、インスリン抵抗が生じるようになります。
上のうち後者の研究は、果糖の摂取が、食事に対して衝動的な動機を与える影響があること、このため身体は十分であるという信号を脳に送ったはずでも、まだ食べたい状態になります。
想像がつくように、果糖を多めに摂り続けると過食の癖がある方の場合問題が大きくなるばかりです。
果糖は他のどんな栄養素より速く太らせる
果糖はしばしば液状(普通は高果糖コーンシロップ)の状態で消費するので、新陳代謝への悪影響は益々ひどくなるばかりです。高果糖コーンシロップは、エナジードリンク、スタミナドリンク、フルーツジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク、その他無数の甘味飲料に含まれています。全ての果糖と同様に、高果糖コーンシロップはその他のどんな砂糖より速く体脂肪になります。
アルコールと同じで、果糖の代謝負荷は全て肝臓で受けます。このため肝臓に過度に負荷が掛かり、肝障害になる恐れが高まります。
果糖はアジポーズファット(いわゆる体脂肪)という危険なタイプの体脂肪を特に増やします。このような脂肪は腹囲につくのが特徴で、心臓病のリスクを増加させます。
高果糖コーンシロップが、サトウキビの砂糖と同量の 果糖を含むとはいっても、高果糖コーンシロップに含まれる果糖は、炭水化物に結合していない「自由」な形態です。対照的に、果物や砂糖(きび)に含まれる果糖は他の糖と結合しており、代謝毒性は低いです。
いずれにせよ、果糖を大量に含む食品は(自然食品であっても)健康をダメにする近道です。
果糖を大量に摂ると起きやすい健康上の問題
関節炎、がん、通風、心臓病
インスリン抵抗、メタボリックシンドローム、肥満、2型糖尿病
高血圧、LDL(悪玉)コレステロール、トリグリセリド、尿酸濃度
肝臓病、とくに非アルコール性脂肪肝
高果糖コーンシロップに大量に含まれる、遊離した果糖はクロム、銅、マグネシウム等のミネラルを心臓が利用できなくします。
さらに悪いことには、すでにご存知とは思いますが、高果糖コーンシロップは、しばしば、遺伝子組み換えトウモロコシからできています。この遺伝子組み換えのトウモロコシは、健康上の懸念や副作用があることがすでに実証され、文書化されており、その大部分は除草剤グリホサートや、グリホサートを主成分とするモンサント社の除草剤ラウンドアップの残留物が原因です。非常に問題の多い食品です。
砂糖の摂取を管理または制限する方法
自然な形態の砂糖は、一時燃料として燃焼することを可能にする数量で消費すると本質的には害はありません。しかし、精製果糖の全ての原材料を避けてください。とくに加工食品や炭酸飲料のような飲料を避けましょう。
SugarScience.orgのサイトには、一般の店で買った加工食品の74%には砂糖が余計に添加されていたと報告されています。
その他の出所によると、この比率は80%にもなることがあるそうです。食事は、主に自然に生産された生鮮食品中心で構成し、加工食品を10%以下にするよう私はお勧めしています。
また、精製炭水化物(穀物、パン、パスタ、その他の穀物系食品など)を厳しく制限することをお勧めします。これらは体内で糖分に分解され、インスリンレベルが上昇し、インスリン抵抗性を引き起こす可能性があるからです。
一般的な推奨事項として、果糖の総消費量は新鮮な果物由来の果糖を含め、1日あたり25グラム以下に抑えることを推奨します。フルーツには、栄養素や抗酸化物質が豊富にあると同時に当然、果糖も含むことに注意してください。
果糖を多く摂ると(とくに脂肪を主な燃料源にしていない食事の方は)、フルーツから摂る果糖がインスリンへの感作性を悪化させ、尿酸濃度を高くします。さらに、アスパルテームやスクラロース等の人工甘味料もコーンシロップや砂糖による害よりさらに深刻な健康の問題を起こすので避けてください。
砂糖消費を管理したり制限するのに役立つその他のヒント
• オメガ-3、飽和脂肪、一不飽和脂肪などの健康な脂肪の消費を増やす。体は最適に機能するために、動物や植物由来の健康を促進する良質の脂肪を必要とします。実際、最近になって、健康的な脂肪が毎日の食事でとる熱量の最低60~85%を占めるべきであることが実証されています。
そのための最適な品目
アボカド、ココナッツオイル、フリーレンジの玉子、生乳で作った有機バター、マカダミアやピーカン等の生のナッツ類、(加熱していない)バージンオリーブオイル、アラスカ産野生シャケ
• 純水な清水を飲む。砂糖を添加した飲料(フルーツジュースや炭酸飲料等)ではなく、清水を飲むと健康改善のためにははるかに役立ちます。必要な水分摂取量を測定する最善の方法は、尿の色(通常は薄い黄色)とトイレの頻度(約7〜8回/日)を観察することです。
• 食事に発酵食品を加える。発酵食品に含まれる有益な細菌は消化活動をサポートし、肝臓の果糖負荷を軽減する解毒を促進します。
最適な食品
発酵野菜、野草を食べさせて育てた牛から取れるミルク、キムチ、納豆、野草を食べさせて育てた牛から取れるミルクから作った有機ヨーグルト
• 感情解放テクニック(EFT)も活用してください。
(元記事リンク)
(補足)
👩🏻⚕️日本でも同じことをいっています。