横須賀美術館の企画展『エドワード・ゴーリーを巡る旅』を観てきましたニコニコ

この企画展は2023年4月8日~ 6月11日を渋谷松濤・2024年4月20日~6月23日を千葉県佐倉と巡回し、いま最後の開催地である横須賀に来ています。

昨年の松濤開催時には展覧会自体を全く知らなくて、みすみす逃してしまったことを今更ながら悔やみつつ「なんとしてでも会期中に観に行かなければ作品がアメリカに帰ってしま~う!!」というガーンえーん笑い泣きな思いで臨みました。

 

エドワード・ゴーリーのバイオグラフィ

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またエドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手掛けた。

幻想的な作風とアナグラムを用いたペンネーム(Ogderd Wearyなど)を使い分けて沢山の私家版を出版した為に、多くの熱狂的コレクターを生み出した。

2000年4月15日、心臓発作の為死去。享年75歳。

 

私とゴーリーとの出逢いは、2015年に遡ります。行き付け図書館の書架に立て掛けてあったこの『MOE』誌の表紙の、あまりのインパクトに目が釘付けとなりました下矢印

早速手に取って読んでみれば、このイラストは絵本『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで 』のカバー絵で、その内容ときたらAからZまでの頭文字を持つ26人の子供たちが、それはもうありとあらゆる悲惨な目(階段から落ちたり熊に襲われたり)に遭っては、次から次へと死んでいく‥‥という衝撃的なものであり、更に添えられた文章にはきっちりと韻が踏まれており、淡々と語られながらもナンとも言えない可笑しみもある‥‥というものでしたガーンキョロキョロびっくり

そう。ゴーリーは、絵本という体裁でありながら道徳や倫理観を冷徹に押しやったナンセンスな、あるいは残酷で不条理に満ちた世界観、そして徹底して韻を踏んだ言語表現で醸し出される深い寓意性、またごく細い線で執拗に描かれたモノクロームの質感のイラストにおける高い芸術性‥‥という幾つもの要素を併せ持つ、大層私好みの作家だったのですおねがい

(画像はお借りしました)

 

横須賀は私にとって何かと縁のある土地です。先ず、私は横須賀で生を受けました。5歳まで過ごしてその後は東京・横浜と移転しましたが、結婚してからは頻繁にダンナ氏と遊びに行くようになりました。横須賀美術館が建設される前からです。

それでもここ10年以上足を踏み入れていなかったのですが、ちょうど予定していた実家行きの機会を幸い、ダンナ氏に頼んで横須賀に立ち寄ってもらうことにしました車車車横須賀美術館のある走水までは、以前は横須賀ICで高速を下り市内を南下して行っていたのですが、横浜横須賀道路が馬堀海岸まで延伸したことにより、ぐっとアクセスポイントが近くなりました物申すにっこり物申す

 

馬堀海岸ICを出た処です。目の前にぱぁっと海が広がりました!チュー波波波

 

自宅から公共交通機関を乗り継いでだと2時間半、横浜の実家からでも1時間半を要するアクセス困難な横須賀美術館ですが、時折「これは!笑い笑い笑い」とどよめく良質の企画展を開催してくれまして、訪問は二度目になります。

一度目は美術館開設してすぐの頃、英国船員出身の船具商で既に高齢の素人絵描きでありながら、プロの画家二人に見い出され高い評価を受けた『アルフレッド・ウォリス展』を、観に行きました船船船

 

地下駐車場に車を入れてエレベーターで地上に上がり、目前にどーんと広がる東京湾浦賀水道を撮りました爆  笑美術館のお向かいはかつて観音崎京急ホテルで、よくミニゴルフだの屋外プールだのを楽しみに行っていたのですが、数年前にクローズしました。現在は共立リゾートの経営する観音崎ラビスタに変わっています。

 

くるりと振り返ると横須賀美術館。左半分がイタリアンレストランの『アクアマーレ』、右半分から山の方に美術館が展開しています。また写っていませんが、谷内六郎の作品を集めた別館も併設されています。

 

さて走水の近辺って、マトモに食事の出来る店がホント少ないのですよ驚き

「宿泊客でなくてもゲストは皆さんウェルカ~ム飛び出すハート」だった京急ホテルの時はランチ営業していたレストランが、現在は昼クローズアセアセアセアセアセアセよって、13時頃のアクアマーレはほぼ満席えー

 

‥‥だったのですが、海を一望できる窓際の良い席に案内して貰えましたラブ実は状況を知っていたので、予約しておいたのですチョキてへぺろ

 

ランチコースをとりました。先ずは前菜五種の盛り合せ。

 

お次がピザ。

建物が高台に建っているので「海を背景としたお料理写真」が撮れますニヤリ

 

そしてコーヒー or 紅茶と、2種のデザート。この日はチョコレートケーキとプリンでした乙女のトキメキ乙女のトキメキ乙女のトキメキ

 

ではゴーリー展鑑賞といきましょう!ウォリス展の時に入館しているのですが、建物構造は忘却の彼方です真顔無気力真顔こちらは屋上広場に続く螺旋階段。二階には図書室があるとの事ですが、立ち寄る時間的余裕はありませんでした。

 

チケットブースです。私は今年から年寄り枠に入ったので、割引料金適用で鑑賞できましたチューブラボー老人対応!笑い笑い笑い

この先の左右が展示室。中央に見えるのはゴーリーの絵本を集めた「ご自由にご覧ください」コーナーですにっこり

 

会場内は撮影禁止ですが、絵本コーナー前に設けてある撮影OK箇所からなら、向かって右展示室であるこの場所のみをロング撮影することが出来る、とキュレーターさんから聞いたのでパチリしましたカメラ

ずらっと並ぶ原画の、なんて小さいこと!!びっくり天井から下がっているのはゴーリーの代表作・アンチ『小公女』といえる絵本『不幸な子供』のワンシーンのバナーです。

 

ここからは、購入した絵葉書でゴーリー世界を楽しんでいただく事としましょうウインク

『不幸な子供』絵本の挿絵

 

ゴーリーは大層なバレエファンで、ニューヨークシティバレエシアターに日参し、またグッズのデザインなども手掛けています乙女のトキメキバレエオーナメントバレエオーナメントバレエ乙女のトキメキ

余談ですが、たっぷりと蓄えた顎髭に毛皮のロングコート、指にはごつい指輪を複数、ジーンズにスニーカーでバレエシアターに現れるゴーリーの姿は、名物だったそうです。

(画像はお借りしました。なにがなしサンタクロースっぽくもありますね右矢印サンタ

 

『金箔のコウモリ』挿絵

 

『金箔のコウモリ』バレエ・レビュー連載の飾りカット

 

『無題(妖精のようなバレリーナ)』Ogdred Mude(ゴーリーのアナグラム)によるオリジナル作品

 

『無題』

 

『青いアイスピック』

 

上の絵はほぼ葉書大に描かれたものですが、これはかなりのビッグサイズでした。

『ドラキュラ・トイシアター』表紙

 

さて、大層好きなエドワード・ゴーリーなのですが、私‥‥彼の本はこちら下矢印『ウエスト・ウイング』ただ一冊しか所有しておりません凝視凝視

アメリカ東部か中西部のちょっと田舎にひっそりと建つ大邸宅の西棟=ウエスト・ウイングの不可思議を描いた、絵だけで構成された本です。

西棟があるのですから、当然東棟もありますね、この邸宅‥‥お部屋が水で満たされていたり、何かがふわふわ浮遊していたり‥‥とにかく説明不能な‥‥いや、作者自身とて説明する気など全く無いであろう現象が、次々と描かれているのです。

 

私は「不条理」っつーモノが苦手です。物語でも映画でも、起承転結がハッキリしていて、張り巡らした伏線をくまなく回収しスッキリと大団円に持って行ってくれるモノが好き笑い笑い笑いだから不条理右矢印特に文章における不条理に出会うと「ムカムカムカムカ何だっちゅーんねんハッピリピリ」と暴れたくなりますむかつきムキー物申す

上記にご紹介した通り、極めて細い描線で紙面いっぱいにびっしりと描き込まれたゴーリーの絵には、膨大な量の情報が詰め込まれています。そこにまた韻を踏んだ不条理な文章を載せられたら、いっかな好きな作家の作品といえども「いやもうお腹いっぱい‥‥しかも胸焼けがぁぁぁ煽りネガティブオエー」となってしまうようで‥‥文章無しがちょうどいい塩梅なのかもしれません煽り魂が抜ける凝視

 

エドワード・ゴーリー展の会期は9月1日まで。

8月5日は休館です。