スマッグラーハウス

*カイバル峠にて。  スマッグラーハウス。


あんちょびーさんの記事にトラックバックです。

彼の記事を読んでいてふと、あーそんなのあったなー。と思い出したので、探し出した写真も載せて1項書かせて貰うことにしました。

私が2000年6月にハイバル峠を越えた時、パキスタン領でも、アフガニスタン領でも無い、トライバルエリアと呼ばれる両国の緩衝地帯があった。(今もあると思うよ・・・)

その緩衝地帯には何百メートルもの長さの塀に囲まれた大邸宅がポツンポツンとそれぞれ離れた場所に幾つも建てられていた。


それらの建物は土と材木で造られたバザールの商店やその周辺の建物とは明らかに外観が異なっており、壁は丁寧に塗り固められ、ところどころにタイルまで貼られていてとても洗練された豪奢な建物だったと記憶している。

私は最初にそれらを目にした時、何かの施設だと考え、TAXIの運転手に「中を覗きたい。」と伝えた。

すると運転手のオヤジは、豪快に笑いながら握りこぶしの人差し指と親指をピンと伸ばしてピストルの形を作ると、その指の先を自分のコメカミに当てて、「行け!行け!一人で行け!。」と言って更に大きな声で笑い飛ばした。
ひとしきり笑ってから落ち着いたオヤジが教えてくれたところによると、


「あれはスマッグラー(密輸業者)の家だ。入れないよ。」

「警察は?」

「ここはパキスタンでもない。アフガニスタンでもない。ここはパシュトゥーン人の土地だ。警察は関係ない。法律も関係ない。この地はアラーの神の地であり、パシュトゥーン人に任された地だからだ。」

オヤジは演説ぶってそう言い切った。

その後、この地を介してアフガニスタンと国境を接する全ての国にあらゆる品物が無税もしくはいくらかの賄賂で流されていくのだ。などなど詳しい事も教えてくれたが、私の貧弱な語学力ではその半分も聞き取れていなかっただろう。あーもったいない。面白そうな話で興味はあるのに頭がついてこん。

1600B.Cより歴史の残されているこの地域に伝わる古い言い伝えにこんな文句がある。

「この峠を制する者はこの国(地域、地方)を制する。」

なんと!2000A.D当時この地を制していたのは運び屋達の元締めだったようだ。ウソのようなホントの話である。

参照記事
http://ronflat.ameblo.jp/entry-91496b2223808ddeab9cce0e48755892.html