現代人に多いうつや不安には良い対策があります。
*以下引用*
不安は、潜在的脅威に対する自然で正常な反応であり、からだは認識力が高められた状態になります。
適切な不安感は有益なものであり、有害な物事から身を守ることができます。たとえば、ハイキングで急な下り坂を進むときは、足を滑らせないように慎重かつ意識して歩きます。
しかし、推定4000万人の成人が、現実に脅威にさらされていないのに不安を感じ、不要なストレスや感情的な痛みを引き起こしている可能性があります。多くの人は不安とストレスは同じであると考えていますが、持続的な不安はストレスとはまったく異なる症状を脳内で引き起こします。
脳内の不安感:不安発作が発症すると何が起こるか?
不安はストレスと同じ「闘争・逃走反応」を呼び起こします。つまり、ストレスのように、体の俊敏性、反射、心拍数、血液循環を改善するコルチゾールなどのストレスホルモンを大量に分泌します。また、ストレスの場合は怒り、悲しみ、または幸福や興奮の感情を起こす可能性があります。
一方で、不安は、ほとんど常に恐れ、恐怖、または心配を伴います。ストレスは外部ソース(配偶者との口喧嘩など)のせいで起こることがありますが、不安はより内部的な反応で起きる傾向があります。
さらに、短い間の不安は、ストレスを感じる出来事(人前で話すことなど)と一致する可能性がありますが、不安障害は明確な不安の理由がなくても数ヶ月間続きます。不安障害の正確な原因は不明ですが、脳のはたらきが大きく関わっています。
National Institute of Mental Health(国立精神衛生研究所)は次のように説明しています。
「脳の一部は恐怖や不安を産む主体である...科学者は、扁桃体および海馬がほとんどの不安障害において重要な役割を果たすことが発見されている。
扁桃体は、脳の奥にあるアーモンド型の組織であり、入ってくる感覚シグナルを処理する脳の部分と、これらのシグナルを解釈する部分との間の通信ハブのはたらきをしていると考えられている。脅威が存在し、恐怖や不安応答を引き起こす脳の残りの部分に警告を発することができる。
扁桃体の中央部に記憶された感情的記憶は不安障害の発症に大きく関わっている可能性があり、犬、クモ、またはハエなどの生物が感じる恐怖とは非常に異なる恐怖を引き起こす。海馬は、脅威となる事象を記憶に取り込むはたらきのある脳の一部である」
脳は不安が原因で神経が高ぶった状態になるかもしれない
不安障害は先天的なもの(遺伝)と後天的なもの(環境)の組み合わせから生じる可能性があると考えられています。たとえば、よく怒鳴られたり虐待を受ける環境で育った人がいるとします。
その人は、潜在的脅威が存在しなくても自分で探してしまう傾向があります。ある意味では、潜在的に望ましくないと感じる出来事や感情が不安を呼び起こすように、脳は不安が原因で「神経が高ぶった状態」になるのです。
さらに悪いことには、不安感に慣れてしまい、それが問題であると気付かず、無意識に苦しんでいる人もいます。不安感が強くなると、社会的孤立、身体症状、うつ病のような精神的健康障害につながる可能性があります。
それにもかかわらず、不安障害に悩む人々のうち治療を受けている人はわずか3分の1だと推定されています。ここでいう「治療」は不安に苦しんでいる人には強く推奨されますが、必ずしも薬物投与を意味するわけではありません。
残念なことに、不安で苦しんでいるほとんどの人は何もしないか、医薬品に頼っています。その多くは効果がなく、健康と心の健全性をさらに破壊させている可能性があります。一般的に処方される医薬品には、アチバン、ザナックス、バリウムなどのベンゾジアゼピン系薬が含まれます。(日本では、デパス、リーゼ、ハルシオン、ロヒプノール、サイレース、レキソタン、ソラナックス、コンスタン、ワイパックス、セルシン、コントールなど多数)
上記の医薬品は、オピオイド(ヘロイン)やカンナビノイド(大麻)と同じように、γ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる神経伝達物質の作用を増強することにより、鎮静作用を発揮します。その次に、満足感を得るホルモンであるドーパミンを活性化させます。
脳内の同じ「報酬経路」が両方の種類の薬物によって使用されるので、それらは同様に依存性を生む可能性があり、また、記憶喪失、股関節骨折、思考障害、およびめまいのような副作用を引き起こすこともあります。
皮肉なことに、こうした不安治療薬の多くを使って不安を取り除くと、その後で極度の不安状態を引き起こします。その一部は、治療が正当であると診断された元の症状よりはるかに悪いものです。
不安が原因で興奮状態になっている場合は、EFT(感情解放テクニック)を試す
例えば、エネルギー心理学技法の一つ、EFT(感情解放テクニック)が非常に有効です。それは、実際にあなたを再プログラムして毎日の生活で避けられないストレスに対して体の反応を更新するのです。
これには、重大な不安の原因となる、 現実のストレス要因と想像のストレス要因の両方が含まれます。EFT(感情解放テクニック)は、癒しと自己修養専門のスタンフォード大学のエンジニアである、Gary Craigによって1990年代に開発されました。これは、鍼と似ており、体に流れる生態エネルギーの流れというのは、経絡として既知の目に見えない系路に沿って流れるという概念に基づきます。
EFTは、指先でこの系路を軽くたたいて体にある異なるエネルギー経絡点を刺激します。
EETは、自分自身で、または認定セラピストによる直接指導またはSkype、FaceTime、Googleハングアウトなどのオンラインビデオサービスを介した指導を通して行うことができます。EETによって体に刻まれた感情的な「傷あと」を取り除き、感情的なストレス要因に反応する方法を再プログラムすることができます。
これらのストレス要因は、一般的には身体症状とつながっており、大勢の人の病気や症状が改善したり、なくなることがあります。重大な問題が発生した場合は、EFTの専門家に直接相談することをお勧めします。そうしないと、必要な救済策が得られない可能性があります。
誰でも自宅でEFTの実践方法を学ぶことができますが、持続的な不安のような深刻な問題に対しては自己治療は危険であり、推奨されません。
EFTが事実と全く異なり、うまくいかないと誤って結論づけることがあるので、危険です。重大な問題や複雑な問題がある場合は、EFTの手順をガイドする人が必要です。重大な問題をじっくり考え、解決するスキルを身につけるには、通常何年もの訓練が必要です。
誰にも知られていない不安の主な原因
腸内には数兆個の腸内細菌が生きており、身体のホメオスタシスに毎日影響しています。
腸細菌叢は、小腸管内に制約されているだけではなく、腸脳軸や、最近発見された腸脳骨髄軸等数多くの複雑な経路を経由して他の体内系統と複雑に関連しており、このうち腸脳骨髄軸は血圧、気分その他諸々の事に影響している可能性があります。
脳、免疫系、腸内微生物が複雑に相関していることがますます判明してきており、骨髄がこれに加わるのもさほど遠いことではなかったようです。
免疫細胞は骨髄で作られ、高血圧に起因する骨髄炎は脳からの信号が原因です。
Frontiers in Physiology(生理学最前線)という専門誌に発表されたある研究によると,、研究者らは骨髄内の免疫細胞が脳腸間の信号伝達で大切な機能を果たすことが判明しました。
腸⇔脳⇔骨⇔骨髄のつながり解明
ある動物実験では、マウスの骨髄を遺伝子操作(GE)マウスの骨髄細胞で置換しました。この操作骨髄はアドレナリン受容体欠陥性に変性されたものです。
骨髄が脳と通信しにくくなると「ミュートされた炎症応答」が腸内で観察され、これがさらに多様な(つまり健康的な)細菌叢につながります。
この研究は、腸の健康が心臓や脳の健康に関連している可能性がある複雑な仕組みの一つを解明したもので、研究者らは次のように説明しています:
「心臓血管病のコンテクストでいうと、このミュート型炎症応答にメリットがあるようで、実験のマウスでは血圧を下げる効果があります。
いちばん興味深かったことは、腸細菌叢と精神衛生の相関が最近解明されたことです。具体的には、一部の人の示すことですが、腸細菌叢が脳内のストレスと不安の経路に影響しており、これが気分や行動をプラスにもマイナスにも変え、「腸のフィーリング」に全く新たな意味が生まれます。」
プロバイオティクスとして知られる腸内の善玉菌の働きにより腸内細菌叢を整えることは、心理的な幸福感および気分の制御などの脳機能を適切にするために非常に重要であるという科学的根拠が次々に発表されています。腸内の菌が不安などの感情に影響があるとは不思議ですが、調査の結果ははっきりとそのことを証明しています。
例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001というプロバイオティクスは、伝染性大腸炎のマウスに見られる不安による挙動を抑える効果があることがわかっています。
Neurogastroenterology and Motility (神経消化器病学と運動性)ジャーナルが発表した最新の発見では、菌が、腸から脳への迷走神経経路に働きかけ不安を調整することがわかりました。
身体には、文字どおり頭と腸に二つの脳が存在し(「腸管神経系」と呼ばれる)、それぞれが栄養を必要としています。腸と脳は、互いに影響し合いながら、協調して機能します。このため、腸の健康と精神面の健康は深く関わり合っています。つまり、食事が精神面の健康に密接に関わっているということです。
また、さきに触れた研究では、プロバイオティクスであるラクトバチルス・ラムノサスが、脳のある部位でのGABA(生理学的、心理学的作用の制御に深く関わっている抑制性神経伝達物質)の量に影響を及ぼし、ストレスに誘発されて発生するコルチコステロンというホルモンを減少させ、不安やうつに関連する行動を抑制する効果があることがわかりました。
したがって、善玉細菌のはたらきによって腸内細菌叢を最適化することは非常に有用な治療方針です。この治療は、糖分や加工食品の摂取を控え、非デンプン性の野菜をたくさん食べ、加工植物油を避け、ヘルシーな脂肪分を使うことによって行われます。さらに、多くの発酵野菜(漬物)または高品質のプロバイオティクスを使用することは、健康な腸内細菌叢を確立し直すのに有用です。
食事は精神的健康において重要な役割を果たします
不安に苦しんでいる方は、腸内細菌叢への栄養補給の検討が賢明でしょう。最善の方法は、善玉菌を豊富に含む伝統的な発酵食品を定期的に摂取することです。加熱殺菌した製品では同じ効果は得られません。殺菌の工程で天然のプロバイオティクスの多くが死滅してしまいます。
発酵野菜(漬物)などの伝統的な発酵食品で未殺菌の食品を探すか、手作りする方法もあります。発酵食品を定期的に食べることに慣れていない場合、良質なプロバイオティクスのサプリメントでも腸内環境を善玉菌で満たすことが出来ます。これが始めに出来る対策です。
腸内細菌叢を最適化するための第二の方法は、砂糖、精製穀物、およびその他の加工食品の摂取や抗生物質の摂取など、バクテリアの平衡を崩す多くの要因を避けることです。
他にも、食事にオキアミ油のような動物性のオメガ3脂肪の高品質摂取源を含むことをお勧めします。オメガ3脂肪EPAとDHAは幸福感に重要な役割を果たしており、研究によると、オメガ3を服用している医学生の不安感が20%も劇的に減少したことが示されています。
不安な場合は、運動が効果的なことがよくある
心理学者の中には、運動がうつ病治療、不安感およびその他の気分障害の第一次形式として信じている人もいます。諸研究で、習慣的な運動養生法を受けている患者の気分に改善、つまり、薬物治療を受けた場合と比較しての改善が見られたことが何度も示されています。
この結果は、運動が実質的に無料で、多数のそのほかの健康上の利点を提供してくれると捉える場合に実に印象的です。自発的か強制であるかどうかに関わらず、運動は気持ちを上向きにさせてくれるので、健康上の理由で運動しなければならないと感じていたとしても、運動の恩恵を受けられるチャンスはあります。
運動は、気持ちを落ち着かせる神経伝達物質であるGABAを放出するものを含む新しいニューロンを生成するだけでなく、セロトニン、ドーパミン、およびノルエピネフリンなどの有力な脳化学物質のレベルを高め、ストレスの影響の一部を緩和しやすくします。また、運動熱心な人の多くは、運動後に「ランナーズハイ」とも呼ばれる、多幸感を得る状態になることもあります。心拍数を上げて体を動かすことがとても良いことだと感じるようになると、良い意味で「病みつき」になる可能性があります。
不安に苦しんでいるなら、総合的な運動プログラムを取り組み始めれば間違いなく成果を実感できます。ほとんどあらゆる身体活動に十分な効果があります。デューク大学の研究者は最近、ヨガが精神的健康にとって特に有益であることを発見した研究100件以上に対する論評を発表しましたが、私はピークフィットネスなどの高強度インターバルトレーニングや筋力トレーニング、ならびにヨガや基礎トレーニングなどの柔軟性と体幹を鍛えるエクササイズもお勧めします。
ビタミンD欠乏が憂鬱になりやすい体質に変える
2000年以前は、診断時にビタミンD不足を疑う医者はほとんどいませんでした。
The National Health and Nutrition Examination Survey(米国全国健康・栄養調査)では、1〜5歳の子供の50%、6〜11歳では70%がビタミンD不足であることがわかりました。 ビタミンD不足は、日焼け対策をしている(ビタミンDの産生を阻害する)、屋外での活動が少ない、全年齢の成人に広がっていると研究者グループは述べています。
ビタミンDがメンタル・ヘルスに重要な役割を演じることを示す豊富な根拠があります。日光浴が不足する秋冬に気が沈む場合は、ビタミンD濃度を検査してもらうとよいかもしれません。ビタミンD濃度が40 ng/mLならビタミンDサプリメントが推奨できると思われます。
2007年の研究は、ビタミンD欠乏は線維筋痛症患者の憂鬱や不安症状の原因であることが示されています。
ビタミンD欠乏はSAD(社会不安障害)のよく知られる原因でもあります。
2008年に公表された二重盲検ランダム化検査では、ビタミンDの低濃度と憂鬱の間に因果関係があることが示されており、ビタミンD用量を多くすると憂鬱症状の改善に効果があることが発見されました。
2011年の研究では、著者らが次のように指摘しています。「憂鬱その他精神障害を持つ人のビタミンD濃度不足を効果的に検出して処理することが、患者の長期的健康状態や生活の質を改善しうる容易で費用効果的治療である可能性がある」
ビタミンDサプリを取ることに決めた場合は、ビタミンK2とマグネシムも摂る必要があります。これらは二人三脚で効果を発揮するために不可欠な要素です。さらに、ビタミンDは油溶性なので、健康な脂肪の形で摂取すると最適な吸収を助けます。ビタミンA、亜鉛、ホウ素もビタミンDと相互に作用する重要な補因子です。
不安は深刻な状態をもたらす可能性があるが、それでも健康はコントロールできる
不安障害が原因で衰弱することがあり、場合によっては専門的な指導、カウンセリングや治療を必要とすることがあります。多くの人に有効であることが判明している不安障害の治療法は、従来より心理療法と行動療法の2つがあります。行動療法は、呼吸訓練と不安の原因となるものに少しずつ向き合うことで問題にアプローチする方法として定義されます。
一方、認知行動療法は、不安に満ちている状態の人により効果的に対処しやすいように設計されています。しかし、上述の運動、EFT、食生活改善などの治療方針を採用することで、注意力を高めつつリラックスした状態を維持する方法を体得できることがよくあります。これができれば、不安症状を引き起こすストレスのかかる状況に向き合う時、先天的な対処メカニズムを強化しやすくなります。
必要な場合は専門家に助けを求めてください。しかし一方で、健康状態のコントロールを取り戻しやすくするために、前向きで、人生を変えるあなた自身の決断力を過小評価しないようにしましょう。
(元記事リンク)
http://japanese.mercola.com/sites/articles/archive/2017/08/31/%E4%B8%8D%E5%AE%89.aspx