DJ Jacky at OozeBar
「おぉぉぉず!」
腹から搾り出すような太い声。
いつもそう言って、このバーのボス、ジャッキーや他のスタッフは僕のグラスに自分のグラスをカチンとぶつけてきました。
「おぉぉぉず?」
なんとなく意味は分かりますが、ある時に訊いてみるとジャッキーはニコニコしながら答えてくれました。
「ジャパニ~ズ、カンパイ!。」
タイ語かな?それともこのバーの合言葉?そんなことを考えている暇も無いくらい何度目かの「おぉぉぉず!」となりました。
暑いタイでビールを飲みながら、考え込む?・・・パスパス。
深くかんがえるのは止めて、ビールを飲み直していると、DJブースの上にあるこのバーの看板が目に入り、ウンウンと一人で頷きました。
「OOZE BAR」(おぉぉずバー)
酔っ払っていい調子になっていた僕は、隣のテーブルで飲んでいたロシア人らしき男に、
「よう、このバーはロシア語でスパシーバ(乾杯)って意味なんだぞ。知ってるか?」
なんて偉そうにデタラメ英語で言うと、彼は驚いた顔してこう言いました。
<彼> 「驚いた。お前、ロシア語分かるのか?タイ人なのに。」
<僕> ・・・・・・、「おぉぉぉず!」
なぜか僕はしばらくの間、自分はタイ人という事にしてロシア人の彼とビールを飲みました。
(すぐにバレたけど)
そんなにタイ人に見えるのかな?う~ん、おっと、また考え込むとこだった。パスパス。
「カモーン、ジャッキー!」 客の誰かがDJブースに向かって叫ぶ。
バーのスピーカーからは途切れることなく音が流れ、タイの夜は更けていきました。