■書評 岩瀬達哉『血族の王 松下幸之助とナショナルの世紀』 新潮文庫2014/2/1 | 本中毒、映画中毒、仕事中毒、そして...恋愛中毒

■書評 岩瀬達哉『血族の王 松下幸之助とナショナルの世紀』 新潮文庫2014/2/1

血族の王: 松下幸之助とナショナルの世紀 (新潮文庫)/岩瀬 達哉
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期末の忙しさにかまけて、ブログの記事を長く書けないでいた。
貧乏暇無しなのである。


さて、戦前の産業界の巨人、中島知久平の伝記を読んだからと言うわけではないが…
戦後の産業界の巨人、松下幸之助に関するノンフィクションを読む。


一般に語られる松下幸之助の数々のエピソードは、彼の神話を補強するためにかなり偏向し演出されているが、この本はそういう演出とは距離をとり、等身大の松下幸之助を語ろうとしている姿勢が面白い。
起業間もない頃の先輩起業家との確執、戦前戦後の財閥指定や組合設立のダークな部分、中国を巡る密輸と諜報活動、今だったら独禁法違反に抵触する熱海会談、そしてお妾さんとその家族の話題…


おそらく世間一般に喧伝されている松下幸之助神話と、この本に書かれている内容のギャップに読者は少し戸惑うだろう。
しかし、不思議と松下幸之助に対する悪い感情は湧かない。
逆に松下幸之助の真摯さと弱さ・愚かさ、そして血のにじむ様な努力をこの本の中に見出す。
伝説に彩られた松下幸之助像よりも、この本で語られる松下幸之助の方が、僕は好きだ。