NHKの朝ドラ「あさが来た」が,ついに最終回を迎えましたね。
朝ドラは,いつもお茶の間に話題を提供してくれます。今回もディーン・フジオカさんという「逆輸入」のスターが生まれたことで話題になりました。
ただ,「あさが来た」の脚本には,実は史実と大きく違うところがあります。
それは,このドラマのモデルとなった広岡浅子(あさ)の夫,信五郎(新次郎)にお妾さんがいたことです。しかも,そのお妾さんは,浅子自身が嫁ぐときに一緒に連れて来た女中さんでした。仮に,役柄を割り当てるなら,うめさんになるそうです。
でも,脚本を手掛けた大森美香さんは,こう語っています。
「お妾さんは,最初から出さないと決めてました」。
なぜだと思いますか?
大森さんは,これに対して,主に次のように答えています。
「お妾さんを登場させるなら,新次郎さんと出会って,あささんや新次郎さんがどう決断するかをしっかり描く必要が出てきます」
「あさが来た」には,あささんの仕事のこと,夫婦愛,家族の関係といったメインで伝えるべきことがたくさんあります。
それなのに,お妾さんのことを入れてしまうと,かなりのボリュームになるし,物語の中では書ききれなくなってしまう。
「ですから,書かないと決めました」のだそうです。
大森さんのこのお話を読みながら,(論文と同じかも)と思ってしまいました。
大森さんは,「朝ドラ」として伝えるべきテーマを選定し,それらをきちんと伝えるために,一部の史実をあえて切り落としたのだと思います。
論文でも,あれもこれも・・・,と盛りだくさんにするのではなく,「これだけは,伝えたい」ということだけを残し,あとは切り捨てなければなりません。
いろいろ入れてしまうと,読み手は,「結局何が言いたかったの?」としか思わず,論文の目的が伝わらないからです。
何かを伝えたいときは,あえて「引き算」の考え方を取り入れるほうが良いこともあります。
ドラマから論文へというちょっとムチャな展開になってしまいましたが,(;^_^A 何かの参考になればうれしいです。
では,また。
<参照記事>
『あさが来た』脚本家 妾の話を書かなかった意図語る
http://www.news-postseven.com/archives/20160331_398733.html
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