■書評 白石一文『火口のふたり』 河出文庫2015/6/8
- 火口のふたり (河出文庫)/白石 一文

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別に好きなワケではないのだが、ちょっと気になって白石一文という作家の文庫本は買ってしまう。
何故だかは自分でもよくわからない。
この小説は単行本が出た時に、エロティックな惹句と表紙に惹かれ、気にはなっていたのだけれど、逆にそれが原因で手に取らなかった。
エロ小説だと思ったからだ。
今回読んでみて、あぁ、これも『東日本大震災』小説なのだな。とわかった。
東日本大震災が2011/3/11に起こって、文学界は暫くは沈黙を守っていた。
しかし、1年を過ぎた辺りから、どの作家も東日本大震災を題材にした小説を発表しはじめた。
日常というものに対する作家達の意識を、震災が変えてしまい、繊細な彼らはその不安を文章に書かずにいられなくなったのだろうと思う。
そう捉えながら、実際に福島の原発がメルトダウンしていた時期に近くに復興作業の手伝いに行き、余震が続く中カップ麺とおにぎりとカンパンで数週間をすごしながら、不安を感じてない僕は鈍いのかな…などと思う。
そういう感覚はこの小説の中にもある。
男と女と、そして自衛隊員の女の婚約者…
震災後の今を戯画化するのに、その配置はなかなか秀逸だ。