■映画 『メアリと魔法の花』2017日本 | 本中毒、映画中毒、仕事中毒、そして...恋愛中毒

■映画 『メアリと魔法の花』2017日本

スタジオジブリが閉鎖した製作部門のアニメーター達が集まって作ったらしいスタジオポロック。
そのスタジオポロックの長編第一作。
監督は『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』の 米林宏昌 。
これまた家人に連れられて映画館に足を運ぶ。

以下ネタバレ

観た感想。
かなりやらかしてしまった作品。

おそらくいろいろな所で言及されるであろうが…
『ラピュタ』『もののけ姫』『ハウルの動く城』と『魔女の宅急便』を足して、4で割った様な感じで、主題に一貫性がない。



主人公のメアリはモシャモシャの赤毛で、コンプレックスを持っているドジっこ。
引っ越してきた田舎の森の中で魔女の花と言われる「夜間飛行」という花を見つけ、その花の効能で魔法力を身につけ、異空間にある魔法大学に行く。
新入生と勘違いされた彼女は、その魔法力を天才とおだてられて、赤毛は偉大な魔法使いの徴だと褒め殺しにされて、いい気になる…
ここら辺までは思春期で不安定な少女のアイデンティティ獲得のお話なのかしら…などと思っていていたのだが、ここら辺から話が捻れていく。

魔法大学の校長のマダムと、学問的なトップであるドクターは、「夜間飛行」の花の魔力を使ってあらゆる魔法を使える万能の魔法使いを産み出そうとしており、花を手に入れる為に、態度が豹変、手段を選ばない悪人となる。
そして産み出される万能の魔法使いが制御出来ない怪物。
ドロドロのスライム状の怪物を原発事故をメタファーとして描き、ステレオタイプの文明批判が展開される。
ご丁寧に福島第一原発のメルトダウン事故を明示するカットさえある…
思春期のアイデンティティのお話が、いきなり安直で扇情的な文明批判に豹変するわけ。


こうした制御できない力によるカタストロフの煽り方は、宮崎駿監督作品『もののけ姫』や『ハウルの動く城』で散々描かれてきたシーンと全く同じ。
そのシーンだけを単体で抜き出して評価すれば、出来は良い。

おそらくこの映画を観た幼い子供達は、それなりに注視する。
一方である程度以上の大人の視聴者は、ずっと積み上げてきたメアリ個人の課題とお話全体のクライマックスを文明批判で締め括るその溝に、置き去りにされる。

文明批判を主題とするなら、一方で、文明や、その力を求める人の「業」を描かないとすごく薄っぺらい。
思春期のアイデンティティを主題とするなら、メアリの悩み、たまたま手に入れた魔法の花の力を、彼女が何を大事なモノとして選び取り、最後の魔法の花を、どう使うのか。をきちんと描く必要がある。

失敗作で駄作。

なのだが、世の中のおかあさん達はその失敗を理解せずに、作品のパッケージングと幼い我が子の注視度だけでこの映画を評価するのだろう…
まぁ、世の中の親なんて、子供と一緒に映画に来て、映画の間は寝ているんだから、商売としてはそれで良いのかもしれない。