松本清張「死の枝」感想 | リタイアライフのつぶやき

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65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

松本清張の推理ものはわかり易く面白い。今回は、「死の枝」です。

11の短編です。ネタバレしますので注意願います。

①交通事故死亡1名②偽狂人の犯罪③家紋④史疑⑤年下の男⑥古本⑦ペルシアの測天儀⑧不法建築⑨入江の記憶⑩不法宴会⑪土偶です。それぞれの関連性はありません。

①交通事故死亡1名は、友人関係の二人が共謀して友人の恋人をやくざ風の男から救うため交通事故を装いやくざ風の男を殺してしまう話。

②偽狂人の犯罪は、殺人を犯した人間が、狂人の真似をして刑を免れようとするのだか、検察事務官が、エロ小説を感情込めて読み、嘘の精神病は見破られてしまうが、なんとエロ小説の朗読にはまった検察官がエロ小説の朗読で女性を誘惑して逮捕されるという話。

③家紋は、本家の使いに化けた男により分家の夫婦が殺害された。凶器は、山芋ほり鉄棒である。犯人を見たのは、隣家のお房と当時5歳の子供の雪代であった。しかし、これが迷宮入りになった。18年後、雪代は、お寺の住職と母が関係があったと思い出す。あの家紋の入った提灯は、手書きであり、山芋ほり鉄棒も寺のものではないか。

お寺が絡むと口が堅くなるという話。

④史疑は、新井白石の価値ある原本をめぐり、新進気鋭の考古学者が蔵書マニアの老人を殺してしまう設定。

⑤年下の男は、プライド高き女性が年下の男に捨てられたとまわりに思われたくないために殺人を決行する話。⑥古本は、取り残された作家が連載小説を書くように頼まれたがアイデアが思いつかず偶然にまったく無名の古本を見つけ盗作する。盗作品が売れ有名になるが、盗作品の原作者の子孫と名乗るものが現れ、ゆすりはじめるが度が過ぎるため作家は、列車に轢かれるように仕向けたため子孫は、死んでしまうが、小説好きな刑事に最後ばれてしまう。

⑦ペルシアの測天儀は、ある泥棒が課長の家に忍び込みペルシアの測天儀という玩具を盗んだが傷をつけてしまった。その後、捕まったため課長の元に玩具はもどった。課長にホステスの愛人ができ玩具をあげた。同じ泥棒が愛人宅に泥棒に入った時、傷つけた玩具をみつけた。その後、何かのトラブルで課長は、愛人を殺した。同じ泥棒が警察につかまり、新聞をみたら愛人が殺さて犯人がみつからないという。泥棒は、警察に玩具の話をした。

⑧不法建築は、東京都の区役所建築課観察係の違法建築物を取り締まるところの話である。建築率の適合をみる仕事であるが、ある時、女性のバラバラ事件の報道があった。違法建築の中でバラバラ殺人をして後に解体すれば殺人の証拠は残らないという話。

⑨入江の記憶は、妻の妹と関係を持った主人公だが、何と自分の父も、妻の妹と関係を持っていて妹を亡き者にしたのだった。主人公も、父と同じことをしようとする話。⑩不法宴会は、主人公は、中央官庁の課長で民間企業の監督官庁であった。九州出張の時、会社の接待をうけるが新宿のバーの女性と過ごす計画であったため断った。しかし、旅館の部屋の湯舟で女性は変死していた。課長は、旅館から逃げた。その後、5ケ月経った。警察が九州の会社の接待の話で質問されたとき、変死体の犯人は、自分でないと話してしまう話。

⑪土偶は、戦後のヤミ商売で軍の払い下げを手に入れて売却し儲けていた主人公が。愛人と田舎の温泉街にやってきた。一人で野原を散歩して若い女性と会うが痴漢か何かと勘違いされ大声をだされたのでとっさに口を塞ぎ殺してしまい、探しに来た女性の彼氏も殺す。彼のリュックの中に奇妙な土偶があった。踏みつけて粉々にした。それから12年後、ある骨董屋が西洋の土偶を買った。あまりにもリュックの土偶ににていたから。気持ちが悪くなりその土偶も粉々にした。その土偶の壊し方から警察は怪しいとおもいリュックについていた指紋と主人公の指紋を照らし合わせた話。

一つの話が20ページから30ページで終わります。殺人に至る経緯と捕まるまでですが、犯人逮捕は、偽狂人の犯罪で残りは、逮捕を匂わしているだけです。あまりにも偶然過ぎてあり得ないと思ったのは交通事故死亡1名です。交通事故に見せるには、数々の偶然を積み重ねる必要があったのは何となく不自然でした。

また、不法宴会では、犯人は、自分でないと警察に聞かれる前に話すのは納得できませんでした。

作品には、不倫関係の事件が多いのが特徴でした。殺す動機があまり見つからないで、犯人が捕まる過程や理由が作品の主題になっているような気がしました。また、読者も「それで犯人だとばれたんだ」という理由を知りたくなって読んでいくと思いました。

わかり易い文章でまた違う本を読みたくなる作家だと思います。

最後までご覧になりありがとうございます。

 

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