庭にあふれる粗大ゴミ
日々の仕事に追われながらも穏やかな日々を過ごしていたここ最近。気がつけばもうすっかりと夏が開いている。
自らのしでかしたこともフンワリと時間のベールに包まれて曖昧に思い出話へとなっていき、無責任な僕はまるで数十年もそこでそうしてきたかのような顔をして自宅の机に向かい、慣れてきた新しい仕事をやっつける。
夏は草木も人も伸びるのだ。そう思いながら今日のページをめくり、落とす。
そんなある日のこと。風呂から上がると携帯のランプが点滅していて着信があったことを知らせていた。
履歴を見ると見知らぬ番号。はて?
首を傾げるばかりの数字が並んでいて、発信ボタンを押すことをためらわせたが、首にかけたタオルの端で耳の穴を拭いながら、何となく発信ボタンを押して、コール音が途絶えるのを待った。
「もしもし?」
聞き覚えのある声。古くからの友人Kの声だ。
「おっす! K、やっと電話ひいたんか?」
「おお! にいやん (彼は僕をこう呼ぶ) か?」
「そやで♪久しぶりやな。どうよ、新居の住み心地は?」
「ええで~。でもな・・・・」
Kは最近、田舎の一軒家を購入して家族4人で引っ越した。と、共通の友人から聞いていたので、てっきり「幸せやわ~。」と言う自慢電話かと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。
Kの話によると、意外なほどの安値で購入したその家は敷地充分、風格も部屋数も満足にあり、空気もキレイで眺めも良いのだと言う。
どこか難点をあげるとすれば、それは家の中と庭にあふれる家庭ゴミと粗大ゴミの山。古タイヤ、雑誌、古新聞に古雑誌等・・・。
Kいわく、電話では伝わらないくらいのプレッシャーを家と近所の住人に与え続けているのだと言う。
「ゴミを片付けるのを手伝ってくれないか?」と。
僕の頭の中で以前の記憶が音と匂いを伴って蘇ってくる。
これは「ぶっ壊し隊」にうってつけの依頼じゃないか!
前回同様
そんな使命感のもと、地酒の瓶を小脇に抱えて出動してまいりました。
つづく