『西洋館の記憶~MATSUO HIROMI EXHIBITION~』を観てきました
会場は豪徳寺の『旧尾崎テオドラ邸』です。素敵な洋館であるこの会場はこの形になるまでなかなかの紆余曲折なドラマを経てまして‥‥詳しくは後ほど述べますね
会期は本日10月8日までですが、前売りチケットによる完全時間決め予約制となっているので今日の今日観覧というのは難しいでしょう。レポとしてご覧下さい
尚、当該館に於ける会計は、全て電子マネーです。現金の使用は出来ません
私の観覧時間は14時から16時の枠でした玄関を入った処のアルコーブです。
冒頭画像は、当該展の為にマツオヒロミ先生が描き下ろしたメインビジュアルです。私はこれ見た途端「行く絶~っ対、行・くーーーーー」と、何かに力強く誓いました
会場ではパネルやらポスターやら、こんな風にそこかしこに展示してあって、もぉ眼福
観覧室は二階ギャラリーです。素敵に雰囲気のある階段を上って行きましょう
ギャラリーを入ってすぐの場所に掲げてある『謝辞』です。意気込みを感じますね作家側にとっても企画側・会場側にとっても満を持しての開催だったんだなぁ‥‥
イラストにはそれぞれタイトルが付いているのですが、いちいち撮ってはおりません。とにかくとにかく見てぇ~マツオ先生の世界観は、ご覧になるだけでばっちりお分かりと思います
展示は額縁入りの原画とパネルで構成されていました。原画はどうしてもガラス映りになっちゃうから、真正面から撮れないのがなんとも残念ですね~
ドアの前にドアの絵面白い演出ですねちなみにこのドア[だけ]にも、ひとつの物語がありました凝ってます~
ギャラリーはふたつあったので、便宜的に第一ギャラリー・第二ギャラリーと称します。第一ギャラリーは引きでこんな感じ
写真には写っていないのですが、向かって右側のディスプレイ下にはこんな素敵な抽斗家具があって‥‥
これまた素敵なランジェリー絵画がい~っぱい
私こういうの大好きなんですよ~
第一ギャラリー窓際に設えられた撮影コーナーのアップですこんな美しいお姉さま二人に挟まれて写るには、相当なる自信と覚悟が必要ですねそういえば会場には、着物やドレスでお洒落して来られるお客さんも多かった
この色合い好きだわ~
マツオ先生、お着物お好きなんですね~描写に愛が溢れておりますそれもいずれも大正や昭和初期を感じさせるクラシックモダンなスタイルで、こちらマツオ先生の私物と重なる雰囲気がありますね
第一ギャラリー奥のドアを通って第二ギャラリーに移りました
室内スペースのほぼ3/4を使って展開されているのが、描き下ろしメインビジュアルのメイキング動画と‥‥
時系列でプロセスを表示化したパネル
いやはや大層な手間がかかっております。冒頭のポスター文字消しバージョンがこちら素晴らしく興味深いプロの仕事を見せていただきました
同時間帯枠のお客さん殆どが移動されていたのでこれしか撮れなかったのですが、第二ギャラリーの様子です。隅の方の抽斗家具に展示してあって、何人ものファンを集めているのは‥‥
その多くが今回の展示の[素]となっているマツオ先生の同人誌そのもので、しかも手に取って内容を見ることまで出来るという、他展覧会ではなかなかみられない実に実にファンの気持ちに沿ってくれた、嬉しい展示でした
どれもこれも素晴らしく美しいのよ~あ~今考えれば全部目を通しておけばよかった
これは珍しい初期の初期に描いたという漫画。左ページの女の子に今画風の片鱗を感じますが、現在の完成された画風とは世界観がかなり違いますね
仕上がり原画とその下書きバージョン。達者な絵描きさんの仕事は、下書きまでが美しいんですね~
充分観覧して満足したので、一階の喫茶室に移動しました「喫茶室利用予約付き」のチケットを取ってあったのです。
ここでは軽食も出来て、またゴージャスなアフタヌーンティーが[売り]なのですが、おやつタイムだったので展示コラボメニューのレアチーズケーキ『月の庭』をオーダーしましたちょっと蒸し暑い日だったので、シャインマスカットを添えたチーズクリームが甘く優しい冷たさで、とても美味しいケーキでした
お皿の奥に置いてあるのはコラボメニューをオーダーしたお客さんへのプレゼント『マツオヒロミ先生デザインのコースター』です
最後にアルコーブ横のショップに立ち寄って、絵葉書を購入しました。ショップに並ぶ販売アイテムはこの通り、大層な充実っぷりです
さて会場である『旧尾崎テオドラ邸』は明治21年麻布に築・昭和8年に豪徳寺に移築された、歴史の古い建造物です。
更にもともとは、かつての東京都知事・尾崎行雄(ワシントンに桜を贈った人です)の二度目の妻テオドラ英子[英国生]来日の為に彼女の父である尾崎三良男爵が建てた、という洋館なのです。
こちらはテオドラ邸アルコーブに飾ってある尾崎行雄夫妻&ご一家のお写真。
2020年に取り壊される処を、山下和美・笹生那美の両先生をはじめとする漫画家の先生方・この洋館を愛する近隣住人の方々・保存費用クラウドファンディングに参加された大勢の方々の熱い思いと大層な努力により、解体を免れギャラリー及び喫茶室を擁する多目的施設として再生しましたその経緯は山下先生の著書『世田谷イチ古い洋館の家主になる』に詳しく書いてありますので、ご興味おありでしたら読んでみてください。面白いですよ
私は件の漫画を読んでからというもの、どうしても訪問したくてたまらなかったのが今回漸く叶いました‥‥というのは私自身にも『水色の洋館』には、特段の思い入れ‥‥というのがあるからです
子供の頃祖父母と住んでいた目黒の家の近くに、まさに「広い前庭の奥に蹲るように建つ水色の洋館」がありました。当時は結構、その手の建物が残っていたのです。といっても相当に古~い記憶ですから、大いに脳内脚色されている感はありますがね
その家は毎日通う通学路と一本並行に走る道筋に建っており、その道路は樹木の多い住宅が建ち並び少々薄暗く、家に到着する為には同じく薄暗くひと気の少ない精肉工場横の細い道を通り抜けトドメが、国鉄[当時]高架線下の貨物列車線路を<必ず渡らなければならない>というデンジャラスな道でして小学生には危な過ぎるから通っちゃいけませんと言われていました
それでも私、その家が大好きでしてね~目黒時代にはわざわざその道を通って見に行き、転居してからも祖父母を訪ねる折に時々その家を眺めに廻っては、「いいなぁ~こんな館に住みたいなぁ~せめて中だけでも見たいなぁ~」と夢想していたのです。
高校生の時でしたか‥‥ある日訪ねたらまるっと更地になってまして口惜しさと同時にどうすることも出来ない自分の無力さというものも、思い知らされましたいい雰囲気の前庭を擁するお屋敷が、代替わりとか相続とかであっさり取り壊され、あとにはカットケーキみたいな建て売り住宅が3~4軒も建ち並ぶ、というのはなんとも味気ないものです。
とはいえ現在の年齢になってみれば、古い家や無駄に広い庭の維持管理の大変さ、というのもよく分るんですけどね‥‥
『旧尾崎テオドラ邸』には山下先生が著書に書かれた通り[人を惹き付ける何か]というものが、確かに存在します実物を見、建物内に入ってみて、まさにそう感じました
そして改めて、残ってくれてありがとう素晴らしい形で残してくれた人たちに感謝・感謝ですまた訪問の機会がありましたらその際は、是非アフタヌーンティーもいただいてみたいものですね